平成19年第4回定例会
平成19(2007)年12月12日
一般質問
酒井大史(立川市)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。
多摩地域における高付加価値産業の創出と地域振興、それに伴う交通基盤整備について質問致します。
まず始めに高付加価値産業の創出について伺います。
都は、「10年後の東京」並びに「多摩リーディングプロジェクト(改訂版)」の中で、圏央道開通や横田基地の軍民共用化を契機とした多摩における産業拠点の地位向上に向け多摩シリコンバレーの形成を提唱しています。
この多摩シリコンバレーは、多摩が有する潜在的な能力を活かし、多摩地域における高付加価値産業の創出にも繫がることであり、多いに期待しております。
そこで、現状における本計画のイメージを確認させていただいた上で、具現化に向けての課題について質問させていただきます。
まず、多摩シリコンバレーのイメージについて、「10年後の東京」におけるイメージ図を見ると、多摩北西部から南西部にわたる広いエリアを想定しているようですが、都が考える多摩シリコンバレーは、具体的にどのエリアまでを想定しているのか。またどのようなコンセプトを持って形成しようとしているのか明らかになっていません。この広いエリアには先進技術を有する企業や工業団地、大学が存在し、都立短大の跡地には多摩における都の産業支援の拠点も建設されています。これら既存の企業や研究機関等を核として、新規事業の創出や高付加価値産業の集積、それに伴う雇用の創出までをも目指した一大産業集積地としてのシリコンバレーを目指すのか、それともこの地域は先程述べたような既存企業、施設が点在しているから、とりあえずこの地域を多摩シリコンバレーと呼んでしまおうというものなのか、是非とも前者であって欲しいと思いますが、都のイメージ、コンセプトをお伺い致します。●1
このシリコンバレーの形成にあたっては、一つの参考事例として、スウェーデンのストックホルム市を中心に形成しているシスタ・サイエンスシティを紹介させていただきたいと思います。
これは先般の海外調査報告でも原田大議員より報告致しましたが、本年10月に現地調査を行ってきたものです。
このシスタ・サイエンスシティは、ストックホルム市が2000年にIT構想を打ち上げたことを契機に2001年より建設が始まりました。2003年からはエリクソンも本社をシスタに移し、現在、総面積200万平方メートルを有し、1350社が活動しています。またこのサイエンスシティの特徴としては、住居エリアを併設していることであり、これにより研究開発エリアという側面だけでなく、ショッピングセンターをも有する一大先進都市を形成していることにあります。それに伴い、エリアの内外を結ぶバス路線や道路が整備され、さらに高速市電も整備されつつあります。
行政の関わりとしては、行政主導によって進められ、当初の1〜2年は関係するコミューンが補助金を出し、その後、ストックホルム市や企業等が参加する財団が設立され、運営株式会社と共に運営しております。ストックホルム市においては、土地を10年間無償で貸し付けていると共に企業等が立地しやすいよう、不動産が投機対象にならないような配慮をしているとのことでした。
このような取り組みにより2003年時点でのシスタにおける雇用者総数は3万人を有し、さらに2007年にはICT企業だけで2万人に達しています。またICT企業は2005年427社であったものが2007年には520社と20%も増加している状況にあります。
以上のように、北欧のシリコンバレーといわれるシスタ・サイエンスシティはストックホルム市のイニシアティブによって、世界有数のIT産業集積地となり、世界のITを牽引しているのみならず、域内の雇用や住宅需要の喚起にも貢献していることは、多摩シリコンバレーにも多いに参考になるものと思います。
都も多摩シリコンバレーを形成する以上、世界のシリコンバレーとまでは言わないまでも、アジアのシリコンバレーたらんとの気概を持って取り組んで欲しいと思いますが、その為には様々な課題があります。
具体的には、産業集積を図り、新事業を創出していくためには、都がインセンティブをあたえるようなことも考えていかなくてはなりません。ストックホルム市とは不動産に関する状況が異なるので同様な対策は不可能でありますが、税制の面での優遇や街づくりの点での配慮は可能なのではないかと思います。またインフラについては、高速通信網の充実を始め、交通インフラの充実も欠かせない課題です。都も国道16号線の拡幅を指摘していますが、この地域の物流インフラは不足していますし、都が建設している昭島・立川の市境に位置する多摩産業支援拠点とのアクセスについても課題があると思います。
さらに、シスタ・サイエンスシティでは、ITに特化し、世界のITをリードするための大学として「ITユニバーシティ」が2001年に設立され、産学連携が活発に行われています。こうした産学連携の取り組みも、多摩シリコンバレーの課題であり、海外の先進事例に学ぶべき点が多いと考えますが、以上、都としての多摩シリコンバレー形成に向けての課題について伺います。●2
次に、多摩地域におけるもう一つの課題である、横田基地の軍民共用化に関して、これが実現に至ったときのインフラ整備について伺います。
横田基地の軍民共用化については、騒音の問題等、地域住民への配慮が必要なことはもちろんでありますが、これが実現に至ったときの地域に与える効果は、多摩地域のみならず隣接する県の住民の利便性拡大、さらには多摩シリコンバレーとも連携しつつ地域経済の活性化、雇用創出など計り知れないものがあります。
