
①ビジョン
めまぐるしく変化する社会を生きる子どもたちに、人と人とがともに生きるために必要なことは何か、学ぶ楽しさ、といったこと、いわば人間の背骨というべき基本的な力が身に付くよう、原点に返って教育を考えます。
②考え方・現状認識
想定外の事態に直面したときでも、自ら考え、人と協力して問題を解決することができる大人になれる教育が必要です。
改めて、教育の原点とは何かを考え、大人になることが難しくなったと言われる現代だからこそ、健康を保つ力、人とつきあう力、考える力を付ける教育を目指します。 新学習指導要領では、生きる力の育成をかかげており、東京都教育ビジョンもこれに沿って、生きる力をはぐくむとしています。
しかし、義務教育に関する意識調査では、今の子どもにある能力として、コンピュータを活用する能力がトップで、体力や運動能力、受験に役立つ学力、教科の基礎的な学力が続きます。
一方、生き方や進路について考える力、人間関係を築く力、自分の健康を管理する力、社会生活に必要な常識、社会で役立とうとする心や公共心など、学力以外の生きる力については、半分以下の状況です。
将来、地域社会の経済、文化、環境のなかで生きていく子ども達をいかに育てるべきか、地域住民の参加による学校教育、学校・家庭・地域社会がともに学校教育とはなにかを、真剣に考え、取り組まなければなりません。
③施策
○必ずわかる!授業改革
・授業指導を強化します。
教師個々の力量だけに大きく左右されず授業を行うため、授業指導を積極的に行い、質の高い学習機会をすべての子どもたちに提供します。
・民主党提出法案「教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案」に先行する形で、東京都独自に教諭・養護教諭の普通免許状を専門免許状・一般免許状に区分します。専門免許状は、8年以上の実務経験を有し、教職大学院での専門的な教育を受けた者に授与するものとします。
・多様で柔軟な授業を展開します。
習熟度別学習や少人数指導など、生徒にあわせた多様な授業展開を行います。地域の実情に応じて少人数学級も可能となる教員配置を実施します。
・現場力指導力のある教員を育成するため、教員養成期間を延長(教員の修士化)します。さらに教職大学院や大学と連携して、現場力・指導力のある教員の育成と採用を行います。
○経済的格差による教育を受ける機会不均等化の是正
・奨学金制度を充実します。
高校無償化法により、生徒の保護者に対し都立高校授業料相当額約12万円の就学支援金を支給することにより、国公立の高等学校における教育の実質的無償化を推進するとともに、私立の高等学校等や国公立の高等専門学校等の生徒の保護者に対してもそれに相当する就学支援金(私立の高等学校等については世帯収入が低い場合には一定の加算をした就学支援金、約12万円から24万円)を国庫から支給することにより、その教育に係る保護者負担を軽減します。さらに私立高校については都独自に助成を行うことを検討します。
・私立学校に通う生徒・保護者への支援を拡充します。(公私格差是正)
私立学校と都立学校との生徒1人当たりの税金投入額を比較すると、都立が約3.6倍となっており、保護者負担は重くなっています。この格差を是正し、経済的負担を軽減するため支援を一層拡充します。なかでも、私立幼稚園への経常費補助は、小中高校への補助と比べ少ないため、充実が必要です。
・親の資力によって子どもの進路が制限されることのないよう、奨学金制度を拡充し、機会の平等を図ります。
・民主党緊急経済対策を踏まえ、800万円以下世帯で希望する者に対しては、東京都独自にそれぞれ年額で、国立大学等50万円、私立文系90万、私立理系120万円、私立医系500万円、専門学校120万円の無利子貸与をおこなうことを検討します。
・都の塾代支援の対象を拡充します。
都は低所得家庭(生活保護水準の1.1倍)に対し、塾代支援を行っていますが、対象が極めて限られています。実際の生活状況を見ると、現行事業の対象外でも塾代までは負担することが困難な家庭も多くあることから、対象を拡大します。
・キャッチアップを支援します
授業の質向上とともに、地域人材や教育を志す学生とのコラボレーションで自主学習への支援を拡充します。
○信頼できる学校(含:いじめ対策)
・24時間365日の子どもの悩み110番を実施します。
教師や学校、親には言えない悩みの受け皿として、通話料無料の電話相談、インターネット駆け込み寺を実施します。相談事例の解決に努力することに加え、内容を分析して子どもの実情を把握し施策に活かします。
・教員不足対策を進めます。
平成11年に約16倍だった教員採用試験倍率が、平成21年には3.6倍と低下しており、団塊世代の大量退職とともに、教員不足が顕著になりつつあります。中途退職対策をすすめるとともに、社会人経験者採用や教職大学院と連携した人材育成・採用など、幅広く優秀な人材を確保する取り組みを進めます。
○コミュニティとの連携(地域支援学校、地域運営学校など)推進
・2008年4月1日現在東京都内に62校あるコミュニティスクールを約5倍増し、300校に抜本拡充します。
・学校支援地域本部事業の活用などによる、学校ボランティアによる教育、緑化や登下校支援、部活支援など、地域の多様なキャリア・能力をもった人材に協力を依頼し、学校を活性化するとともに、地域の教育力を強化します。
