
①ビジョン
都民、行政、事業者、NPOなど、様々な主体が積極的に参加する地域コミュニティを核としつつ、都市空間ストックが持つ伝統的な価値を継承し、質を高めることにより、環境負荷を軽減し、にぎわいと活力のある持続可能な都市づくりを進めます。
②考え方・現状認識
都市基盤整備は行政が担うべきものですが、まちづくりは「都民が主役」。そこで生活する人々の視点や発想が欠ければよいまちにはなりません。また、メガロポリスとしての都市機能整備とコミュニティとしての生活都市形成の2つの視点が不可欠で、これを混同したり、どちらか片方だけを重視してはならないと考えます。
東京が都市として目指すべき方向は、アジア的な密度と活気、ヨーロッパの都市が持つ歴史性と都市文化、アメリカの市民自治、そして日本独自の自然環境とコミュニティ、これらの要素を重ね合わせつつ、持続的に発展させていくことです。
そのためにも、都市空間の量的な拡大に対応するのではなく、地域の現存する空間を引き継ぎ、価値を見出してそれを再構成、修復し、必要な機能を新たに付け加える都市づくりを、時間をかけて都民が主体となって進める必要があります。これまでの機能主義的な都市づくりから、人間中心の都市に転換し、都市の構造は、徒歩や自転車を中心とした圏域に生活サービスが確保され、自然と共生した多重の地域構造とすることが求められます。
都市機能を支えるための道路・水道・下水道などの都市インフラストラクチャーについては、その必要性について多面的に検討し、真に必要と判断されるものについては、緊急性などを勘案しつつ、着実な整備を進める必要があります。
③施策
○地域コミュニティの復活・再生
・NPOなどによるまちづくりへの技術的・財政的支援や孤独死対策の推進、防災・防犯まちづくりなど、多分野にまたがる複合的な取り組みにより、地域における良好なコミュニティ形成を進めます。
・都営住宅の建て替えをはじめとする公的住宅の供給にあたっては、少子化・高齢化への対応も含めた、地域のコミュニティ・バランスへの配慮を行います。
・アメリカのBID(ビジネス改善地区)制度を参考に、日本版BID制度の創設を国に働きかけるなど、地域の主体的な街の管理運営を支援します。
○住まいの質の向上・住環境整備
・賃貸住宅の礼金・更新料ゼロ運動の展開、中古住宅市場の新規ルールの確立など、公正な賃貸住宅市場を構築します。
・公営住宅入居者と民間賃貸住宅居住者との間の不公平の存在、コミュニティ・バランスの低下など、公営住宅の現行制度が抱える問題点の抜本的な解消を図ります。
・高断熱住宅、環境共生型住宅など、環境配慮型住宅の普及促進を図ります。
・保証人がいない高齢者でも民間住宅が借りやすい「あんしん入居制度」の普及を促進するとともに、高齢者向け賃貸住宅にデイサービスや訪問看護などの在宅サービス施設などを併設した住まいの整備を進めます。
・区市町村と連携しながら、最低敷地制限の導入や地区計画の原則化、緑地保全や防災空間の確保などを進め、建築紛争の予防と良好な住環境の形成を促進します。
・失業による住宅ローンの支払い困難者に対し、再就職までの一時的なつなぎ融資制度の創設などにより支援します。
○人にやさしい安心できる交通政策
・道路や公共交通施設整備においては、ユニバーサルデザインを基本とします。
・未整備の都市計画道路について、その必要性や実現性について見直すとともに、必要な都市計画道路については、着実な整備を進めます。特に、立ち遅れている多摩地域の都市計画道路は、地域事情を考慮した上で積極的に整備します。
・PASMO導入に伴った都営交通・東京メトロの料金体系一元化の検討や、首都高など高速道路の料金制度について検討し、交通料金の不公平感の是正を図ります。
・都政における交通政策担当窓口を一元化し、交通政策の体系的な展開を図ります。
・パーク・アンド・ライドの社会実験やその効果検証、ロードプライシングの導入の検討など、交通需要マネジメントによる自動車利用から公共交通利用への転換を図ります。
