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定例会報告

一般質問 佐藤 由美

 

平成22(2010)年6月9日

 

佐藤 由美 (葛飾区)

 

 

 

 

 

  

*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。

 

 

 

 

1.社会政策について

2.住民自治の強化について

3.経済産業政策について

 

 

佐藤由美でございます。発言させていただきます。
  まずはじめに、昨日6月8日、市民運動から活動を起こしてきた菅総理のもと、新内閣が発足しました。人を不幸にする要素を最小化する社会に向け、改革が力強く進められていくものと確信をしております。 

 

 次に、東京都の社会政策についてお伺いいたします。
 

 (1)生活支援、就労支援について

  先月13日警察庁発表によると、昨年の自殺者数は、全国3万2845人、12年連続で、3万人を超えるという厳しい状況が続いています。
 
  平成18年に自殺対策基本法が制定されて、取り組みが開始しているにもかかわらず、高どまりしています。うつ病など身体的な原因はもちろんですが、自殺の要因は複合的であり、それに至るまでの社会的な構造について注視し、改めて対策を見直すべきと考えます。
 
  緊急雇用対策の一環として、年末年始実施した「公設派遣村」では、臨時住宅とともに、就労までに、当事者が必要とする、心の相談、法律相談など生活総合相談をワンストップで実施しました。
  石原都知事は、元日に現場を視察した閣僚について、「あの程度の行事に行くべきじゃない。」「私は行かない」と述べました。行事として位置づける認識でよいのでしょうか。
  先週4日付、都は国に対して、「実効性あるセーフティネットの確立に向けた国への緊急提案」を出しました。
  セーフティネットが脆弱であることが浮き彫りになった今、これを立て直すことは、
  国、自治体、双方の責務と考えます。
 
  「就労支援」「ホームレス対策」「自殺対策」といった視点は、事業の切り口の問題であり、「その人」にとっては、仕事がなくなれば、家賃が払えなくなる、家がないから仕事も探せなくなる、人との関係や音信も断たざるを得なく、精神的に追い詰められ、健康を害する、多重債務を負うなど、ひとつの問題から次々に問題が派生をしていき、複合的に問題を抱えています。
 
  等しく「その人」が「人間らしく」生きていけるために何ができるか、
  どのような社会資源を構築するか、そして、活用すれば「その人」を支えられるかという視点に立って支援をしていくことが必要ではないでしょうか。
 
  社会的に排除されずに生きていける状況とはどうあるべきかという視点に立つべきと考えます。改めて、人を中心にセーフティネットに関わるさまざまな施策、事業が横断的に行われていくべきと考えますが、見解を伺います。
  【非正規】非正規雇用の全労働者に占める割合は、本年3月現在、全体の3分の1を上回り、1,708万人となっています。
  非正規雇用は、①雇用の継続は不安定であり、②社会保障も不十分です。体を壊せば、また、仕事を失えば、直ちに生活に行き詰る実態があります。また、③低賃金で、貧困につながっています。
  【ワーキングプア】1990年代以降、若年層は労働市場で安定した立場を得られない状況です。15~24才の失業率は、本年4月9.6%に達しました。
  「15歳の時の暮らし向きが大変苦しい」という極めて人生の初期の段階における不利は、当事者の現在の生活における社会的排除に影響していることがわかっています。
  総務省就業構造基本調査に基づく試算によると、「ワーキングプア」すなわち、フルタイムで働いてもギリギリの生活さえ維持が困難、もしくは生活保護の水準にも満たない収入しか得られない状況にある世帯数は全国で19%、およそ675万世帯と推定されています。
  1998年以降、年間所得が300万円以下及び2000万円以上の所得階層の給与所得者が増加する一方で、中間階層は減少しています。
  また、相対的貧困率は15.7%であり、2極化している現状があります。
  ジニ係数は、0.321と上昇しており、所得再分配機能は落ちています。
  この現状に対して、構造的な転換を図ることが重要です。同時に、今の構造下でも、貧困層が固定化、貧困が世代間に連鎖しないように、非正規雇用から正規雇用への転換を後押しする施策が必要です。
  複数のパートやアルバイトを掛け持ちするダブルワーク、トリプルワークしても、充分な収入にならず生活を維持することが困難という状況の中で、健康も損なう過酷な状況に置かれています。知識や技術を身につけ新たな仕事につきたいと思っても、生活していくために今の仕事をやめられないという現実があります。
  そこで、一定の生活保障をしながら、必要な知識・技術を習得し、より良質な就労にアクセスできるよう支援することが重要と考えますが、都の取組みを伺います。

  2005年のOECDによると、子どもの貧困率について、日本は、再分配前所得における貧困率と再分配後の貧困率を比べた時、再分配後がより高くなるという、逆転現象が起きている状況にあります。社会保障制度や税制度によって、日本の子どもの貧困率は悪化しているという実態です。
  保護者の経済状況等に左右されずに、子どもの選択の幅を狭めることなく、高等教育や技能修得に向けた進学ができる体制を構築することが、貧困を世代間連鎖させないために、不可欠と考えますが、都の取組みを、伺います。
  
