平成19年第4回定例会
平成19(2007)年12月11日
代表質問
山下太郎(清瀬市・東久留米市)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。
私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
はじめに、平成20年度東京都予算編成に係る諸課題について伺います。
政府の月例経済報告では、10月月例に続いて11月月例においても「景気は、このところ一部に弱さが見られるものの、回復している」とし、先行きについては、「サブプライム住宅ローンを背景とする金融資本市場の変動や原油価格の動向」に留意する必要があるとしつつも、「企業部門の好調さが持続し、これが家計部門に波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる」としています。
また、いくつかのシンクタンクの中期見通しにおいても、2020年度までの日本経済は、「1%台半ばの成長を維持」(日本経済研究センター)、或いは「一時的な減速はあるものの、基本的には緩やかな拡大が続く」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)としています。
不安を抱えつつも、楽観的な見通しを立てているわけですが、来年度予算全体のスキームを設定するに当たって、今後の景気動向と税収見込みをどのようにお考えか、伺います。●1
次に、福田総理と石原知事との合意について伺います。
福田総理と石原知事は、自治体の税収格差を是正するためとして、東京都などの大都市圏の法人事業税の一部を移管し、税収の少ない地方自治体に配分する案について、「抜本改革までの暫定措置」とすることを条件に合意されたようであります。
知事コメントでは、「都の重要施策の実現について踏み込んだ提案をされたことは重要」との認識を示されていますが、それが「分権に逆行」し、「税の原則」に反する税制改悪という重大案件との交換条件となりうるのでしょうか。
「理屈が通るものを示してもらいたい」、これは先週の記者会見における知事の発言であります。しかし、今回の合意のどこに理屈が通っているのでありましょうか。
自治体間の税収格差を調整し、ナショナルミニマムを保障するのは地方交付税の役割であり、これを地方税の一部を剥奪して行おうというのは、国としての責任を放棄するものであり、全く筋が違うと言わなければなりません。
一部報道によると、石原知事は、法人事業税の配分見直しをめぐり、一部で「都の合意」が伝えられたことに猛反発し、副知事ら最高幹部を執務室に呼び、国との「徹底抗戦」を確認したとのことですが、これでは、結果的には政府・自民党に押し切られた形になったとの印象を拭いきれません。
この間の交渉に、知事はいかなるリーダーシップを発揮されたのか、ご説明ください。●2
次に、知事の選挙公約である低所得者減税から「進化」したとされている、低所得者生活安定化プログラムについてです。
この一連の対策は、この公約発表当初から民主党が言ってきた、自立支援策をおこなうのが本来の姿である、という指摘に合致したものです。働ける年齢層への就業促進扶助、現に働いている低所得者層への所得向上策といった、これまでの失業保険や生活保護ではカバーしていなかったため、統計にも現れなかった見えない低所得者への新しい取組として率直に評価いたします。景気が回復している時期にこのような取り組みを行う事は良い選択だと思いますし、新しい雇用政策におけるモデルとなることを期待するものです。
この取り組みで求められる目標は、労働能力がありながら低所得者にとどまる者をしっかりとした納税者にしていくことであり、一時的な就労で終わらせるべきではないと考えますが、知事の所見を伺います。●1
社会統計は、住居や仕事、年金のある人や、生活保護など既存の福祉制度を利用している人は把握できます。路上生活者の数についても調査がありますが、終夜営業のレストランやファストフード店、簡易宿泊所、病院、施設への入退所を繰り返し転々と暮らす人は、安定した住居を持たないと言う点ではホームレスですが、この調査では把握されません。
この数を把握する必要性をご理解いただくために、私自身が経験した出来事をご紹介したいと思います。最近景気が良いと言われる、とある政令指定都市で、深夜に駅前のファミリーレストランに入りました。ほぼ満席の店内を見渡すと、ほとんどの方は、私同様、始発電車までの時間調整しているように見えました。テーブルに突っ伏して寝ている方、話を楽しむ方などがいましたが、特に目にとまったのは、40代から50代のグループでした。数百円でお変わり自由の飲み物を、4人で取り合いしており、聞こえてくる会話から、日雇い労働で住むところがないと推測できました。ご苦労されているなーと悲しい気持ちで店内を見渡すと、お客の半数以上が大きな荷物を抱えており、この方達と同じような境遇と推測されました。
