
平成19年第4回定例会
平成19(2007)年12月12日
一般質問
佐藤広典(東村山市・東大和市・武蔵村山市)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。
まずはじめに、横田基地について伺います。
横田基地の共用化については、引き続き米側と協議を継続することとなりましたが、多摩地域を含めた、首都圏西部地域の航空利便性の向上と、地域の活性化にとって不可欠でありますから、粘り強く交渉することにより、早期実現を目指していくべきです。
軍民共用化にあたっては、民間空港施設やアクセス交通などのインフラ整備が必要となりますが、今のところ、都の具体的な整備計画が明らかになっているわけではありません。しかし、これまで、知事本局や都市整備局において、軍民共用化に伴うインフラ整備に関わる委託調査を実施していると聞いております。
知事本局については、15年から18年の4年間で、6475万4千円、都市整備局については、13年から18年の6年間で、4062万5千円を使って調査を行っております。
日米交渉の途中の段階で、その調査結果をオープンにすることは難しいとしても、今後、共用化の協議の進展と合わせ、調査結果を十分に横田基地整備のビジョンに活かし、それを発表し、地元の意向も十分に踏まえた上で、大いに議論することにより、インフラ整備の具体化を図って頂くよう要望致します。
また、今後、横田基地が軍民共用化された場合の、交通網の整備について、基本となるプランがありません。交通網整備の基本プランをつくり、インフラ整備の具体化を図って頂くよう要望致します。
首都圏における航空需要は、今後、国際航空、国内航空ともに、増加すると見込まれております。これに対応するためには、羽田空港の再拡張による発着枠拡大、国際化とともに、横田基地の共用化が必要不可欠です。
羽田空港には、多くの国際ビジネス航空や、コミューター航空の乗り入れ需要がありますが、利用にあたり制約が多く、要望に十分、応えられない状況だと聞いております。
そこで、横田基地の軍民共用化により、旅客定期便の運行だけでなく、羽田空港では対応できない、こうした国際ビジネス航空やコミューター航空の乗り入れ要望に柔軟に対応し、多様な航空サービスを提供すべきと考えますが、見解を伺います。●1
また、多摩は、製造業が多く立地しておりますから、貨物便が利用できるようになれば、地域の発展に役立つものと考えます。
中小型のチャーター機と、貨物に関しても利用できるよう検討して頂くことを要望致します。
首都圏の空港の状況を見てみますと、すでに、成田空港と羽田空港には、多くの旅客定期便が飛んでおり、すでに飽和状態です。
万が一、大規模災害が起きて、どちらかの空港が使えない状況になり、長期間、復旧のめどが立たないような事態が起きれば、他に受け皿となる空港が必要です。
しかし、首都圏にある大規模な空港は限られておりますから、横田基地が空の玄関口として、受け皿となるしかありません。
成田空港と羽田空港に対して、横田基地は、ある程度距離があるため、補完的な役割を果たすことが可能ではないでしょうか。お互いに距離のある3つの空港が同時に被災する事は少ないといえますから、お互いの補完的な機能を持つよう準備をしておくことは有効であると考えます。
軍民共用化が実現する前であっても、災害時の首都圏航空受け入れ体制に欠陥が出てはなりません。
災害時における横田基地の有効活用に向け、都は総合防災訓練の実施にあたり、横田基地を利用する協定を、その都度、在日米軍と結んでおりますが、災害時に、特に重要なのは、航空機の受け入れ体制です。
災害が発生した時、直ちに、横田基地が使えるよう、航空機の受け入れ体制を含めた協定を、在日米軍とあらかじめ結ぶべきと考えますが、見解を伺います。●2
今、申し上げましたように、災害に対しての備え、そして、離発着枠の確保、産業振興と、横田基地の軍民共用化は、都の利益だけでなく、首都圏及び、国益のためにも、ぜひとも実現すべき課題です。
引き続き、粘り強く交渉をして頂くことを要望致します。
続きまして、中小企業再生の施策について、お伺いします。
