平成22(2010)年3月12日
石毛 しげる (西東京市)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。
自殺対策について質問をさせていただきます。
先般のバンクーバー冬季オリンピックでは真央ちゃんや長島君たちの銀メダルに国中が大喝采を送りました。しかし残念なことに同じ銀メダルでも日本の自殺率はOECDやG8の中でも第2位という不名誉な銀メダルなのです。これはアメリカの2倍、イタリア・イギリスの3倍という数字です。昨年の自殺者数は32,753人、この数は交通事故死の約6倍にあたります。
死にたい奴は死なせておけばいい、それでいいのでしょうか。そんな悲しい現実を皆さんはどう思いますか。01年の世界保健機関であるWHOのジュネーブ会議では、自殺は防ぐことのできる死であり、「予防可能な公衆衛生上の問題である。」と定義づけられました。
日本でも00年に政府が「健康日本21」の中で、この問題に対する取り組みを開始し、06年に「自殺対策基本法」を制定。07年には「自殺総合対策大綱」を制定して、本格的に取り組んでいるものの、功を奏することなく毎年3万人以上という数がここ12年間続いている状態です。最近でも清瀬市内で2月15日中学2年の女子生徒(14)が自殺した事件は記憶に新しい所です。
自殺は日本経済と大きく連動しています。1956年の「なべ底不況」といわれた時に、第一のピークがあり、自殺者が2万3641人に達しました。それから約30年後の1985年の「オイルショックによる不況」といわれた年に第二のピークとして2千人多い2万5667人となり、1998年「バブル崩壊不況」に襲われ、第3のピークとして5千人多い3万1755人に達し、自殺は個人だけの問題にとどまらず、社会的な問題と言えます。
交通事故の場合では、1970年に史上最高の1万6765人が亡くなりました。そこで政府は交通事故死亡者を半減させる目標を掲げ、多くの予算をつけて交通指導員制度などの民間活力を導入して取り組んだ結果見事半減させることに成功しました。しかし、自殺防止対策については、なぜか自殺者20%減の目標しか掲げていません。
遅ればせながら私、石毛しげると申します。しげるは吉田茂の茂と書きます。この人物が私の茂と同じ字を書いて名字が『しげさん』という方です。この方は、福井県の東尋坊で自殺防止活動のボランティアをしています。新聞やテレビでよく見る方ですが、平成16年に42年間の警察生活の最後を福井県三国警察署副署長として終えた方です。
なぜ彼は、このボランティアをすることになったかというと、東尋坊で自殺をするために東京から来たという夫婦に出会い、地元の福祉課に引き継いだところ、他県の人ということで500円の交通費で追い返され、東京に向かって新潟県までの道のりを三日三晩野宿をしながら沿道にある7か所の行政機関の窓口を訪れましたが、どの役所からも同じように500円ほどの交通費を提供されただけで門前払いをされ、ついにこの夫婦は茂さんにお礼の手紙を出し、力尽きて新潟県内の神社の境内で首を吊って自殺したそうです。この事件をきっかけに茂さんは民間の手でもできる対策はないかと考え、私費を投じて東尋坊の水際にサポートセンターを設置し、仲間を募って現在71人の会員と共に活動に取り組むことになったのです。
法律上は、警察官職務執行法第3条、あるいは生活保護法第19条、刑法218条(保護責任者遺棄罪)に「その生存に必要な保護をしなかったときは三カ月以上五年以下の懲役に処すると明記されているにもかかわらず、現実の行政は「見ざる」「言わざる」「聞かざる」とばかりに現状から目をそらし、次の自殺者が続くかもしれない状況も手つかずで放置されています。
内閣府自殺対策推進室発行の自殺総合対策大綱のパンフレットには、国民一人一人が自殺対策の主役です。と記されております。平成28年までに基準年である平成17年の自殺死亡率を20%以上減少させることを目標とすると、うたっていますが、全国的に自殺者が減らない深刻な状況が続いています。これは東京都においても同様の状況であります。都としてこれまで対策をとってきたものと思いますが、今後は少し視点を変えて対策を講じる必要があると考えます。
そこで、これまで都は自殺対策としてどのような取り組みをしてきたか伺います。
こちらのパネルをご覧ください。平成20年度警視庁のデータに基づき自殺者数を年齢別に分けたものと自殺の原因、動機別に分けたもの2種類作成しました。これによれば男性の自殺者数が女性の2倍近くになっており、原因動機別でもほとんどの問題で男性の自殺者数が女性の自殺者数を上回っていることがよくわかります。この理由は性差の違いが根本的にあるのかもしれませんが、例えばDVの被害者となった女性には避難場所として「女性相談室」があるなど女性の場合は国の保護政策がある程度行き届いているからではないでしょうか。自殺者の七割以上を男性が占めているというデータもあります。ホームレスが日本に二万五千人(平成15年調査)以上いると発表されていますが、こちらも八割以上を男性が占めると言われています。