アイスコーヒーを頼むと、他の系列店ではテーブルに常備されている、ミルクや砂糖がありませんでした。店員さんに確認したところ「以前は置いていましたが、全部持って行かれるので、その都度お出ししています。」とのことでした。
日本でまさかと思いましたが、アメリカの貧困街で経験したのと同じ状況でした。もし私が一人でなければ会話に気を取られて、見過ごしてしまったかも知れません。それほど、一見ごく普通の光景でした。私は、限られた地域に見られた現象が、その数を増し、都市部全体に広がっていると体感し、困窮されている方々が少しでも、明るい未来を描ける方法を真剣に考える必要性を再認識いたしました。
知事が、低所得者生活安定化プログラムを実行し、本当に困っている人をサポートしようとされるなら、少なくとも日本の首都東京において、どれだけの人がこういった状況にあるのかを把握するために、徹底した調査をすべきと考えますが、ご所見を伺います。●2
このプログラムの特徴である、いわゆるネットカフェ難民などの、見えない低所得者層への支援が行われることは、画期的な取り組みです。しかし、施策を具体化していく上で、よく検討していただきたい点があります。
現段階での枠組みでは、主たる生計者であることがひとつの条件になるとのことですが、この条件を強調してしまうと、本来、主たる生計者として独立した暮らしを営むべき年齢にありながら、独立できない人が見過ごされてしまうおそれがあります。彼らは、10年後20年後、親が年老いた時に生計を担うことができず、低所得者として一気に顕在化してしまいます。
また、ネットカフェ難民といわれる人々に囚われすぎると、先程申し上げた、一体どれだけいるのか把握すらされていない多くの不安定就労者、低所得者は、見えないままになってしまうのではないかと考えます。プログラムの対象については、実態すら把握できていないことを踏まえ、ネットカフェ難民と言われている人々のみならず、親にパラサイトしているフリーターや低所得の派遣労働者など、できるだけ多くの低所得者が利用しやすい仕組みとすべきと考えますが、所見を伺います。●3
不安定就労に陥る人達は、就労以前に、心身や生活上の困難を抱えていたり、自身の低学歴に加え、親の教育歴、所得水準の低さとも明確な相関関係があるとの指摘があります。つまり、多くの若者達は、貧困の再生産のサイクルに閉じこめられ、構造的に生み出されているのです。
特に、バブル期にマスコミが見いだしたフリーターは、その後の不況で数が激増するも、自由な生き方、親に依存する豊かな若者といったイメージが定着してしまったため、対策が遅れてしまいました。彼らの学卒時に、求人と正規雇用が急激に減少し、安定した所得の得られる仕事から社会的に排除され「働きたくても働けなかった」のです。
貧困の再生産から抜け出すには、高校や大学、専門学校への再入学など年単位の時間が必要です。資格取得の支援にしても、修学資金だけではその間の生活が維持できませんし、私たちが提案してきた職業訓練期間中の生活資金も6ヶ月間だけでは十分とは言えません。また、訓練期間中の母子家庭へのホームヘルパー派遣に加え、保育施設の利用を可能にする支援なども考えるべきです。
このプログラムは、これまで日本の雇用政策、生活保護からこぼれていた方を対象とするだけに、やってみなければわからない部分が残るのはやむを得ません。それだけに、ひとまずの区切りとして期間を設けることは理解できますが、やはり3年間で効果を挙げるところまでいくのか、疑問をぬぐえません。
このような低所得者対策を実施するということは、貧困の再生産のサイクル=社会的排除の流れに介入し、社会的包摂へ向かう、大きく長い戦いとなります。若年者の就労対策に取り組んできた英国などの例を見ても、20年以上前から試行錯誤を繰り返し、未だに解決には至っていません。
こうした点を踏まえ、職業訓練を中心とした6ヶ月の適用期間、また3年という低所得者プログラムの期間について、どのように考えるのか伺います。●4
最後に、区市町村を一時相談窓口と考えているようですが、これまで区市町村は経済や雇用という相談に対応しきれるほどの実績やノウハウがないのが現実です。多様な状況下の利用申請者に十分に前向きな応対ができず、メニューの多いこの施策の対象になるにもかかわらず、利用につながらないといったことがないように、市区町村担当者への理解を深める努力が不可欠です。また、実際には都の担当部署が支援を実施するとのスキームを考えているとのことですが、多くの利用者に対し十分な実施体制が確保できるよう現行体制を強化する必要があるということを申し上げておきます。
