トップページ > 定例会報告 > 一般質問 中谷祐二

定例会報告

一般質問 中谷祐二

中谷祐二議員

平成22(2010)年3月4日
 

中谷 祐二(練馬区)

 

 

*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 都市計画道路について
  2. 改正貸金業法について
  3. 港湾行政について
  4. 都市農業について

 

1.都市計画道路について

 

 誰が言ったか百年に一度の大不況。新年会シーズンの挨拶を聞けば、枕詞のごとく繰り返され、誰も検証もしていないその無責任な言葉を耳にするたびに、我が国の景気回復が日一日と遅れていく感があります。アメリカのグリーンスパン氏が言ったのは「百年に一度の信用収縮」とでも訳すのでしょうか、それが百年に一度と形容する大不況となるあたり、物の本質を見ないで言葉だけが踊る危うさを感じます。

 

 昭和21年の都市計画決定以来、今年で64年。国債ですら60年で償還されるこのご時世に60年以上にわたっていつ造られるかわからない道路のために、建物の構造や階数に建築制限を受け、街づくりの活性化が阻害されている懸念があります。60年経過しても都市計画道路の完成率は、約57%であります。都市計画がなされても、未着工部分の土地所有者は不利益を被り、事業着工をひたすら待ち続けてきたわけであります。高齢化社会、人口減少社会の到来により今後都内の自動車交通需要も減少傾向が予想されます。計画道路の中には、建設予定の道路と既存道路の交差方式を将来、完成するであろう、いやきっと造るであろう道路を当てにして交通量を推計し立体交差から平面交差構造に変更することで、事業区間を短縮し環境影響評価の簡素化を図るなど、そこに住まう住民への説明責任が不十分だと言われても致し方ないような進め方で行っている事業もあります。

 

 もちろん都は、すべての未着手の都市計画道路について、交通機能や防災性、まちづくりの観点などからその道路の必要性について検証を行い、特に区部において五つの路線の見直しを検討していますが、長期間未整備のままとなっている都市計画道路については、計画当初の時点と現在では社会経済情勢も大きく変わり、その必要性やあるべき姿が変化してきています。30年経過しても事業化にならない道路については、見直しの方針と基準をしっかりと定めて、機をとらえて事業凍結・廃止すべきと考えます。時代時代で求められるインフラも変わってきており、道路や空港・港湾といった「装置インフラ」だけではなく、既存のインフラの使い方に関する新たなルールや規制緩和などの「制度的なインフラ」も含めて考えて行く必要があります。知事は常々、「役人の欠点は、継続性と一貫性にとらわれすぎる事だ。既存の事態というものをくつがえすような発想っていうのは役人はしないし政治家がやるものだ」という旨の発言をされています。60年も前に当時の役人のつくった都市計画をただ踏襲することなく、知事の今任期も後一年となった今、次の時代の東京のためにも、必要な道路はしっかりと整備をしつつも、一度計画線を引いたら最後百年かかっても事業化するのではなく計画線を見直せば新たな建築需要を喚起させることは明らかであります。長年にわたり手つかずの、都市計画道路見直しに着手し、「10年後の東京」とリンクした東京のグランドデザインを示すべきと考えますが、知事の所見を伺います。●1

 

 


2.改正貸金業法について

 

 次に改正貸金業法について伺います。
施行されて3年が経過し、(2006年12月)本年6月までに完全施行を控えています。法改正の際に指摘された、「借り手の三分の一を占める零細事業主、個人経営者の短期の資金繰りが悪化していないか」「上限金利を抑えることで、中小の貸金業者の信用収縮が起こり却ってヤミ金融業者が増加していないか」など検証が必要です。この間、貸金業者数は東京都で2006年3月末には3,167業者が2009年12月末には1,119へ激減しています。最近ではクレジットカードのショッピング枠の現金化という手法を変えた高金利ビジネスも登場しています。法改正により健全な市場の育成と多重債務者の減少を目指しましたが、結果として与信が厳しく融資が受けられなくなっている面もあると思われます。東京都登録の貸金業者で出資法を超える高金利を取る業者いわゆるヤミ金融業者が存在するのではないかと危惧されます。大阪府貸金業対策課では、改正貸金業法の完全施行を前に実態調査を進めています。都でも平成15年4月から貸金業対策室を設置していますが、都民の相談・苦情の適切な対応は為されていますか。この度の法改正で、個人事業主は借入総額を年収の3分の1までに制限する総量規制の例外となっていますが、依然として根強い短期の資金需要に対応ができる貸金業者の存在は必要であります。改正貸金業法の完全施行に向けて、都としては貸金業を営む者の業務の適正な運営の確保のためにどのような対応をしていくのかお伺いします。●1

