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定例会報告

一般質問 佐藤 由美

佐藤由美  

 

平成23(2011)年12月8日

 

 

佐藤 由美 (葛飾区)

 

 

*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。録画映像はこちら

 

 

 

  1. 保健・医療政策と教育政策について
  2. 社会的包摂・参画について
  3. 経済・産業振興について 

 

 

 初めに、保健・医療政策と教育政策について伺います。

 平成19年6月にがん対策推進計画策定され、この第1期の終了を控え、厚生労働省がん対策推進協議会において、先月21日、次期計画の骨子案が示されたところです。
 この案では、地域連携と在宅医療の拡充とともに、見落とされていた小児がんについて、課題と対策の必要性が盛り込まれています。小児がんは、誰しもがなりうる病気です。そして、5歳以降20歳になるまでの子どもたちの幼い命を奪う病気は、小児がんです。毎年2,000人から3,000人の子供ががんと診断されています。体中どの個所でも発がんし、その発生箇所ごとに治療法が異なる中で、高度な治療ができる専門医が極めて少ないという現実があります。

 

 こうした中、治療ができる病院を集約することにより、がん治療の高度化、専門性を高めていく必要性が示されているところです。東京都内における小児がん治療の充実に向けて、モデルとなる拠点病院を指定して、適切な治療を受けられる体制の整備が、求められます。一方、このことは、逆にいえば、普段暮らしている地域から離れて治療を受けざるを得ない状況を意味します。

 

 そういう意味で、付き添う家族は、泊まりこみや病院近くの宿泊のため、大きな負担を負います。現在、NPOなどにより、家族の宿泊ができるケアハウスを運営するなどの取組みが進められていますが、都として、良質な治療態勢の拡充とともに、こうした患者家族の生活面など、社会的な支援を行っていくことが不可欠と考えます。
 そこで、都として、小児がん患者が高度専門的な治療を受けられる体制整備と家族への支援について、どのように取り組んでいくか伺います。

 

 現在、もちろん適切な医療が受けられたことを前提となりますが、小児がんの治癒率は向上しています。子どもの、治療中の生活や教育が課題です。
 小児がんの治療サイクルは、例えば、1週間入院、2週間退院して家で過ごし、また入院をしてと繰り返す中で治療を行う状況にあります。自宅療養中は前籍校に通学し、入院中は病院内分教室や訪問教育機関を活用するといった柔軟な対応が求められています。

 しかし、現状では一旦学籍を病院内教育に移した後の地元校の対応は大きな格差があります。学籍がなくても、授業や行事に受け容れる学校もあれば、受け容れに消極的な学校もあり、自宅療養中に前籍校に通える子どもはまだまだ少ないのが現状です。
 分教室に学籍を移しても、一時退院中、希望に応じて、地元の前籍校にスムーズに通えるようなシステムの構築が必要と考えますが、所見を伺います。

 

 また高校生の場合、入院中の教育の場が保障されなければ欠席が増え留年を余儀なくされるわけですが、高校生、特に小児科以外の混合病院に入院している場合など、受け容れられる病院内教育の場が少ない状況があります。療養中に取り組んだ、地元校から出された課題を提出することで、単位を取得できるといった教育条件整備も必要です。

 

 昨年、「特別支援教育 推進計画 第3次実施計画」が出されていますが、改めて、病院内教育の多様な役割の理解を深め、位置づけを明確にしなければなりません。
 病院内教育では、学習の遅れを防ぐという役割だけにとどまらず、闘病中の子どもの心理・精神面へのサポートが求められています。病院内教育では、学習空白の補完は大切な課題の1つです。しかしながら、専科の教員の授業時数が確保されるだけでは不十分です。病気の子ども達には「想像を絶するような不安を和らげること」「自分のありのままの気持を出せる人の存在」などが必要だからです。
 また、子ども本人とともに家族の支えとなったり、地元や医療とのつなぎ役も大きな役割です。医療、前籍校、保護者と連携しながら、トータルケアの一員として、「教科の専門性」だけでなく「幅広い病院内教育の専門性」が求められている分野です。

 

 「第3次実施計画」では、eラーニングや訪問教育における専科教員の配置を挙げられています。
 しかしながら、単にネットワーク上のプログラムができても「人の支え」がなければ闘病生活の中での学習へのモチベーションにはつながりません。病院内の学習の場が充実していること、授業中や放課後活動の中で、学習・遊び・語らいを共にする時間やしんどい時にベッドサイドで共に過ごす時間があってこそ信頼関係が生まれ、信頼関係が支えになってこそ、eラーニングなどのツールが生かされるのだと考えます。
  幅広い視点で子どもをとらえ、「つなぎ」役としての教員の役割が理解され、しっかりとその役割を発揮できるような教員の配置と研修システムを整えていくことが不可欠と考えます。病院内教育の意義について、所見を伺います。

 