次に、多摩・島しょ地域の諸課題について伺います。
平成12年12月に策定された「東京構想2000」を踏まえ、15年後の多摩地域のあるべき姿を明らかにし、その実現のための取り組みを示した「多摩の将来像」が、平成13年8月に作成されました。
昨年の12月には、2度目の東京オリンピック招致を契機として、「10年後の東京」が策定され、翌月には、重点推進事業の充実を図った「多摩リーディングプロジェクト改訂版」が作成されました。
都全域の近未来図とした「10年後の東京」が区部中心の構成であり、多摩への取り組みが「事業改訂版」にとどまっていることに、知事の心は多摩に向いていないのではないかと思うほどです。
また、「10年後の東京」に多摩の説明もありますが、多摩全体がシリコンバレーとなるわけではありません。都は、多彩な地域特性がある多摩がどう変わるのかを示す、「多摩の将来像」の改訂版、近未来図を改めて考えるべきではないでしょうか。知事の所見を伺います。●1
次に、横田基地軍民共用化について伺います。
都は、都内最大の米軍基地である横田飛行場の返還を最終目標とし、それまでの対策として基地の軍民共用化の早期実現に向けて取り組んでいます。
知事は1期目の公約、そして3期目においても「東京再起動」の優先課題として、歴代総理や米国関係者に働きかけを行うなど、率先してこの問題に関わってきました。それが在日米軍再編の一つとして組み込まれ、この秋、共用化の検討結果が公表されることになっていました。
都議会民主党も、返還までの対策として、横田基地の民間航空との共用化を進めるとともに、都民の平穏で安全な生活を守り、地域のまちづくりを進める立場にあり、都の取り組みに敬意を表しています。
しかし、日米双方を行き来した会合を重ねてきたにも係わらず、未だに継続協議となっています。この間、都も国に「連絡会」を通じて様々な提案を行ってきた訳ですが、果たして日米間に共用化に対する共通認識が育まれたのか、また日本側から今後新提案が示されるとも聞きますが、まずは第一段階である検討の合意の可能性について、また、10年先も展望して長期的な課題である横田基地の軍民共用化の実現に関して、知事の所見を伺います。●2
また、横田基地の軍民共用化は、都の「10年後の東京」や「多摩リーディングプロジェクト」改訂版において、多摩地域を首都圏の中核や観光拠点として発展させる重要な位置にあり、その実現の可否は、圏央道等の整備とともに、多摩振興に大きな影響を及ぼします。
軍民共用化にあたっては、地域の経済発展ばかりでなく、騒音対策など都市部の基地に起因する生活環境問題への対策を国と共に万全に行わねばなりません。
そこで、今回の日米協議は、これらの視点を十分に踏まえた上で進められているのか、地元自治体に経過は説明しているのか、所見を伺います。●3
平成25年に多摩・島しょ地域を中心に開催される東京国体について伺います。
昨今の国体は、開催地負担の大きさに比べてのマンネリ化等の問題があり、知事が国体の意義を問いかけたこともあるように、国体改革の必要性が指摘されています。課題としては、オリンピック選手等のトップアスリートが参加しないことやプロ競技者が参加できないこと、学校教育制度に重きを置いた年齢制限がありジュニア競技者の育成に対応できていないこと等があります。
今回はトップアスリートの育成など競技力向上と都民全体のスポーツ振興を高める大きな契機とすべき大会であり、東京から新しい国体、総合スポーツ大会を作り上げていく取り組みが重要であると考えます。市長会からは、国体を盛り上げる事前事業開催への支援策等も要望されています。また幅広い都民参加型のデモンストレーションをより多く開催することも考えられます。国体を盛り上げるための新しい試み、そして新しい国体へ向けた取り組みをどのように考えているのか、知事に伺います。●4
今回の国体は東京で3回目の開催であり、その発端は市長会と町村長会から提出された平成元年の「東京多摩国体の誘致の要望書」と同5年の「多摩東京国体の推進に関する要望書」によります。
そのため、正式名称の「東京国体」の他に、開催地の期待と盛り上げのため、サブタイトルやスローガンなどに多摩・島しょを明確に盛り込むことが必要と考えます。
また、都では、この国体を契機として市町村振興を推進していく予定であり、まずは財政面における競技施設費補助が来年度から実施されます。