現状では、中小企業にとっては、依然として、景気回復を実感できない状況にあります。
受注先からのコストダウン要請や、原油をはじめとした原材料価格などの上昇分を価格に転嫁できないことなどにより、利幅が急激に縮小し、資金繰りが逼迫した企業が増加しております。
東京都による最近の調査でも、中小企業の倒産は増加の傾向にあるなど、景気回復の恩恵を受けるどころか、むしろ再生支援の必要性が高まっています。早急に、中小企業の経営安定化のための施策を打ち出していくことが必要です。
都の中小企業施策の一つとして、厳しい経営環境下にある中小企業を支援するために、設立されたのが新銀行東京です。
しかしながら、11月30日発表の中間決算によれば、非常に厳しい経営状況に陥っております。不良債権比率は10.17%になり、不良債権処理額は半期で71億円にのぼります。これでは、金融機関として中小企業を支援する融資を続けていくことは困難です。
このような事態に陥った要因の一つに、新銀行東京が、信用リスクの高い企業に、多くの融資をおこなっていたということが、あげられます。
融資先の多くが、経営再建が必要なほど、経営的に厳しい中小企業が多かったために、経営破綻等により、デフォルトが相次いだのではないでしょうか。
このことは、新銀行東京が、融資先企業の再生が適切にできていなかったということを意味します。
新銀行東京が適切に融資先に対する再生支援を行っていれば、デフォルトを抑え、ここまで新銀行東京の財務内容が、悪化しなかったのではないでしょうか。
金融機関による再生支援策は、金利減免や返済期限の延長といった条件変更といわれる、金融面での支援が、当然、主となりますが、これには限界があります。
経営再建の際に必要なのは、資金だけでなく、銀行等の債権者間の調整や事業改善そのものに携わる人材です。
つまり、新銀行東京の事例は、地域金融機関が、自前で企業再生をするには限界があり、企業再生の支援には、融資元の金融機関とは異なる、企業再生の支援組織が必要だということを意味しております。
都が、中小企業支援、とりわけ、リスクの高い企業への経営支援を行おうとするならば、経営再建の支援体制を整備することが不可欠です。
都は、企業再生の取り組みとして、平成16年10月創設の投資事業有限責任組合「東京チャレンジファンド」に25億円を出資し、地域金融機関などの出資と合わせて75億円規模のファンドで、中小企業の再生を支援しています。このファンドは中小企業の中でも、過剰債務を抱える、非常にリスクの高い企業に投資をするわけですから、財務状況や今後の収支見通しなどを詳細に調査し、資本注入や社債の引受など通常の金融機関では容易に対応できない、専門的な再生手法を使っているとのことです。
しかしながら、この「東京チャレンジファンド」は情報開示が適切になされていないため、誰がいくら出資をし、どこへいくら投資されたか、25億円という予算を使いながら、その状況が明らかにされていません。そのため、運用者が出資者である地域金融機関や東京都といかに連携して支援を行っているかなど、このファンドが企業の再生に対して、有効に活用されているかが、明確に示されていません。
投資先である中小企業に対する風評リスクの懸念から、ファンドの情報開示に限界はあるのでしょうが、「東京チャレンジファンド」の出資者として、都が、どのような監視を行い、連携をしていくのか、示す必要があると思います。見解を伺います。●1
また、先にも申し上げましたが、企業再生には資金だけでなく、金融機関をはじめとする債権者間の調整や事業再生ができる人材が欠かせません。ところが、中小企業の再生は経済効率性の観点からも、なかなかビジネスになりにくく、この分野の人材が不足しております。早急に人材の育成を図るべきであります。
中小企業の再生を行える人材の育成を行うに当たって、このファンドが所有するノウハウも活用できると考えますが、見解を伺います。●2
原油や原材料価格の高騰により、体力の低下した多くの中小企業を救うには、この再生ファンドだけでは、まだまだ十分とはいえません。むしろ、中小企業はその資金調達のほとんどを融資に依存しているのですから、都は制度融資の強化を図るべきであります。