  都立高校には、家庭の経済状態などから負担が少ないことを理由に入学する生徒もあります。経済的格差が受ける教育の格差につながってはなりません。都立高校の質の向上が不可欠と考えますが、都の取組みを伺います。

  これからの社会の担い手となる子供たち一人ひとりが、労働市場で安定した立場を得るためには、専門高校だけでなくすべての都立高校において、社会的自立に向けての必要な基盤、能力等を獲得することが必要ですが、都の取組み(キャリア教育)を伺います。
  
  ところで、定時制高校では、勤労学生が減少する一方、中途退学や不登校経験のある生徒などが増えており、その役割が変化してます。個々の子どもの状況に応える教育環境が必要です。都立高校はチャレンジスクールを設置しましたが、中途退学や不登校経験のある生徒の多くがチャレンジスクール以外の定時制高校に入学していることから、子どもが入学したどの高校でも的確に支援を受けられるような環境を整えるべきと考えますが、都の取組みを伺います。


  (2)犯罪被害者支援


 次に、犯罪被害者支援について、伺います。
  平成16年に犯罪被害者基本法が制定され、翌年「犯罪被害者等基本計画」が策定されました。「居住の安定」「保険医療サービス及福祉サービスの提供」などが定められています。これらは身近な市区町村でのサービスや社会資源がなくては支援ができません。
  また、東京都犯罪被害者等支援推進計画でも「市区町村は、被害者等への支援にとって重要な役割を担って」いることを明記しています。
  しかし、職員を早期援助団体に数カ月派遣して、犯罪被害者の置かれる精神状況を踏まえ、①総合支援窓口を設置の上、②一時住居の確保や、③日常家事支援などきめ細かな態勢を整備するなど、積極的に取り組んでいる市区町村と、取り組みを開始していない市区町村とあります。
  誰しもが被害者になる可能性があります。被害を受けたことにより社会に包まれるべき被害者が、これまで社会から孤立をしてきたことは、基本法に明記されている通りです。被害者支援施策を計画の段階で滞らせず、確実に支援につながる態勢を構築しなければなりません。
  被害者等に対する市区町村の支援態勢を底上げし、促進すべきと考えますが、都としての取組みを伺います。

  とりわけ、被害が自宅やその周辺の場合には、転居を余議なくされます。基本法16条では「居住の安定を図るために公営住宅への優先入居等」が規定されています。
  都では、1週間程度の一時的な居所の確保はしているものの、長期的な居住については、都営住宅の優遇倍率の抽選となっています。抽選という形では、今まさに被害によって住まうことができない被害者の居住の安定は確保されないと考えます。
  また、市区町村の公営住宅だけでは住所要件があり、区をまたいで転居することができない状況においこまれる実態があります。都として、転居費用などの経済的支援という形も含めて、被害者の居所の安定に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

  また、性犯罪被害者に対する治療、カウンセリング、被害届の受理等が一か所で行える窓口を医療機関などに設けることが望ましいですが、都の見解を伺います。
  
  さらに、緊急避妊費用や初診料等の公費負担があります。しかし、このためには、証拠保全の技術も必要です。被害直後、警察や支援団体から紹介される産婦人科医に行くことができる場合は格別、そうでない場合には、すべての産婦人科医が、証拠保全手続きなどに精通していない現状で、性犯罪被害者が後から公費負担を申請しようとしても、証拠が残っていないなどにより実現できない場合があります。医師に対する制度周知や技術研修が必要と考えますが、見解を伺います。

 


 次に、都政が、社会と乖離しないために、ひとりひとりの政治参画が進められることが重要との観点から、「住民自治の強化」について、伺います。
  これまで、機関委任事務の廃止や義務付け・枠づけの見直し等、とりわけ団体自治の拡充が進められてきました。
  地方分権は、自己決定権に由来します。今こそ積み残されてきた住民自治の強化に向けて、取り組むことが必要と考えます。

 

 (1)情報提供から情報共有へ

  パブリックコメント手続制度の構築について
  住民の参画を可能とするためには、情報公開から情報共有へ転換する必要があります。
  その上で、都民の意見が施策に反映されなければなりません。
 
  計画・制度等の意思決定前における住民参画の手法には、①審議会等への付議、②公聴会の実施などがありますが、③パブリックコメントは、誰でも意見を提出できる広く開かれた手法です。
  現在、43道府県で、パブリックコメント条例あるいは実施要項が設けられています。
 
  さて、東京都情報公開条例31条1項2号では、『「計画に係る中間段階の案」について、公表しなければならない』としています。
  また、本規定にかかる留意事項に「提出された意見等を考慮するとともに、提出された意見と、これに対する考え方を公にするよう努める」とし、
  「知事が行う情報公開事務に関する規則」では、「公表は、文書または電磁的記録を閲覧に供し、インターネット等による」としています。