しかし、この補助だけでは市町村振興にはつながりません。都は、国体開催をきっかけとして、どのように市町村振興を展開しようと考えているのか伺います。●5
三宅島の復興とモーターサイクルフェスティバルについて伺います。
今回、我々民主党からは3名の議員が実際にイベントを観覧するとともに、火山ガスの高濃度地区や産業など村の復興の現状も合わせて視察をしてきました。
村民の念願であった三宅島空港が来春に再開する運びになったことは、今後の観光産業の発展に大きな弾みとなります。我々も新たな企画によって島の愛好者を増やしていく試みは間違っていないと考えます。また今回のイベント開催に尽力した関係者のご努力に敬意を表します。
イベントは、島の復興・発展を願い島内一周を行った、オープニングパレードに始まり、メインプログラムである全日本ドラッグレース選手権三宅大会では、三宅島空港にプロストックバイクの爆音が響き渡り、その迫力あるスピードは村民を始め観衆を大いに引き付けました。
イベントが終了して、その検証をする上で、最も大切な観点は三宅島にどのような効果がもたらされたのか、また参加者の皆さんが再度島を訪問したいと感じていただけたのかということです。本大会の最大の企画・支援者である都は、村と共に、その成果と経済波及効果を確認し、また、村民や参加者などの声を積極的に聞き、事業の検証を行っていくべきです。所見を伺います。●6
今後とも、三宅島への観光客を増やす新たな取り組みが必要です。島は素晴らしい海洋などの自然環境に恵まれ、ダイビングや磯釣り等のスポットとして有名です。
また、度重なる火山活動の猛威を物語る溶岩流などは他では見ることのできない景観であり、これを観察すること、故ジャック・モイヤー氏が推進していた魚やサンゴなどの自然環境実習とともに、島の自然の活用が子どもたちの学びに大変有効であると考えています。
さらに来年、空港が再開されるこの機会に、島全体を資源としてあらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し、撮影隊だけでなく作品を通じての観光客も増やす、「直接・間接的経済効果」を期待する施策を始めることはどうでしょうか。映像制作から島の文化に新たな創造を引き出せるかもしれません。東京近郊に位置する島は、ロケ地候補として大変チャンスがあります。実際に、民間で島を舞台とした撮影企画が提案されていると聞きます。この施策ではより効果を上げるため、フィルムコミッションの立ち上げなども考えられます。都も「東京ロケーションボックス」の経験を活かせるのではないでしょうか。
島が、本来持っている魅力を多様な施策として活用し、自ら復興を進めていく。都はこうした島の姿勢に長期的展望を持って支援していくことが必要であると考えます。所見を伺います。●7
次に、医療行政について、伺います。
私事ですが、今年、一児の父となり、我が事としてさまざまな事態に直面し、都のサービスを利用してみて、改めて施策充実の必要性を痛感しているところです。
小児救急電話相談の#8000にも、子どもが夜間発熱した際、利用しました。これは、全国共通の電話番号#8000番にかけると、各都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師や看護師が、子どもの症状に応じた対処の仕方や受診できる病院などのアドバイスをくれるものです。
私の場合、時間が夜10時をまわっていたため、相談は終了しており、救急車を呼ぶ必要があるかどうか、東京消防庁の救急相談センター#7119に相談しました。その結果、救急車は呼ばずに、車で最寄りの救急病院に行くことにしました。
私が行ったときもそうでしたが、小児救急の外来は、夜12時をまわってもおおむね混雑していると聞いており、他に頼れる所がないから、多くの親が来ているのではないでしょうか。しかし、小児救急電話相談#8000の利用時間は平日夕方5時から夜10時、土日・祝日・年末年始には朝9時から夕方5時までです。他の自治体では、平日でも夜10時以降も、23道府県、休日は33府県、が実施しています。
救急の前段階での対応を目的として、小児救急相談電話という看板を掲げるのであれば、それに見合う実体を備えることが必要だと考えます。
子どもの病気への対処方法をアドバイスする小児救急電話相談#8000は、平日・土日休日とも、実施時間を延長すべきと考えますが、所見を伺います。●1
高熱を発した場合の、熱性痙攣はよくあることで、心配ないという知識はあっても、我が子が本当にそのケースなのかどうか、電話では不安をぬぐいきれず、どうしても万が一を考えてしまいます。私の場合も、応答してくださる方は、実際に診ていませんから当然ですが「大丈夫だと思いますが、お父さんがご判断下さい」とおっしゃいました。
