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定例会報告

一般質問 しのづか 元

しのづか元   

 

 

平成23(2011)年12月8日

 

 

しのづか 元 (南多摩)

 

 

 

*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。録画映像はこちら

 

 

 

  1. 環境について
  2. 教育について
  3. 都営住宅政策の転換について
  4. 保育について 

 

 

 

 はじめにに生物多様性の重要性と緑の確保策について伺います。

 

 昨年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、生物多様性を保全するための「愛知ターゲット」と、遺伝資源を利用する際の利益配分の国際ルールを定めた「名古屋議定書」が採択されました。その結果、生物多様性の価値を経済の仕組みに入れていく新しい社会作りの流れがでてきたのです。これからは、自然資源を持続可能に活用しなければ企業も生き残れない時代となります。
 愛知ターゲットは、2011年以降の生物多様性保全に関する国際目標であり、2050年までの長期目標、2020年までの短期目標と、5つの戦略目標、20の個別目標からなります。その中の「地方自治体と生物多様性に関する愛知・名古屋宣言」では、地方自治体は生物多様性条約の目的を果たし、生物多様性減少の進行を食い止める上で重要な役割があり、この役割を果たしていくと誓っています。生物多様性の確保において自治体の役割とその重要性が明確化したのです。
 

 都内では郊外部の民間開発により、多くの緑が失われつつあります。民有地の緑の保全策については、あらゆる手段を持って対応していますが、実際に保全の手立てが講じられた事例は多くありません。この分野に有効な保全方策が講じられる必要があると考えます。

  そこで、都がこれまで取り組んできた緑の保全策について伺います。●1

 

  私の地元多摩市、稲城市は都心から電車で一時間以内ですが、里山の風景とともに、そこにはホタルやオオサンショウウオ、タマノカンアオイなど貴重な動植物が生息している場所があります。世界の先進国の首都の中でもこのような環境があるのは東京だけと言っても過言ではなく、東京の大きな強みでもあると思います。だからこそ、残された緑を保全し、里山のように適切に維持管理していくことが求められます。

  民間の開発による生物多様性の喪失を回避するには、国や都や区市町村がその緑地を確保することが考えられますが、特に基礎的な自治体の場合、土地取得にかかる費用や維持管理の経済的な負担が大きく、なかなか保全につながっていない実態があります。緑を保全・確保することが財政逼迫に繋がらない仕掛けが必要です。企業など民間の力をもっと引き出すべきです。

 民間の活用として、現在都が実施している「温室効果ガスキャップアンド・トレード」では、電気エネルギーなどを削減した実施量だけが有効なクレジットになっていますが、それに加え新たな開発などで失われる自然を他の場所や労力、資金などで代償することにより企業や事業所に対してインセンティブを与える仕組みの創設なども考えられます。
 比較的近い施策として、グリーンシップアクションや企業の森制度がありますが、あくまでも企業の社会貢献の一環であり、より強力な義務として、自然環境の保護、緑の保全力を上げる必要があると考えます。

 

 世界中の企業が集積し、アジアのヘッドクウォーターを標榜する首都「東京」。常に日本の環境行政をリードしてきた「東京」こそ、COP10の成果を踏まえ国に先駆けて、生物多様性の価値を経済の仕組みに入れていく新しい仕組みづくりにいち早く取り組むべきと考えます。この生物多様性の重要性の認識と緑の確保について、知事の所見を伺います。●2

 

 

 次に教育再生における教師の育成について伺います。

 

  知事は、従来の制度や常識、慣行にとらわれずに、今後の教育のあり方について議論することを目的として、「教育再生・円卓会議」を設置し、先月その第一回目が開催されました。今後、そこでの議論を踏まえて、具体策を教育現場での試行や国への建言をしていくとしていますが、私は、教育再生には教師の育成が最も重要な鍵を握っていると考えます。

  都教委は2008年に、「東京都教員人材育成基本方針」を策定し、毎年4000人とも言われている大量退職、大量採用時代の到来にあって、教育に求められる教師像を実現するために、職層に応じて見につけるべき力を推進する体制を構築してきました。OJTの活用や研修、大学との連携などさまざまな取り組みを行ってきたことは評価を致します。