都の制度融資は、平成18年度実績で約15万7,000件、1兆9,979億円の資金を供給するなど、都内中小企業にとって、最も一般的なセーフティネットであり、中小企業の経営の安定化を図るものであります。
しかしながら、本年の10月からは、国の信用補完制度の見直しにより、責任共有制度が導入され、一部の制度を除き、金融機関が、信用リスクの20%相当を負担することとなりました。そのため、金融機関にとって、信用リスクの高い企業に対する融資はますます困難な状況になり、貸し渋りが懸念されています。中小企業への安定的な資金供給が断たれることは、ただでさえ、原油価格の高騰などにより、体力が低下している中小企業を倒産へと追い込むことになってしまいます。これは東京の経済活力にとって、大きな損失を招くことになります。
そこで伺います。都は、この責任共有制度の導入に当たり、再生に向け努力する企業に対して、しっかりとした対策を取るべきと考えますが、見解を伺います。●3
経営状態が苦しく、資金繰りに窮した、担保も信用力もない中小企業の再生はかなりリスクが高く、民間の金融機関では対応が困難な状況にあります。しかし、そういった企業に対して、都が民間のノウハウを活用し、中小企業の再生を支援していくことは、東京の経済活力を支えていく上で、大きな効果があると思います。
国では、中堅企業や第三セクターの経営再建を支援する「地域力再生機構」を創設しようとしています。それでは、中小企業の再生は進みません。
「東京チャレンジファンド」や「制度融資」による支援にとどまることなく、中小企業に関する多くの再生専門家を集め、金融機関をはじめとした債権者間の調整も強力に進める、東京都産業再生機構を創設し、中小企業の再生に取り組むよう要望致します。
最後に、都の契約制度について、伺います。
公共工事発注・契約の適正化のため、国をはじめ都においても一般競争入札の拡大や、総合評価方式の拡大に取り組んでおります。適正な品質のものを、適切かつ、なるべく安く買うという姿勢は、都民からの税金を使う以上、当然のことです。
しかし一方で、一般競争入札などでは、いわゆる低入札の問題が発生していると言われております。低入札で問題となるのは、何といっても、まず工事の品質の確保、そしてダンピングです。不良不適格業者の参入などによる、無理な受注によって、工事における安全管理がおろそかになったり、下請け会社などへの低価格の押し付けが、発生しているとも言われております。
これに対して、都では、低入札価格調査制度を設けて、対応しておりますが、入札契約全体の、透明性の更なる向上が必要ではないでしょうか。
国土交通省では、昨年度に、入札ボンド制度を試行し、今年の3月には各地方整備局に対し、WTOの政府調達協定の対象となる予定価格7億2千万円以上の工事すべてに、入札ボンドを導入するように求めております。
入札ボンド制度は、入札参加者の契約履行能力を、金融機関などが入札前に保証する仕組みで、入札参加者が入札ボンドを申請すると、金融機関などは、入札参加者の財務的な履行能力を審査し、履行を保証できる場合に入札ボンドを発行するものです。
国の制度では、入札に参加したい場合、応札額の5%に相当する額の入札ボンドを金融機関などに発行してもらいます。
国でもまだ試行段階であり、その効果を議論するには時期尚早ではありますが、契約履行能力が著しく劣る建設業者の排除や、与信枠の制約による業者の絞り込み、ダンピングの抑止などに効果が期待されております。
現在、都の登録の際に、様々な項目を提出させているということですが、都が、それを一つ一つ調査するのは、非常に大変なことでもありますし、2年に一度しか、資料を出しません。財務内容をよく知っている金融機関が、客観的な評価を行なうことは、有効なのではないかと思います。
同様の試みが、既に、宮城県や埼玉県で導入されているほか、岩手県、兵庫県でも今年度から導入されました。都でも入札ボンド制度導入に向けた検討を行うべきと、考えますが、見解を伺い、私の質問を終わります。●1