このような課題は電話サービスの限界ではあります。ただ、これをメリットとして考えた場合に、専門家のリードで状況を整理し、医師に伝えるポイントを絞り込み、診療に臨む、という点では良い流れを作ることができます。この観点はもっと重視してもよいのではないでしょうか。
また、都内のトロント小児病院で行われた調査結果によれば、救急外来患者の0.6%はICUを必要とする重篤な患者、11%が入院が必要な患者であり、小児救急患者の中に重症者は必ずいるとのことです。素人に病院へ来ないという判断をさせるよりは、たくさんの患者の中に必ずいる重症患者を手遅れにさせないために何ができるかを考えていただきたいのです。
そこで、#8000について、運用の実績をどのように分析しているのか、また、事前に情報を整理して診療に臨むという観点から一層の活用を図るための取組を求めるものですが、所見を伺います。●2
また、直接病院に来た場合でも、診察を前に同様のことができれば、現場はかなり改善できるのではないでしょうか。都立病院では、医療の現場の負担を軽減するためにいくつかの病院で新たな形の医療事務職導入を目指していると聞いています。これは、350人規模のアメリカの病院であれば、レジデント100人、秘書90人などがいることからも必要な役割であり、日本にはいない周辺の職員のモデルとなり得ます。日本の医療機関として前向きに構築すべき体制と考えます。転院などでは事前の情報収集はあるようですが、外来ではまだこれからの試みだと思いますのでがんばっていただきたいと思います。
しかし、このような患者や家族の病状踏まえて対応でき、医師ともやり取りできる人材が簡単には見つからないと予想されます。体制構築と並行して人材の発掘・育成の努力をすべきと考えます。更にはかなりの専門性もあるために報酬面での身分確保も確立すべきと考えます。東京都はこのような課題についてどのように考えているのか所見を伺います。●3
小児科医師の激務によるバーンアウト、医師不足が連日報道されています。
私たちが直接伺った話でも、大学病院の勤務医師は、従来、50代まで働くのが一般的だったのに、最近は、後進の指導にあたるべき中核の年齢層の医師が早めに開業してしまい、空洞化が起きているとのお話しでした。
また、当直あけからの勤務が終わり、疲労のピーク時でも、病棟から自分の担当する子どもが出血した、と連絡が入れば、数時間にわたり処置を行うことなどはよくあること。自分と患者の関係から、どんなに疲れていても帰ることはできない。こう淡々と語る言葉に、ただただ感謝と尊敬、私たちに何ができるのかという焦燥感、とんでもない事態への驚愕、いろいろな感情に呵まれました。
医師は、ただ自分と患者との1対1の関係から、日々踏ん張っている、今の救急は、その個人におんぶにだっこしている。制度としてバックアップしなければならない。言葉にしてしまうと陳腐かも知れませんが、そう感じました。
さらに、私たちが頂いた彼の時間は、半年ぶりの、しかも午後だけのオフであったと、ふとおっしゃった時には、いろんな意味で申し訳ない思いで一杯になりました。
いささか情緒がすぎたかも知れませんが、恥じらうことなく、皆さまにお伝えしなければならないと思い申し上げました。
こうした現場へのバックアップ策として、具体的に提案いたしますが、2次救急において、実態は夜勤であるのに、制度上は休息を基本とする当直とされている点を改め、30時間や40時間という超長時間勤務を解消すること、一人の医師が軽症・重症の救急患者、病棟、外来に対応する一人3役状態を解消するため、プライマリケア担当医師を配置すること、さらにトリアージや患者情報の整理を行う医師の補助者を配置することが必要です。そして都がすべきなのは、こうしたことを国がやらないのであれば東京都が実施することです。
この問題は、大本の医療制度、診療報酬の設定に起因しており、今日のこの深刻な状況を招いた我が国の医療政策の無策に、強い怒りを感じます。これが実現していない現状では、特に小児救急の分野では、公で負担しなければ、これ以上の空洞化を阻止するための十分な体制を構築することはできません。
最近の親は情けない、と批判するのは簡単ですが、東京の家庭は核家族が86%以上、一人っ子が36%と、家族のあり方も変わっています。24時間365日専門の医師がいる、医療設備が整った病院で診てほしいという親の受療行動を是正させる、建前論を基本とした受診抑制策と小手先の改革では、現場は疲弊の段階を超え、崩壊へと進まざる得ません。
私の提案に対する知事の所見を伺います。●4