 


3.港湾行政について

 

 京浜港は、国が進める国際戦略港湾として選定を目指しておりますが、経済のグローバル化が進み、世界的な海上輸送量はアジアと欧米間を中心に急拡大しており、シンガポールや中国などアジアの港の躍進と国内では前政権によるバラマキ港湾整備の失敗により、(港湾の数だけは997、コンテナを扱う港が65もあっても)現状では基幹航路のコンテナ船の就航がなくなってしまう可能性もあるとの危機感を持つまでに至っております。
 「京浜3港の広域連携強化に係る基本合意」から2年が経過します。この間、コンテナ船の入港料の一元化など三港連携策を実施していますが、都の具体的取り組みと成果、今後の連携の進め方についてお尋ねします。●1

 

 先の京浜港共同ビジョンによりますと、「京浜港はコンテナ物流に関しては日本のハブポートであるとともに、北米航路における東アジア諸国のトランシップ貨物を中継輸送する機能を持つ国際ハブポートとなる」という将来像を掲げていますが、他のアジアの港との差別化はどこにあるのか、輸送コストも輸送日数も競争力がない現状で、京浜港に寄港するメリットは何なのかが見えてこないし、伝わってこないのであります。
 この度、国による「国際コンテナ戦略港湾の選定を検討する港湾募集要領」では、国際的な拠点港湾とは、大規模岸壁が効率的に整備できるなどの物理的条件として、高速道路・貨物鉄道へのアクセスが整っていること、将来のコンテナ船の大型化に対応しうる、水深18m級、延長1000m、奥行き500m以上のターミナルが確保できるか等具体的なリクエストがあります。一度海外の港に逃げた貨物を再び国内の港に取り戻すのは容易なことではありません。そのために為すべきことは、物流ローコストの追求、海外の船舶に対する各種規制、慣行の見直しなど利便性の確保とその港を使いたくなるようなインセンティブを与えることが必要であります。
 改めて京浜港に貨物を取り戻すための具体的な取り組みについてお答え願います。●2

 

 東京港は当然二四時間体制での港湾運営能力が求められており、何よりもその港湾の目指すビジョンが問われています。前原国土交通大臣は、「国際コンテナ戦略港湾」の選定基準について、「民間の知恵もお金も入れる観点が必要」と述べ、港湾管理者が提出する計画書に、民間の活用が盛り込まれているか考慮して判断する考えを示しました。(確かに民間によるコンテナ港湾の一元的な経営も一つの方法であり「民」の視点からの効率的な港湾経営を取り入れるのは重要なことであります。京浜港が国際戦略港湾に選定されるのは当然であり、その上で)私は京浜港の目指すべき姿は、「アジアは内需」という視点で、臨海部において環境を切り口にエコシティ、エコプロジェクトを展開するなど世界に向けて発信力のある港湾運営をしないと国内の戦略港湾に選定されても国際的な生き残りはできないと考えます。シンガポール政府と中国・天津市が推進する「天津エコシティー」は地球温暖化、環境保護、資源節約などに配慮したプロジェクトでありエコロジカルな都市建設を行うものであります。
例えば豊洲の土地利用は市場としてではなく、豊洲エコタウンとしてバイオマスエネルギーや太陽光・風力・波力など再生可能エネルギーの利用推進エリアとして、環境ビジネスに特化し、臨海部には日本のハイクオリティの医療・バイオの提供、観光誘致などで海外からの利用を促し、消費の喚起、内需拡大、雇用創出を図るのはいかがでしょうか。
 我が国の港湾行政がアジア諸港に後れを取っているのはターミナル整備などのハード面はもとより、世界の港湾として存在意義のあるコンセプトの欠如ではないかと思っております。三港連携を実りあるものにするため、臨海部全域の国際競争力、国際貢献力を高めるコンセプトづくりを早急に進めるべきと考えます。国際競争力の強化に向けて、国に対して制度的改正なども含めどのような対応を求めていくのか見解を伺います。●3