  現在、都教委が展開している人材育成の取り組みは、多様でありますが、もっと早い段階で大学在学中の4年間、時間をかけて人材を育成できれば、即戦力として4月から教壇に立つことが可能になるのです。
  特に最近は、教師の指導力不足、小学校教諭を希望する学生の減少や部活を指導できる教師の減少、主幹教諭や校長・副校長など管理職のなり手が少ないことなどをよく耳にしますし、学校を取り巻く社会状況の変化により教育における課題は複雑化・多様化しています。

  それらを解決するのに有効な処方箋が、都独自の大学期における人材育成であると考えます。「東京教師養成塾」で似たような取り組みは行われていますが、実施期間も短く本格的な取り組みとは言えません。具体的には、現在の教員養成システムとは異なりますが、消防士を養成する消防学校や看護師を養成する看護学校のように、目的意識を持った学生を、都の責任で都教委の教育方針や人材育成方針に沿って養成するのです。例えば、その養成課程を修了すれば採用試験を免除するなどのインセンティブを与えれば、早い段階で優秀な人材を発掘することが可能になります。更に言えば、東京都は公立の小中学校、都立高校、特別支援学校などその実習現場が豊富にあり、補助教員として実践を経験させることによって、学習指導力や問題解決能力を身につけさせることができますし、本人や都教委にとっても、独自予算で補助教員を採用している区市町村にとってもメリットがあると考えます。

  人は財産であり、組織の根幹です。学校経営の時代にあって、その土台づくりから始めても遅くはないと思います。将来を見据え、人づくりの根幹をなす教師の育成をもっと早い段階から取り組むべきと考えますが、見解を伺います。●1

 

 

 次に都営住宅政策の転換について伺います。

 

  1951年・昭和26年に「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」することを目的に公営住宅法ができてから今年で60年。現在、都内の住宅ストック数は世帯数を1割以上上回り、75万戸ある空き家は今後も増加が予想されています。しかし、都内に26万戸ある都営住宅の入居希望者は年間延べ20万人、平均25倍もの競争率となっており依然として狭き門です。

  「住宅に困窮する低額所得者」とは東京で言えば、4人家族で年収450万円程度までの世帯が該当し、全世帯の約25%までとなっています。しかしながら、現在のルール上、実際に入居してしまえば収入が資格条件を上回っても明け渡し請求の対象とはならないので、結局、本当に住宅に困窮する多くの人たちが入居できていない現状にあります。しかし、だからと言って「ニーズを汲んで増築せよ」という意見には賛成しかねます。

 

  つまり、間口は広く出口が詰まってしまっている状態なのです。この詰まりを解消するには、入居資格を現行の収入分位25%から20%以下に下げ対象を限定することや収入が資格条件を上回った場合の明け渡しの徹底などが考えられます。
  このように、真の住宅困窮者に住宅を提供できるようセーフティーネット機能をさらに強化すべきと考えます。都の所見を伺います。●1

 

  都営住宅の区市町村ごとの配置状況は、全くないあきる野市から、多くの都営住宅を抱えている足立区や江東区など適正配置とは言いがたい状況です。
  多くの非課税世帯や生活保護世帯が生活する都営住宅を受け入れるということは、区市町村にとっては、福祉や教育など独自の財政支出をともないます。また、域内においても大規模団地の存在による課題が生じていると聞きます。
  一方、都営住宅は住機能のセーフティーネットとして、都民が居住地域を変えることなく都心においても郊外においても等しく享受できる行政サービスであるべきであり、居住における福祉政策でもあります。その意味においても、自治体間の供給数の偏在を是正することが求められるのです。
  このような都営住宅の偏在によって生じる課題について都はどのような認識を持っているのか見解を伺います。●2

 