なお、医療行政に関する最後の質問は、一番最後にさせていただきます。
次に、築地市場の移転問題について伺います。
都議会民主党が、国の民主党に働きかけてきた「土壌汚染対策法の附則3条を見直す法律案」が、12月4日、参議院に提出されました。
この法案が成立すれば、法施行前に有害物質使用施設を廃止した土地のうち、一定の用途に使用されるものについては、現行法レベルに基づく土壌汚染状況調査を行うことになります。また、基準を超える汚染土壌があれば、その土地は、汚染されている区域として指定区域に指定されることになります。
この法案の可否にかかわらず、土壌汚染の対策についても、少なくとも、汚染土壌の全面的な除去や地下水の管理徹底など、土壌汚染対策法に指定されることのないレベルにまで、対策を講じていかなければ、都民の理解は得られないのではないでしょうか。
知事は、所信表明で「調査結果をもとに万全の対策を講じていく」と述べていますが、今のところ、「万全の対策」の意味するところが、私たちと知事との間では、違うようです。
豊洲の土壌汚染に対する「万全の対策」について、知事の所見を伺います。●1
この間、市場移転問題での猪瀬副知事の発言が、一部で問題視されています。
インターネットで連載されている副知事のコラムから引用すると、その内容は、例えば、「築地市場は、イオンやイトーヨーカ堂に価格決定力を奪われつつある」とか、「クルマ社会に対応できずシャッター通りになった駅前商店街と同じ」とか、あるいは「取扱量は減少し、移転が遅れるほどジリ貧化するが、移転をすれば、取扱高が再浮上する可能性もある」などです。
これらの発言については、築地の地元・中央区議会でも取り上げられ、矢田美英区長は、「『データをもとに客観的な議論を』と言いつつも、築地市場にとっての負のデータばかりを列挙しており、市場移転を前提とした議論と言わざるを得ない」と述べるとともに「東京都の責任者としての視点がかけている」と答弁しています。
私たちのところにも、仲卸のコマの権利について、「バブルのときは1コマ1億円だったが、今は500~700万円」との猪瀬氏の発言に、市場関係者から「データを示せ」との声が届いています。
今後、地元区をはじめ、市場関係者などと真摯な議論・協議を重ねていかなければならない時に、担当でもない人が、副知事の肩書きで、発言・発信し、不要な混乱を招くことは、好ましいことではありません。
私は、東京都のしかるべき責任者が、地元区や市場関係者と、誠実に協議を積み重ねていくことが極めて重要であると考えますが、知事の所見を伺います。●2
次に、新銀行東京について伺います。
11月22日、石原知事は、新銀行東京の事実上の経営トップである代表執行役の森田徹氏が退任し、後任に東京都の港湾局長である津島隆一氏を充てることを発表しました。
健康上の理由で退任したとはいえ、半年間でトップが2度も変わるというのは、オリンピックがらみの都庁人事でも見たことがありません。まさに異常です。
石原知事は、新銀行東京の失敗について、「経営の責任は経営者にある」と強弁し、責任を逃れてきましたが、今回のように経営のトップが次々と入れ替わるような事態に陥っているのは、誰の責任なのでしょうか。石原知事の見解を伺います。●1
6月の本会議において、東京都は、代表執行役に就任予定の森田氏に対して、「長年金融界に身を置き、中小企業支援にも精通した、その知識と経験を十分に生かしてもらうことを期待している」と答弁していました。
であるならば、今回の人事は何なのでしょうか。もはや、新銀行東京は、民間からのなり手がなく、都庁の官僚を人身御供として送り込むという状況にあるとしか思えません。
石原知事は「銀行側から適任者の推薦依頼があった」と述べていますが、銀行経営の適任者として、都庁の官僚が、本当に相応しいと考えているのでしょうか。
金融をはじめとした経済に精通した民間人の登用を模索したのか、しなかったのかも含め、銀行経営の適任者に対する、知事の認識を伺います。●2
また、石原知事は、新たな代表執行役である津島氏に対して「新銀行の立ち上げとその後の経緯について精通している」と評していますが、そもそも新銀行東京の失敗は、立ち上げ当時のプランの見通しの甘さにも、その一因があったのではないでしょうか。
一方で、津島氏は、港湾局長として、臨海3セクの破綻処理を手がけたことがあり、むしろ、彼の手腕を期待するのであれば、新銀行東京の破綻処理にこそ相応しいように思われます。
石原知事は、新たな代表執行役にどのようなことを期待しているのか、見解を伺います。●3
トップが突然交代するなか、新銀行東京は、11月30日に平成20年3月期の中間決算を発表しました。