私の手元には、対前年自殺者増減数上位5県というデータがございますが、これによれば平成20年と平成21年の比較で東京は大坂に次いで2番目に自殺者数が増加しております。
さて、この写真ですが、私は先月26日にこの東尋坊に足を運びました。その日の朝、自殺しようとしたこの方、神奈川県のAさん、リストカットして失敗しました。背中で写ってますが、表から見ると首には首つり自殺したときのロープの跡がくっきりと傷となって残っていました。幸いにも一命は取り留めて保護され、二度と自殺はしない、と約束しました。この東尋坊では10年間に253人もの人が死んでおり、まさに2週間に一人の割合であります。
こちらの写真もご覧下さい。1.4キロある長い海岸沿いですが、自殺を試みる場所はなぜか3か所あります。ひとつがこの『大池』、もうひとつが『松の下』という地名のところで、ろうそくが立っているように見える『ろうそく岩』。この3か所で飛び込みます。飛び込む方は、「ここでどうぞ」と書かれているわけでもないのに、どういうわけかここに集約されます。ちなみに「自殺の名所」と呼ばれている場所は、古くからは錦ヶ浦、足摺岬、華厳の滝、三原山、高島平の高層ビル街とよく言われます。アメリカではゴールデンゲイトブリッジが世界一の自殺の名所といわれ年間20人前後の人がここで命を落とすということです。それも不思議なことに橋は片方が海側、もう片方は町が見える側になっており自殺をする人はほとんど全員町の見える側の方に飛び込むと聞いてます。最後の最後やはり人とのつながりを求める気持ちがそうさせるのでしょうか。
又、鉄道の駅も飛び込み自殺が頻発している場所であります。JR東日本は昨年の秋、山手線全29駅のホームに青色LED(発光ダイオード)照明を設置しました。人の心を落ち着かせるとされる青色で、飛び込み自殺を防ぐ狙いだそうですが、全国で導入が広がっています。また恵比寿駅や都営地下鉄でもホームドアの増設で飛び込み自殺の防止に取り組んでいることを承知しています。
しかしながら、国土交通省の調査(2008年度)によりますと、全国の駅で381人が死亡、うち自殺が355件で、ほぼ毎日一人ずつが駅での自殺を選んだ計算となります。首都圏38の路線別に集計したところ、死亡者数トップはJR中央線の21人、うち20人が自殺となっております。東京と高尾を結ぶ32駅のうち15駅で死亡者が出ており、とくに高円寺から豊田の間に集中しています。なお過去3年間で自殺件数の多い駅は1位 中央線 新宿駅 8件、2位 中央線 荻窪駅 7件、3位 山手線 恵比寿駅 6件となっております。しかし原因別の集計の概要欄をよく読んでみると自殺としか思えないケースでも、「線路内立ち入り」「ホームから転落」に分類されているケースが見られ、「事故」扱いになっている可能性があり実態数はもっと多いと思われます。又、中には飛び込まれた時の運転手はパニック症候群になり運転手自身が自殺に追い込まれる方がおり、加害者が被害者になってしまうという皮肉な結果を招くことがあります。経済的な観点からも、私たちの生活の足という観点からも大きな損失を被ります。余談ではありますが自殺者増しに伴い保険会社の保険金支払い総額が1.5倍となり、今まで免責期間が1年であったのがここにきて3年に延ばさざるを得ない状況になっているそうです。
そこで、都は自殺予防にいろいろと取り組んでいるが、残念ながら自殺者は減っていない。自殺予防の重要性についてどのように認識しているか。
自殺をしようとしている人を見つけ声をかけ保護し継続的な支援を行う取り組みはひとつの方策として非常に効果的と感じます。都においても自殺を考える人が集まるところ、例えば鉄道のホーム等自殺リスクの高い場所に監視員を置き、自殺する人を見つけ保護し再生につなげる事業を実施するなど、予算の使い方に濃淡をつけることが必要であると考えます。平成22年度 自殺総合対策として「未然防止策費」として17,822千円、「危機介入策費」として120,838千円、「事後対応策費」として2,045千円、「その他」として123,000千円を予算計上していることは承知しておりますが、
都においても、区市町村単位で自殺のデータを分析することなどにより地域特性を踏まえた取り組みを重点的に行うことが必要と考えるがどうか。例えば蒲田警察署の管内ではの自殺者数が56人、板橋警察署の管内では53人、城東警察署の管内では65人となっており50人以上の自殺者が発生している地域を割り出すことは十分可能ではないでしょうか。
対策の効果を上げるためには地域の実情に応じた取り組みを行うことは大変重要であります。その際に念頭におく必要のあることは電車のホームにホームドアを設置する等、物理的に飛び込めない状況を作っても自殺を考える人はその後他の場所に行き自殺をしてしまう危険性が高いということです。よってその場で自殺を防ぐだけではなくその人が独り歩きできるまで継続してサポートをするという視点が必要であります。今後はこのようなハイリスク者への個別のアプローチを行うためさまざまな分野の人がチームを作りワンストップサービスができるような対応をすることも必要と考えます。