現在外交交渉中のため、具体的な進展が目に見えてこない状況にありますが、石原知事の所信表明等の中でも改めて、早期実現に向けての強い意志表示がなされたことに多いに期待するものであります。
そこで、都としても外交交渉を見守り、また共用化に向けてのアクションを興していくのと合わせて、共用化が実現した際、取り組まなければならないインフラ整備などの課題についてどのように想定しているのか質問を致します。●1
このインフラ整備については、軍民共用化が実現しターミナル等の位置が確定するまでは具体的な想定は難しいのかも知れませんが、インフラ整備には時間もお金もかかることですので、何通りかの想定をしておくことも必要と考えます。
横田基地の軍民共用化が実現し、民間空港として活用することになった場合、一般的にはターミナルの建設のほか、鉄道や道路などのインフラ整備が必要となります。
横田基地の軍民共用化により、国内或いはアジア地域との航空利便性は飛躍的に向上することが予想されますが、一方、横田基地へのアクセスという面からみると現状の道路計画、整備状況では不十分といわざるを得ない状況にあると思います。
また国内外の都市における空港を見ていますと、その多くにおいて空港近くまで鉄道及び自動車専用道路が整備されています。現実に諸外国では空港からICへ10分以内で到達できるところも多いことから、空港と直結した鉄道や自動車専用道路の整備も必要と考えます。
そこで、横田の軍民共用化にあたり、都としては横田基地へのアクセスを中心とした交通網整備についてどのように考えているのかお伺い致します。●2
以上、多摩地域における2つの課題について質問いたしましたが、いずれにおいてもその計画が現実のものとなったときに必要とされるのは、人や物、経済の流れを司る道路を始めとした交通網の整備であります。
都も「多摩リーディングプロジェクト」の中で、幹線道路の整備促進などを謳っていますが、多摩地域の道路整備はまだまだ進捗していない状況にあります。平成16年度末時点で多摩の都市計画道路は延長1,425キロメートルが計画されていますが、完成率は51%に留まっています。そのため多摩地域の交通はピーク時旅行速度が時速15キロメートルを下回る区間も多いことなどから、移動に多大な時間とエネルギーをかけざるを得ない状況になっています。
私の地元である立川市には広域防災基地がありますが、この中央を通る都道の南進計画も実現の目途が見えず、防災基地への陸路の確保という点では機能的に不十分な状況にあります。
そこで、多摩地域における都市計画道路の整備について、今後どのような計画を持って取り組んでいくのか見解を伺います。●1
以上、何点かに渡り質問いたしましたが、本日取り上げた課題に対応するための一つのアイディアとして、自動車専用道路の建設を提案させていただきます。
もちろん、自動車専用道路については、一般的には国等が主体となって行う事業でありますが、都も都市計画決定等に関与する場合もあるので、一つのアイディアとしてお聞きいただきたいと思います。
この自動車専用道路の具体的な路線は、(このパネルに示したとおり)中央自動車道国立府中IC付近から、広域防災基地、横田基地を通り、圏央道青梅ICを地下で結ぶものです。
総延長は約21㎞、地下道路の仕様としては、道路構造令に準拠し、設計速度は80㎞/h、道路区分は第2種第1級とします。土地買収費を極力掛けないルートとして、当初多摩川堤防下、残堀川地下を通るプランを考えましたが、現行法のもとでは河川下の道路構築は非常に難しいとのことですので、都道下や大深度地下を活用し、(図にあるように)大型車も通行可能な直径13メートル口径の大型トンネル1本或いは、IT技術を活用しフランスのA86号線のような規格の乗用車や4t小型貨物車のみが通行可能な直径6.6メートル口径の小型トンネルを2本建設するものです。(パネル下げる)
この地下自動車専用道路の建設により、横田基地へのアクセスが確保されると同時に、現在国立府中ICから青梅IC間の延長約21㎞において時速30キロ走行時70分掛かる所要時間が控えめに見積っても80㎞走行により所要時間30分と40分も短縮することができ、その結果、来年開催予定の洞爺湖サミットにおけるテーマと想定されるCO2排出量の削減も可能となります。
建設費の想定に関しては、シールドの断面積によって変わってきますが、専門家の話では、先程紹介した大型トンネル1本で掘った場合、用地買収費やシステム費を除き、約3800億円、また小型トンネルを2本掘った場合は、約半分の1800億円とのことです。
いずれにしも莫大な建設費であり、都が行いうる事業ではありませんが、大口径のトンネルについては走行面下の余剰空間を防災基地における防災機能向上にも活用できるメリットがあり、また小口径トンネルについては我が国においては新たなチャレンジとなりますが、建設コストを削減できるメリットと共に、事故発生時の避難用トンネルとしてもう一方のトンネルを活用できることから防災面でも注目すべきトンネルとなります。いずれの計画にしても、平成17年度道路交通センサスをもとに推定すると中央自動車道の国立付近では毎日約4.5万台が通行しており、その内仮に30%程度が利用するだけで現状でも一日1万台の利用が想定されることから、充分利用度のある道路と考えられます。横田基地へのアクセス道路、多摩地域の交通網拡充の一つのアイディアとして、是非ご記憶に留めていただければと思います。
以上、質問事項への答弁を求め質問を終わります。