・すべての担い手からの創意工夫にあふれた提案を汲み上げ、多くの人々の貢献を引き出す、主体的・自律的運営が行われる学びのコミュニティがそれぞれの学校を創ります。
・モンスターペアレンツ対策を推進します。(家庭教育)
法的対応も含めた学校支援を拡充するとともに、必要に応じて福祉など他の行政分野との連携、保護者・地域とともに作り上げ、チームで取り組む学校教育を推進します。(○コミュニティとの連携参照)
○生きる力を育てる教育
・演劇教育等、コミュニケーション教育を充実します。
コミュニケーション教育振興助成(例:300万円×100拠点)等をおこなうことにより、演劇教育等、コミュニケーション教育の充実を図ります。
・メディアリテラシー教育を実施します。
PCやインターネット利用環境、携帯電話などの技術革新により、情報の即時性、普遍性が飛躍的に向上しました。一方で、未成年者に有害な情報も増えており、自分自身が判断し、取り入れる情報を取捨選択する能力が必要。PCや携帯電話を使った、インターネット・メールによるいじめも起きており、自らが発信する情報への責任や、適正な使い方についてもしっかりと指導します。
・都内の公立図書館は、平成10年の約55億円から平成20年度までに約50億円へと資料購入予算が削減されています。資料、蔵書を充実するため予算を確保します。
・都立中央図書館を都民の知の拠点としての機能を高めます。そのために、オンラインデータベースの利用環境を一層充実させます。またビジネスや健康など都民ニーズの高い分野の資料収集を強化するとともに、司書の育成にも力を入れレファレンス、レファラルサービスをさらに強化します。
・学校図書館での調べ学習の支援機能など、図書館司書の資質向上、蔵書の充実など、子どものころから言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、人生を深く生きる力をつける環境を整備します。専任司書の配置についても検討を進めます。
・教育の複複線化を進めます。
サポート校への支援など、再チャレンジ支援を行います。また、都立高校に、一度高校を離れた子どもも、勉強したいと思ったら、もう一度高校に戻れる中途入学制度を検討します。また、夜間中学校や外国人学校に進学する外国人児童生徒の学習環境の整備をおこないます。
また、特色ある教育が進む中、進路の変更や学力向上などによる都立高校間の転校希望について、柔軟な対応が可能となるよう取り組みます。
・日本語サポートセンターを創設します。
東京都における外国人登録者数は408,284人、この10年で42%増加し、対前年度比では約5%増加、169カ国です。また、公立学校における日本語習得支援が必要な子どもは63言語、対前年度比で8.6%増加。今後さらに外国人労働者の増加、定住化が進めば、その子どもも増えることが予想され、日本語指導の必要性が高まります。日常生活に必要な日本語能力修得・情報取得をサポートします。さらに、多言語通訳の派遣や資料翻訳など必要な人的措置についても一層充実させます。
○東京独自の就学前教育支援の実施
ほとんどの保育所や幼稚園では、幼児教育を実施していますが、保育に欠ける子どもの一部は、幼児教育を受けずに小学校入学を迎えることとなります。義務教育への準備段階として、すべての子どもが就学前教育を受けられる事業を実施します。
○特別支援教育の充実
・教員の資質を向上します。
障害特性に応じた指導能力など、教員の専門性欠如が課題となっています。そのため、専門性の高い教員養成、研修の実施により、質の高い教育を実施します。また、不足している看護師配置など人員確保対策を講じます。
・特別支援教育コーディネーターを育成します。
学校外の関係機関と連携し、校内協力体制を構築できるコーディネーターを育成します。
・拡大教科書作成ボランティアに係る費用を全額カバーします。
特別支援学校等で拡大教科書等を作成する際に用いることのできる印刷機及び製本機を増やし、作成に係る費用を都で全額カバーします。
○部活動の活性化
・小規模化が進む公立小中学校において沈滞している部活動を、幼い頃から集団や社会生活の規律を身につけられる場として活性化させます。そのために、指導員の確保や地位の明確化を一層進めます。
○家庭の教育力サポート
・子どもの生活習慣と学力には相関関係があると言われており、子どもが勉強に集中できる家庭環境、将来にむけてがんばる気力を持てる支援が必要。学校に子どもの生活支援を行える人材を配置・育成するとともに、福祉施策の活用も視野にいれた支援ができるよう取り組みます。
○教育現場の強化
・教育現場の権限を強化します。
教育の充実には教育現場の活性化が一番の近道であり、教育委員会に集中する権限を中学校や小学校に移譲します。
校長は、意欲を持つ現場の教師の創意工夫を生かすとともに、地域住民・保護者等による運営協議会を設置し運営協議会とともに権限と責任を持って学校を運営します。
・公教育を拡充します。
教育現場の権限を強化するとともに、公教育に投入される資金を拡充することによって、学校運営が成果を上げられるような条件を整備します。
・校長の民間人登用を進めます。
教育の多様化と活性化を図るため、校長の民間人登用を進め、公募制導入を検討します。
・学校を地域へ開放します。
土曜学校、トワイライトスクール、学童保育と学校との連携、放課後対策におけるNPO、地域との連携を進めます。