  現在、老朽化した団地を高層化・集約化して型別供給方式により建て替えが進められています。しかし、一度建てたら今後70年もの間維持管理していかなければならず、そもそもこの先公設公営で26万戸の都営住宅を維持していくかどうかを再検討すべきです。維持管理にかかる経費を抑え、大量の民間の空き家を解消するには、民間の空き家ストックの活用による借り上げ方式の導入がもっとも有効な手段であると考えます。
  その活用などで、自治体間の不公平な配置バランスを調整し、大規模団地の中小規模化を図り、年齢・職業・所得水準などが異なる人々が同じ地域で交流して暮らせるようにする、ソーシャルミックスを目指すべきと考えますが所見を伺います。●3

 

  今回の我が会派の海外調査団も調査して参りましたが、イギリスのロンドンやアメリカのニューヨークなどでは「アフォーダブル・ハウジング制度」という、大都市において、民間が高額所得者向けのマンションの建設や住宅地の開発をする場合に、低所得者向けの住宅も一部組み込んで販売または賃貸することを義務付ける制度を作り、民間事業者による低所得者向けの住宅供給を推進しています。
  このアフォーダブル・ハウジング制度の導入など、新たな開発に対する規制誘導策についても検討すべきと考えます。都の見解を伺います。●4

 

  これらを踏まえ、都の住宅政策として早急に都営住宅政策の転換を図る必要性があると考えますが、今後の住宅政策における公営住宅の果たすべき役割と展望について、認識を伺います。●5

 


 最後に、保育について伺います。

 

 平成23年4月現在の就学前児童人口約61万人に対する保育サービスの整備率は、約3割です。東京都の緊急3カ年事業や区市町村独自の取り組みにより、待機児童数は7,855人と昨年4月より580人減少しましたが、潜在的な待機児童数を視野に入れると、保育所整備は、依然として喫緊の課題です。
 緊急3カ年事業の事業期間は終了してしまいましたが、保育所整備・拡充ならびに待機児童解消には、引き続き特段の取り組みが必要と考えます。都の見解を伺います。●1
 

 地域主権改革推進法が成立し、児童福祉施設の基準が条例委任されました。
 中でも保育施設は、都や区市町村の国制度への上乗せ基準や補助もあり、待機児童が多く、高い保育ニーズへの対応が必要な一方、土地や人件費の高い大都市ならではのコスト負担の間で、非常に悩ましい状況です。
 こうした状況に対し、東京都児童福祉審議会の専門部会では激論の末、年度途中で児童を受け入る際には、認証保育所と同じく、1人当たり3.3㎡の基準に対し2.5㎡までの緩和を認めるという、とりまとめが行われたと聞いています。
 しかし、待機児童解消までという時限的な保育士雇用が困難などの課題もあり、緩和は行わない方向性の自治体が多いようです。

 

 一方、都の調査では、0歳児の認可保育所面積基準3.3㎡に対し、実際は5.75㎡と上回っています。それでも待機児童の受け入れにつながらないのは、1歳児は基準近くで運用されており、0歳児を多く受け入れると、翌年は学年進行する1歳児が多くなるため、保護者の育児休暇明け等によるニーズが高い、1歳での入所児童の受け入れ数が減少してしまうといった事情もあるようです。
待機児童が最も多い1歳児の受け入れ枠が増えなければ待機児童問題の根本的な解決にはつながりません。
 そこで、まず、喫緊の課題である1歳児の受け入れ枠の拡充に、都としてどのように取り組むのか伺います。●2
 

 保育の質は単に面積の問題ではなく、少子核家族化の中、子どもや家庭が抱える悩み、障害や疾病への対応、社会性の涵養など、求められる役割が急速に多様化している今、保育力の向上への支援策も必要です。
 また、多摩地域では、3月11日、都心に勤める保護者が帰宅困難となり、急遽、お泊まり保育を行う事態が発生しました。首都直下地震等、大規模災害時に、保育所はどのように子どもの命を守るのか、震災対策への一層の対応が必要となっております。
 従って、待機児童の受け入れを進めるためにも、今後、運営費や職員確保、専門性向上、震災対応等への、さまざまな支援も、積極的に検討する必要があると考えます。都の見解を伺って、私の質問を終えます。●3