 授業を確保し、幅広い視野(発達課題、病気、心理面、生育歴など)子どもを理解し、寄り添える担任がしっかりとそばに常駐できる教育の場を保障していかなければなりません。
 病院内教育では、現在、分教室と訪問教育で構成されているところです。しかしながら、訪問教育では、週に6時間程度しか授業が保障されていません。治療や体調等により、計画的に学習が進まないこともあり、次の訪問までに大きく間隔が開いてしまいます。

 

 訪問教育の時数を増やすことは大変重要ですが、こうした子どもの体調に応じて学習を進めるためには、教員が常駐し、臨機応変に対応することが必要です。分教室であれば、体調が悪く授業を受けられなかった子どもも放課後の時間などを利用することができます。また、部活動に取り組んだり、教室に来て友達や教員と過ごす時間は、辛い治療に耐えている子ども達にとってとても貴重な時間です。

 

 病院の中にも自分の学校生活があるというのは生活を豊かにし、心の安心、安定につながっています。教員が常駐できる病院内分教室を増やすことが求められていますが、所見を伺います。

 

 先月16日に開催された第1回会議録を読み、内容については、共感する箇所もあれば、本当に子どもたちと触れているのだろうかと事実認識や議論の方向性に疑問に思う箇所など、諸々ありますが、ここでは、ただ1点、確認しておきたいと思います。当然のながら、
「教育は権力からは独立のもの」であって、「権力を持つ者は教育に介入することに懐疑的であるべきこと」を、確認しておきたいと思います。

 

 なお、教育を受ける個人は、経済原則で捉えられる人的資源と位置づけられるものではなく、何かの企業や組織が、雇用や職務を与えるという関係でない以上、教育を議論する場で「人材」と呼ぶことに違和感があることも申し添えておきたいと思います。
 教育は、諸個人のためにあり、国家、自治体はその保障のために全力を尽くすべきと考えます。

 

 次に、社会的包摂・参画について伺います。

 

 法教育の目的は、法専門家の教育とは異なり、一人ひとりが、「責任や公正、正義」など法が内包する価値や民主主義の基本理念を、ワークショップ形式のやり取りの中で理解し、社会に参画をしていくことにあります。

 

 司法制度改革審議会報告では、「この国がよって立つ自由と公正が浸透し」「「この国のかたち」の再構築に関わる一連の諸改革、政治改革、行政改革、地方分権推進、規制緩和等の諸々の改革、これら改革の根底に流れているのは、一人ひとりが、統治客体意識から脱却をして統治主体として、社会の構築に参画し、この国に豊かな創造性とエネルギーを取り戻そうとする志である」とうたい、「この司法改革は、その最後」と位置付け、その中で、「学習機会の充実を図ること」と明記しています。

 

 平成20年度に、子どもたちの「生きる力」を身につけさせることを目的として、改訂された学習指導要領において、「法やきまり、司法」にかかわる指導内容が新たに示される中、都教育委員会は、平成20年7月に法教育研究推進協議会が設置し、本年3月に「法」に関する教育カリキュラムを発行し、各市区町村教育委員会や学校に配布をしたところです。

 

 法務省、法教育研究会が設置されて、すでに8年を経過している中、モデル授業やシンポジウムを開催といった普及啓発の段階を越えて、その時間を取り戻すべく、早急に、小学校、中学校、高校と実践に移すべきと考えますが、都教育委員会では、各学校における法教育の実践的な取り組みを推進させるために、区市町村教育委員会や学校に対して、どのような具体的な取り組みを行うか、伺います。

 

 各学校における法教育の実践的な取り組みを推進させるには、適切な指導をできる力が不可欠です。
 そのため、教員の育成過程における履修科目の改訂も視野にいれなければならない一方、法専門家や研究者などが出前講座を実施する、あるいは、教員に対する研修を担うといったように、法律専門家と連携を図るなどして、教員の授業力の向上を図っていくべきと考えるが、都教育委員会の所見を伺います。

 

 「失われた10年」が「失われた20年」と呼ばれているのは、経済・景気の側面だけではない。こうしている間にも、学齢期を過ぎて、成人に達している。こうした年代に対しても、あらゆる機会を通じて、啓発を促していくことを求めておきます。

 

 今、日本における外国人登録者数は、2010年では、213万4151人となっており、30年前に比べ、1980年78万2910人、と2.5倍強と 増加をしています。
 直近で公表されている年齢別法務省統計では、2003年の時点で、学齢期にあたる子どもたち、5歳~19歳でみると、全国で20万3606人であり、うち、東京が一番多く19,915人となっています。

 

 こうした中、都立学校に、授業補助のために日本語と他の言語ができる人を配置する取り組みは、評価するものですが、どの言語であっても、自分の母語を確立している場合は格別、そうでなく、ひとつの言語も確立できていない子どもの存在を見逃してはなりません。

 