  東京都ホームページは、計画案の策定にあたり意見募集したものがいくつか見られました。しかし、各局によって、期間や都民への結果対はまちまちの状です。こうした現状も踏まえ、情報公開や広聴制度について、「住民の参画」という観点から充実、強化すべきと考えますが、所見を伺います。

  一方、平成18年4月施行された改正行政手続法で、行政運営の適正化を趣旨として、「命令等を定めようとする場合に意見公募手続を行わなければならない」と明記されています。こうした「行政の適正な運営」に関するしくみも存在していません。
  都として、行政手続条例を改正するか、もしくは行政手続き条例にパブリックコメントの一般規定を盛り込んだ上で、別途パブリックコメント手続き条例を制定し、都民の参画を制度的に保障することが不可欠と考えますが、見解を伺います。


  (2)都と市民活動との協働の推進について


  先週6月4日、「新しい公共」円卓会議では、「支えあいと活気ある社会をつくるために、さまざまな当事者の自発的な協働の場を「新しい公共」とし、「官」が独占してきた領域を開き、「公共」を現代にふさわしい形で再編集し、「国民が決める社会」を作る。」と宣言しました。その実現には、「公共への政府の関わり方、政府と国民の関係のあり方を大胆に見直すことが必要」としています。
  現在、環境や福祉、国際協力など多様な分野で市民活動が活発に行われています。
  市民団体の都との関係は、「行政効率化」の流れの中で、公共サービスの「代理人」「安上がりな下請け」という位置付けで、業務委託される傾向が強い現状があります。

  しかしながら、こうしたボランタリー組織は、社会のニーズにきめ細かに応える活動を通じて、制度や政策の問題点を把握しています。都政には、こうした団体の知見が欠かせません。今こそ、協働を進め、公共サービスを提供する単なる代理人ではなく、政策形成過程への参画など、都との関係の再編成が必要です。
  また、こうしたNPOや市民活動団体の多くは、財政が厳しく、また、人が常勤で活動を支え、発展させることが困難な状況です。社会に不可欠なこうした活動を支え、「公共」の舞台づくりを進めることが必要ですが、都の取り組みを伺います。

  
  また、他自治体では、寄付金を活用した様々な財政上の支援策を講じています。東京都としても、NPOへの寄付金に対する税制優遇措置の充実させることが必要と考えますが、都の所見を伺います。●4(主税局)


 最後3件目に、経済産業振興について伺います。

  (1)産学官連携について
  葛飾区では、東京理科大学を誘致し、平成25年4月の開学に向けて準備を進めているところです。大学は、地域の拠点として、経済活性化、まちづくり、教育と幅広い可能性が期待されているところです。
  中でも、葛飾区は「金属加工業」など製造業を中心とする企業が集積し、東京を代表する工業集積地域です。産学連携が進み、大学の先端・独創的な研究成果(シーズ)と、区内の高い技術力を持つ中小企業が結びつくことで、共同で新製品や新技術開発を行うなど、産業活性化にも大きく寄与することが期待されています。
  現在、葛飾区では、「地域産業活性化特別委員会」が設置され、大学と地域との連携構築を丁寧に支援しているところですが、東京都として、こうした地域での取り組みを後押しし、一層促進させるべと考えますが、所見を伺います。

  (2)調査研究・技術開発への支援について
  先日、この東京理科大学の研究室のひとつに伺いました。この研究室では、①生活支援・社会福祉を目的とした実用的なロボットシステムの開発、②画像処理技術、③ロボット知能の多角的な基礎研究をメインテーマに掲げています。例えば、現在、数多くの高齢者が、食べ物の飲み込みが困難になる嚥下障害を抱えている中で、その嚥下障害が起きる構造を解明する研究や、身体的に喪失した機能を補う器具の考案、「マッスルスーツ」という介護する人の腰へかかる負担を軽減させる器具の開発などに取り組まれていました。
  昨年12月閣議決定された「新成長戦略」では、「グリーン・イノベーション(環境エネルギー分野の革新)」「ライフ・イノベーション(医療・介護分野の革新)」を掲げています。
  また、都の「10年後の東京計画」でも、「東京のポテンシャルを活用した成長が見込まれ、新しい技術や発想により社会的課題の解決や豊かな都市生活を実現する産業を『創造的都市型産業』と位置づけ、戦略的・重点的に育成していく」としていますが、都として、このような社会的課題の解決につながるような中小企業の研究開発や事業化への支援について、どう取り組んでいくか、伺います。
  

  最後に、我が国では、資源エネルギーが乏しいことは周知のとおりです。昨今、エネルギーや金属資源などが世界的に逼迫しつつあります。
  わが国では、「ものづくり」に不可欠なレアメタル等の資源の大半を、政情不安な国からの輸入に頼っています。こうした資源を安定的に調達するため、「深鉱開発」「リサイクル」「備蓄」といった施策に並んで「代替材料の開発」は極めて重要です。
  国際都市であり首都である東京は、産業育成はもちろんのこと、資源エネルギー安全保障も視野に入れた上で、こうした領域における技術研究開発への助成を行うことの必要も提言申し上げ、私からの質疑を終わります。ありがとうございました。