9月までの半年間の赤字が87億円と、6月に策定された新中期経営計画と比べれば、3億円ほど改善しているかのように思われます。しかし、その主な要因は、融資実績が低調だったことにより貸倒引当金が不要になったことにあるのです。さらに、デフォルト対策で予想以上に経費が膨らんでいることからも、改善したといえるような状況にはありません。
6月に策定したばかりの新中期経営計画と中間決算との間には、すでに大きな乖離が生じているように思いますが、東京都は、デフォルト対策ですでに経費が膨らんでいることや融資実績が低調なことに対して、どのように認識しているのか、見解を伺います。●4
新銀行東京の中間決算の記者会見では、その日に代表執行役に就任したばかりの津島氏が、「状況によっては、計画にこだわらない」と述べるなど、早くも、6月に策定されたばかりの新中期経営計画の見直しを示唆してます。
石原知事は、定例会見において「都が持ってるいろんなオプションを活用するなどして、頑張ってもらいたい」と述べていますが、東京都との連携を名目にして、新銀行東京を支援していくようなことはあってはなりません。
石原知事は、東京都と新銀行東京との事業連携について、どのように考えているのか、見解を伺います。●5
また、石原知事は、この間、新銀行東京への追加出資はしないということを述べてこられましたが、11月30日の定例会見では「ニーズがあるのかないのか、新しい責任者の報告を踏まえて考える問題」と含みのある発言をしています。
新銀行東京への追加出資は、都民の税金をさらにムダにする行為に他なりません。
追加出資の是非について、改めてこの本会議の場において表明されることを求めるものですが、石原知事の見解を伺います。●6
新銀行東京は、すでに死に体です。
私たち都議会民主党は、民間への売却も含めて、新銀行東京のあり方を早急に検討すべきだと主張してきましたが、もはやこのような段階になって、新銀行東京を買ってくれるところがあるのかさえ定かではありません。
新銀行東京の維持・存続にこだわるのではなく、都民に一番負担の少ない形で、東京都が新銀行東京から撤退する方法を早急に検討すべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。●7
さらに、新銀行東京について、この間、私たちが求めてきた情報公開が、まったく進んでいないことも残念でなりません。
私たちの質問に、東京都は「企業経営上秘密としているものを除き、情報公開を進めるよう、都として働きかけていく」との答えを繰り返すのみで、具体的な情報は、ほとんど公開されておりません。
都民の税金が1000億円も投入されているわけですから、東京都は、新銀行東京に働きかけるだけでなく、株主としての権利を行使して、自らが情報を積極的に入手すべきです。
これまで私たちが公開を求めてきた全株主のリストをはじめ、月別・地域別の融資実績、4半期ごとの決算などについては、再度、公開を求めるものです。
また、これら以外の情報についても、新銀行東京の経営上、公開しても影響がない情報については、東京都が積極的に入手・整理し、都民の前に積極的に公開し、東京都としての説明責任を果たしていくべきと考えますが、併せて、見解を伺います。●8
次に、温暖化対策について伺います。
知事は、所信表明の冒頭で「『アジア大都市ネットワーク21』第6回総会に出席し、地球温暖化対策について議論を深めてきた」と述べるとともに、アジア諸国における新たな国際的枠組みの成立に向けた取り組みを表明しました。
私たちも、日本の首都である東京都が、アジアの大都市と連携し、温暖化対策をリードし、進めていくことは極めて有意義なことであると考えています。
しかし、その枠組みとなるアジア大都市ネットワーク21に、中国の首都であり、1,500万人の人口を要する北京市が入っていないのは、今後、アジア全体での温暖化対策に取り組んでいく上で、支障をきたすことになるのではないでしょうか。
知事は、同じく所信表明で、「東京の友好都市北京が、オリンピック精神を具現化して大会を成功させることを祈念する」とエールを送っていましたが、いみじくも、東京都が2016年の招致を目指す東京オリンピックのテーマも「地球環境の再生」です。今こそ、温暖化対策を足がかりにして、アジア大都市ネットワーク21に北京市が復帰するよう働きかけてはいかがでしょうか。
アジアの大都市を巻き込んだ温暖化対策の推進に向けて、知事の所見を伺います。●1
また、知事が所信表明で、「着実に推進していく」と述べられた、大規模なCO2排出事業者に対する削減義務化などの施策については、一度、2002年に策定した「地球温暖化対策!東京作戦」でも打ち出し、実現しなかった施策です。