 今、1979年閣議決定に定住インドシナ難民の2世の子どもたちは、小学生になります。普段の会話は日本語でやりとりができます。しかし、少し込み入った事柄になると、表現が難しくなる状況があります。子どもたちにとって、親のベトナム語は母語にはならず、一方で、普段使う日本語を充分に自らの母語として確立する環境が整っていない状況があります。多くの難民の定住するある県では、学校と民間団体が連携をして、日本語の教師の協力と地域のボランティアの力で、放課後、日本語教室を開催しているところです。

 

 言語は、単なるコミュニケーションにとどまるのではなく、自らが何を考えるのか、自己の確立に不可欠です。その子、その人の人生を生きるために、バイリンガルと究極の反対側にいる、1つの言語も持てないセミリンガルの子どもを放置してはなりません。だからこそ、授業補助とは別に、日本語学習支援が不可欠であると考えます。
 東京においても、こうした観点から、日本語教室の重要性を位置づけ、子どもたちが等しく母語を確立して、自己を確立できる環境を整備すべきと考えます。

 

 また、国際化は、日本と海外との行き来の問題ではなく、都内の国際化が進んでいると認識を転換すべきです。観光業の新興に向けて、標識に多言語標記をするという取組みがあります。

 

 しかしながら、短期滞在のみならず、定住して家族で暮らす在住外国人がいます。そういう意味で、生活相談や生活としての言語、権利保障にかかる手続きなどはもちろんのこと、災害情報における多言語による提供や医療通訳などの支援が拡充すべきであると考えます。

 

 都は、こうした地道な在住外国人支援のための活動をおこなっている市区町村や地域のNPO団体等関係機関と連携し、支援を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。 

 

 次に、経済・産業振興について伺います。 

 国内需要の収縮やグローバル競争の激化等の構造的課題が深刻化する中、展望が開けない中小企業も存在することから、必要な施策を講じていく必要があります。
 現在、グローバル化の中、国際分業が進み、日本の貿易は、完成品ではなく、部品・半製品の輸出入の割合が高くなって転換している現状があります。また、国内需要が縮小している状況があります。日本国内での大小の企業が系列を組んでの受注生産という構造は変化し、中小企業においては活路を自らの強みを生かして、外の市場への展開していくことに見ている状況があります。
 販路開拓支援、政策金融の強化、技術流出対策の強化など、海外展開支援の充実が必要です。

 

 先般、都内の中小企業のいくつかに伺いました。城東地域のある企業では、例えば、通信製品にこれまでの技術を改良して、その情報通信の安定に寄与する部品を創り出しています。こうした技術が、国際分業のネットワークの中の一員として、組みいれられていることが必要と考えます。
 しかし、実際に中小企業が海外での営業活動を行なうとなった場合、自力で開発していく創業者もいますが、商慣習などの情報が十分でない上に、カウンターパートナーがどこにいるかなどの取引先とのネットワークづくりに必要な人的なつながりもなく、言葉の壁なども立ちはだかり、販路を見出すことが容易ではない側面があります。
  こうした中小企業の海外市場での販路開拓の努力を支援するため、行政としてのサポートが重要になるものと考えますが所見を伺います。

 

 3月の東日本大震災では、サプライチェーンが断絶し、また流通網が寸断されたことは周知のとおりです。物流に大きな混乱が生じました。東日本太平洋側港湾の被災により、普段であれば、仙台塩釜港から京浜港へ内航フィーダー輸送網を使っている企業も、日本海側の港湾まで陸送して輸出入を行う東北地方の企業も多かったと報道されています。

 

 さて、国土交通省の「輸出入貨物流動調査」によると、東日本地域でのコンテナ貨物の輸出入にかかる京浜港取扱シェアを平成5年と平成20年の間で比較すると大きく落ちていることが明白です。東京港は、京浜港として「国際コンテナ戦略港湾」の指定を受け、今年9月には「京浜港の総合的な計画」を策定し、これらの取組は始動したところです。

 

 東京都は、基幹航路の維持を目的に、京浜港のコンテナ貨物取扱量を増やすことを方針として、内航フィーダー協定を締結し、また本月1日から、川崎港・横浜港と連携して、東京港を利用する外航船舶運航事業者を対象として、新たな補助制度を開始したところです。
 今後、補助にかかる費用対効果を検証していく必要がある一方、今のうちから、利用者の視点で、京浜港の運営に改善を行い、魅力的な港湾にすることがなければ、本質的な競争力の向上にはつながらないと考えます。

 

 荷主企業の視点に立ち、それぞれの品目の生産拠点や立地動向にも着目し、きめ細かく対応してこそ、実効性ある施策が展開できると考えます。東京港の貨物集荷策について伺います。国際戦略港湾という指定がされる中で、基幹航路の維持のみならず、港湾を核とした産業空間の形成、流通関連産業や循環型社会形成のためのリサイクル産業などの立地誘導など、産業振興との連携した取組みが必要であると考えます。
 産業活動を支える高度な物流機能を確保するため、ハード整備とともに、ソフト面での交通ネットワーク構築の取組みが不可欠です。陸海空すべての交通ネットワーク構築について一体的な運営を実現するための取組みが重要ではないかと提言を申し上げ、質疑を終わります。