 

 

4.都市農業について

 

 都市農業の役割は、農地から収穫される新鮮で安全な農産物を都民に提供することであり、農地を維持管理することが空地の確保につながり災害時の避難場所提供など防災対策上きわめて有益なこと、植木や雑木林など緑を残すことで温暖化対策の一翼を担うこと、また農業は究極の資源循環型産業であり、都市農地は本来廃棄物として処分される、生ゴミや剪定枝などを優良な堆肥に変え、未利用資源を有効活用する場でもあります。
 都議会において都市農地の保全について、再三議論され、農地保全の必要性については皆意見を同じくするところであります。にもかかわらずこの10年間で東京の農地面積は約15%も減少しています。
私の地元練馬区においては、先般相続税対策のために五反、つまり1,500坪もの土地を売却せざるを得ない農家の方がおられました。この数年間同じような議論が繰り返されながら着実に、農家は高齢化し東京の農地面積は減少を続けてきたのです。最大の理由は都市計画と税制にあります。都内の農地の約6割は市街化区域内にあり、そこに存在する農地は都市計画上、将来市街地化するとの考えから住環境を整備するための種地的な視点で見られてきました。宅地化促進と農地保全という利益相反するものを求めてきました。しかし、すでに人口減少社会となり、積極的な農地の宅地転用ではなく、都市農地を都市に必要な農地として、まちづくりの視点からも都市計画的な位置づけのもとに保全していく制度が必要です。
 都は都市農業(検討委員会)報告書を、(農業農地を活かしたまちづくり)ガイドラインをまとめていますが、この中で具体的に示された施策実行の状況並びに国にも法制度改善を働きかけたことと思いますが、現況をご報告ください。●1

 

 税制の中でも、相続税納税猶予制度の問題点は2点。1点めは生産緑地である農地のみが対象で、農業生産施設用地は対象外になっていることであります。2点めは、地価下落傾向の中で、相続人が終身営農規定に抵触した場合、相続時に遡及して、高い地価で評価した相続税にさらに猶予期間中の利子税2.1%を加算して課税される点にあります。加えて平成21年の法改正により再び生産緑地について利用権の設定はできなくなりました。
 貸し付けた農地は相続税納税猶予制度が適用にならないため、農地の貸し借りが進まない要因となっています。
 縦割り行政の壁が厚く政治決断が引き延ばされてきましたが、政権交代したこの機に都としても相続税納税猶予制度見直しをはじめメッセージを国へ改めて発信していただきたいと考えますが、所見を伺います。●2

 都は、「10年後の東京」の中で、経営力の向上に意欲ある農業者に対し、経営コンサルタント等による経営改善指導、施設整備に対する助成を行うとありますが、対象とする農家の選定や事業規模についてお答えください。農産物の供給先の確保と地産地消の推進のために学校給食で地元の食材の積極的活用について申し上げます。●3

 

 都内の小中学校1,869校のうち、学校給食を各校で調理する自校方式が1,465校(約78%)であります。残りの404校がセンター方式で作っています。学校給食による地元食材の活用で、生産者の顔が見える安心と子供たちと生産農家のふれあいの体験農園などで直接その食材を通して学ぶ食育と食のリサイクルを通じ環境教育の効果が望めます。
 小中学校の給食で東京の都市農業で生産された食材や島嶼部の漁業で取れた海産物の活用について食育を進める視点も含め都はどのような認識を持っているのかまた具体的にどのような取り組みを行っているのかお伺いします。●4

 

  この学校給食から出る生ごみは極めて良質なごみで大量の有機物の未利用資源を高品質の有機肥料に再生して都市農業に循環させることが民間の技術で行われています。この生ごみの収集・運搬にあたり単にゴミとして扱うのではなく付加価値が発生するリサイクルの推進で、都が目指すクリーンな都市環境の実現につながるので積極的な取り組みを期待します。知事は、東京が抱えている諸課題の解決のために、たとえ法的な制約があっても、地方自治体の創意工夫を妨げている制度の変革に取組んで来られましたので、都市農地保全についても一層のご尽力をお願い申し上げ、私の質問を終わります。