今回も10月25日に開かれた東京都のステークホルダーミーティング=利害関係者との意見交換会では、経済団体から「経済活動を損なう」とか「他県への事務所の流出を招く」など、反対意見が相次いだと聞いており、導入に向けた道のりは、なお険しいものと思われます。
しかし、温暖化対策は待ったなしの問題です。
私は、知事が率先して、経済団体の理解と協力を得るなどして、実効性のある温暖化対策に取り組んでいくべきと考えますが、知事の所見を伺います。●2
また、温暖化対策は、義務的手法だけでなく、支援策を通じて進めていくことも重要で、特に、中小事業者の温暖化対策を進める上では、欠かすことができません。
東京都は、平成17年1月より、環境金融プロジェクトの取り組みを進め、環境配慮型金融商品の創設を促すとともに、最近では、今年8月31日に環境CBOを創設していますが、こうした施策をさらに進めるとともに、総合的な支援策を構築していくことが必要です。
私は、東京都の制度融資に、温暖化対策に向けたメニューを追加・充実させていくとともに、温暖化対策に取り組もうとする中小事業者への相談体制の充実や、ESCO事業者などによる省エネ診断を支援する制度の創設など、温暖化対策に向けた中小事業者への支援について積極的かつ総合的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。●3
次に、環境税の導入についてです。
民主党は、先の参議院選挙でのマニフェストなどにおいても、石炭を含む化石燃料を対象とした地球温暖化対策税の導入などを掲げているところです。しかし一方で、政府・自民党は、環境税の導入には極めて後ろ向きです。このような中、知事の諮問機関である東京都税制調査会は、11月29日、東京都の独自課税として、環境税の検討を進める中間報告をまとめました。
来年秋の最終報告に向けて、今後、活発な議論が期待されますが、国の対応が遅いのであれば、率先して、東京都がこの問題に取り組むべきと考えます。
環境税の導入に向けた、今後の取り組みについて、知事の所見を伺います。●4
最後に、重大な質問をさせて頂きます。
平成19年11月28日、多摩北部医療センターの非常勤医師が総武線車内で約170人分の氏名・生年月日・診察日時・病名・病状の変化などを含む個人情報のデーターが入ったパソコンを紛失するという事故が起きました。
事故発生から7日経過し、私が問い合わせるまで、ただ1枚の紙が送りつけられただけでした。ほかに何の説明もないことを不信に思った私が調べてみると、なんと、本年度に入ってたったの半年間で、都と管理団体において、計14件もの個人情報を漏洩・紛失する事故がおきていたことが分かりました。中でも、病院経営本部が監督・指導する病院における紛失事故は、今回の事故とあわせて4件にも及びます。
個人の病名・病状の変化などの命に関わる個人情報が流出する危機にひんしていることが、いったいどういうことなのか、はたして、病院経営本部は本当に事の重大さを認識しているのか、私には甚だ疑問であります。半年間で4回もの再発を繰り返す病院経営本部には、何の緊張感、危機感もなく、明らかに重大な過失があると思われます。私は、疑問を通り越して、怒りすらおぼえています。
民間企業では、ジャパネットたかたで同様の事件が発覚した際には、約2ヶ月間の広告活動や商品の販売を自粛し、およそ150億円の減収に耐えながら、発覚当日から事業再開まで、毎週、謝罪と報告を繰り返しました。この時、社長は会社を清算することも考えていたと言います。また、ソフトバンクでの情報漏えい時にも、全会員に500円相当の金券を送るほか、通常有料のサービスを3ヶ月間無料にし、経営陣も、孫正義氏を減給50%、6ヶ月、副社長・取締役を減給30%、3ヶ月という社内処分を下しました。
このように、民間企業では大変厳しいペナルティーをはらって、再発防止と信頼回復に努めているにも関わらず、それを監督・指導する立場の行政が、組織として何の責任もとらず、事故が起きるたびに、ただ「今後、このようなことがないようにいたします」と繰り返すだけでは、到底都民の理解を得られるはずがありません。
病院経営本部は、この半年間で4件もの個人情報の紛失事故をうけて、どのように組織としての責任をとるつもりなのか、そして、今後、どのように再発防止につとめるのか、見解を伺います。●
最後に、情報化社会がますます進む中、こういう時こそ、知事の強いリーダーシップで、情報管理について、職員の意識レベルの向上を徹底して頂きたいと申し上げて、私の都議会民主党を代表しての質問を終わります。
ありがとうございました。