・自転車の自賠責保険加入義務化やICタグを活用した所有者管理の導入の検討や、マナーやルールの啓発強化など、自転車の安全な利用を促進します。
・内航海運の利用促進策や鉄道輸送拡大策の検討など、トラックによる貨物輸送を鉄道や船舶へと転換するモーダルシフトを促進します。
・都営浅草線の活用により東京駅と羽田空港・成田空港とのアクセスを改善するなど、空港へのアクセスの充実・強化を推進します。
・自転車と歩行者の事故を減らすため、また、地球温暖化防止の観点からも短距離の自動車利用から自転車利用への転換を図るため、地域特性や安全面に配慮した自転車専用路の整備を促進し、ネットワーク化を図るとともに、駐輪場の整備を促進します。また、自転車運行に対する交通ルールやマナーについて、警察や区市町村と連携して安全教育を実施します。
・羽田空港再拡張に伴い、関係機関と協力して入国審査体制の強化など、国際化を推進します。また、都内の観光振興に資するため、羽田空港跡地に水上バス発着場を整備し、お台場、ディズニーランド等への航路を開くことを検討します。
・2015年のパナマ運河の拡張に合わせ、さらなる大型化が予想されるコンテナ船の大型化などに対応できるよう、川崎港・横浜港とも連携しながら、バックヤード拡充など港湾物流の機能強化を図ります。
・交通渋滞対策のため、京王線などの複々線地下化や高架化など、鉄道の踏切ゼロ化を推進します。また、高架下は、駐輪場整備などの有効活用を図ります。
・外かく環状道路について、地域の声に十分に配慮し、環境面への配慮やインターチェンジのあり方、地上部分の取扱いなどを検討していきます。
・JR、東京メトロ、私鉄各社に対する助成を行い、鉄道機関における平日昼間のシルバー半額料金制を導入します。
・羽田空港の国際化・24時間化などを見据えて、都営地下鉄をはじめとする公共交通機関の24時間化を検討します(再掲)。
○魅力ある都市景観づくり
・中央環状線の完成後のシミュレーションしかなされていない都心環状線の撤去について、外かく環状道路や首都圏中央連絡自動車道の完成後のシミュレーションも含めて再検討し、日本橋の再生に長期的視野に立って取り組みます。
・改正景観条例による大規模建築物の事前協議制度や屋外広告物条例の運用適正化など、都市計画行政・建築行政・景観行政の有機的連携を進め、魅力ある都市景観づくりを促進します。
・都市計画制度等の柔軟な活用による近代洋風建築の保存・復元、文化財庭園等の周辺の景観誘導、個人や民間事業者所有の都選定歴史的建造物の保存支援の強化、歴史的な建造物等に関する普及啓発と利活用の促進などにより、歴史や伝統を受け継ぐ都市空間の保全を図ります。
・良好な都市景観の創出、安全で安心な歩行空間の確保、都市防災機能の強化などの観点から、道路の新設・拡幅やシンボルロードの整備、道路修景などあらゆる機会をとらえ、電線管理者と協働しながら無電柱化を推進します。
・新宿区や渋谷区など、絶対高さ制限の導入の動きが広がっていることから、複数の市区間にまたがる良好な景観形成の整合を図るため、広域的な調整に取り組みます。
○持続可能な都市づくり
・住宅の耐震化、市街地のユニバーサル・デザイン化、省エネ化、クリーンエネルギーの導入などをあわせて実施することにより、木造住宅密集地域を「住まいを楽しむ」グリーン・ゾーンに生まれ変わらせます。(再掲)
・最新データにもとづく水需要予測の見直しを速やかに実施し、八ッ場ダム事業の必要性について再度検証するとともに、その結果も踏まえ、水道料金の見直しについて検討します。また、八ッ場ダム事業については、必要性の有無にかかわらず、生活再建への支援を行います。
・ゲリラ豪雨対策のため、住宅や民間開発事業などでの雨水浸透ます設置促進や道路の雨水ますの雨水浸透ますへの取り替え、道路の浸透性舗装や保水性舗装の積極的導入、緑化などにより、雨水の流出抑制を行い、保水力のある都市づくりを推進します。(再掲)