そこで、区市町村への働きかけだけではなく、民間の事業者やNPO団体とも連携して自殺対策を進めていく必要があると考えるがいかがか。
自殺対策は行政だけではなく、民間の活力も生かし官民一体となって取り組むべき重く、深く、長い時間のかかる問題ではありますが、1日でも早い取り組みが1日90人以上亡くなっている現状の改善につながる可能性があります。先月中央線高円寺駅でホームから転落した女性を救出した青年が消防庁やJR東日本から感謝状を贈られたというニュースはまだ記憶に新しいと思いますが、人命救助者に対しては表彰があるのに東尋坊の茂さん達のようにボランティアで大勢の人命救助をしている個人や団体にもクローズアップしてあげる機会があったら活動にも励みになることと思います。また、私の経験上、残された遺族の方は全員といっていいほど、本人の自殺のサインを見逃したという自責の念に一生苦しみ、精神的にも経済的にも追い詰められることも付け加えさせていただきます。
少し古いデータではありますが、1997年2月2日の日経新聞には、「うまれなければよかったと思うことがあるか」との質問には「よくある」「時々ある」と答えたのは小学3年生で34%、5年生で35%、中学3年生で38%に上ったとの記事がありました。実に3人に1人が自殺予備軍といっても過言ではありません。自殺対策としては現在自殺を考えている人への対応とともに長期的な視点で、将来の予備軍ともなりうる子供たちへ小さい頃から命の大切さを教えていくことが非常に重要であると考えます。ここに力点を置くことが今後の自殺対策に寄与することになるものと考えます。先ほどの答弁にもあったように今後様々な分野との連携を一層強化し自殺対策を推進してもらいたい。このことを要望し、最後に自殺で命を落とされた方々に哀悼の意を表するとともに心よりご冥福をお祈りさせていただき、自殺対策についての質問を終わらせて頂きます。
2007年3月に起きた能登半島地震では石川県輪島市で石灯籠が倒れ、頭を打った女性が死亡しました。一般的には和型の墓石は震度6弱で上部の石が大きくくずれ、震度6強以上になると転倒したり石が飛び跳ねると言われてます。
そこで昨今小中学校の耐震化は進んでいますが、墓石の耐震化によって倒壊を防ぐ必要があると考えるが、都はどのように考えるか。
高齢化、核家族化の進展など社会経済情勢が変化するなか、都民の墓地に対する需要はますます高まっています。都民が安心して利用できる墓地として、都立霊園の果たす役割は大きいものがあります。都はこれまで、限られた土地を有効活用し、多くの遺骨を埋蔵できる、集合型の合葬式や立体式の墓地を供給し、都民の支持を得てきています。このように、都民ニーズをしっかり受け止め、都民が求める墓地の供給について、創意工夫することはこれからも必要であります。
そこで、まず、都立霊園における平成21年度の申込状況について伺います。一般墓地や芝生墓地といった平面墓地の倍率は、12.1倍と、高倍率となっており、少しでも供給を増やすことが必要です。現在、都が、青山霊園と谷中霊園で再生事業を進め、一般墓地も供給していることは、意義のあることです。
青山霊園、谷中霊園の再生事業における墓地供給の実績について伺います。又、再生事業ですがお墓の管理費を滞納して5年くらい新聞に告知する必要があると聞いてますが、再生まで実際どのくらいの時間がかかるのか伺います。
再生事業により、一般墓地を520箇所供給してきたことは評価できます。今後も新たな墓地供給を継続するため、墓地の返還や移転、無縁となった墓所の整理により、再生事業を促進していただきたいと考えます。また、一般墓地の供給を少しでも増やすため、他の霊園においても無縁となった墓所の整理をさらに迅速化すべきと考えます。その一つの考え方に和墓・洋墓があります。和墓についてはいわゆる昔風の墓で、洋墓は石が一つだったり芝生の上に作ったりしています。特に和墓は○○家先祖代々の墓という形式のものが多いわけですが洋墓の場合は愛とか夢とか慈悲とか抽象的な文字が刻まれていることが多いようです。姓の違う家族も入ることができ、墓不足に役に立つのではないでしょうか。
一方、多様化する都民のニーズに応え、多様な形態の墓地を供給することも大切です。
死後は自然に還りたいという思いに応えるために、都では、樹林墓地、樹木墓地の検討を進めていると聞いています。樹林葬の歴史はまだ日本では浅いようです。発祥の地は岩手県一関ですが、イギリス・ドイツ・アメリカ、お隣の韓国などがよく知られています。
これも、限られた土地を有効に活用する創意工夫の一つと考えます。
樹林墓地、樹木墓地を早期に実現することが重要と考えますが、現在の取り組み状況を伺います。
都立霊園の応募者の多くが樹林墓地、樹木墓地に期待しているとのことですが、自然に還るといった新たな形式の墓地を東京都が始めるということは、非常に有意義なことであります。樹林墓地、樹木墓地の早期の実現に向けて積極的に取組んでいただきたい。