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定例会報告

一般質問 たきぐち学

たきぐち学議員

平成22(2010)年3月4日
 

たきぐち 学(荒川区)

 

 

 *本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 救急医療について
  2. 環境施策について
  3. ものづくり企業の振興

 

 

 

1.救急医療について

 

 初めに、救急医療について伺います。東京都は、昨年の8月31日より、「救急医療の東京ルール」の運用によって、これまで受け入れ先が決まらなかった選定困難事案への対策に着手し、救急患者が迅速に医療を受けられるよう取り組みを開始しました。東京ルール適用事案の1日平均件数は、2月末までの6カ月間で30件、当初想定していた100件より低い水準で推移しているものの、今年に入って増加傾向にあります。医療機関からの話では、想定の件数より少ないのは、東京ルールの開始によって、地域救急医療センターへの症例の集中を嫌って、二次救急医療機関が積極的に受け入れを図っている結果、との指摘もあります。

 

 東京ルール開始後4カ月間の救急搬送時間を、前年同期間と比べると、12医療圏全てで、30分以上かかった件数が増加しており、平均搬送時間も長くなっています。これだけで判断すると、東京ルールの効果は出ていないのではないか、心配せざるを得ません。

 

 私たち民主党は、平均時間47分という全国最低の救急搬送時間を、全国平均以下の30分に短縮するべきだと考えていますが、都は明確な目標を掲げていません。救急搬送には様々なケースがあり、全ての効果を時間だけで判断できるものではありませんが、目標がなければ、成果を測ることはできません。搬送時間が長くなっている現状を分析したうえで、東京ルールの目標値を明確に設定するべきと考えますが、所見を伺います。●1

 

 これまでの運用実績を見ると、当初は調整役としての機能を担うはずだった地域救急医療センターが、実際には全事案の約65%を受け入れています。事実上「最後の砦病院」としての役割を担っている地域救急医療センターの存在が、この制度を円滑に運用できるか否かの鍵を握っていると考えます。今後、事案数が増加した場合、充分機能していくのでしょうか。

 

 平成10年に411あった都内の救急医療機関が、この11年間で330まで2割も減少しており、都内の救急病院の厳しい経営実態が推察できます。さらには、救急患者の診察料の未払いが地域救急医療センターにとっての不安要素となっています。都は、損失医療費の補填率を高めてはいるものの、抜本的な対策が求められていると考えます。

 

 救急医療現場の実態をしっかりと把握することを強く求めます。そのうえで、現在の地域救急医療センターに対するさらなる支援の拡充を図る、あるいは全ての二次救急医療機関に対して東京ルールへの積極的な参加を促すことで負担の平準化を図っていくなど、東京ルールを安定的に運用していくために、今後どのような方向性を持って取組みを進めていくのか伺います。●2

 

 地域救急医療センターの医師から、東京ルール適用事案の多くは、薬物や急性アルコール中毒、精神症状のある人、認知症の高齢者や路上生活者など、傷病以外の部分で対応の難しいケースであり、搬送先選定の大きな障害になっている、と聞きました。こうした患者の受け入れによって、本来の救急医療業務以外の業務に多くの時間を割かれている、という実態もあるようです。

 

 このような方々への対応は、救急医療の分野だけで解決するものではなく、関係機関が連携して取り組まなければ、「救急患者を迅速に医療が受けいれる体制」を構築することへの根本的な解決とはならないと考えます。精神的な問題を抱える患者に対しては、精神科医療との連携、認知症の高齢者などに対しては、行政の福祉部門との連携が不可欠です。精神救急の現場に余裕がない状況下では、例えば、地域救急医療センターに精神科医を配置することを促したり、難しい背景のある高齢者などに対しては、福祉の担当者が地域救急会議のメンバーとして問題を共有し体制を構築すること、などの対策が急務と考えます。所見を伺います。●3

 

 今後、東京ルールの効果を上げるためには、東京消防庁との綿密な連携と情報の共有が欠かせません。運用開始から6カ月とはいえ、人の命が懸った救急医療は、実績の検証を常に行い、改善点を見つけ、スピード感のある対策が求められます。運用開始後4カ月の同時期で比べると、三次医療機関への搬送件数は約1,000件増加しています。消防隊の現場の対応は変わったのか、三次救急搬送の現場に変化はあるのか、など、複眼的にとらえることが必要です。東京ルールに関する東京消防庁との連絡協議体制は確立されているのか、伺います。●4

 

 東京ルールは、医療法に基づき、ベッド数や人口に応じて設定された二次保健医療圏を単位として、制度構築がなされています。ベストな医療は、生活圏と医療圏が一致していることだと考えます。しかし、放射線状に都市が形成されてきた東京都において、現在の二次保健医療圏が生活圏と符合しているとは言えません。こうした根本的な課題をも内包していると認識したうえで、今後の東京ルールの在り方を模索していくことも必要だと問題定義し、次の質問に移ります。

 

 

2.環境施策について

 

 環境施策について伺います。

 

 鳩山政権が発表した「地球温暖化に係る中長期ロードマップ」の中で「温暖化対策は負担のみに着目するのではなく、新たな成長の柱と考え、低炭素社会構築のための投資は、市場・雇用の創出、地域の活性化、エネルギー安全保障の確保などの様々な便益をもたらす」としています。東京都は、世界で最も環境負荷の少ない先進的な環境都市の実現に向け、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」を推進しています。しかしながら、国に先駆けてスタートした排出権取引、あるいは自然エネルギー利用促進のための太陽光発電設備設置促進など、CO2削減対策を論じるとき、今あるエネルギー消費量を肯定したうえでの対策、つまり現在のエネルギー消費を前提とした「プラスアルファ」の施策が目立ちます。エネルギー資源の多くを輸入に頼っている日本のエネルギー安全保障を考えたとき、既に存在しているのに、使われずに放出されている未利用エネルギーや、蓄積したエネルギーを逃がさない、という視点は、プラスアルファではなく、一昨年の洞爺湖サミットで日本から世界に発信した"もったいない"精神を体現する日本にこそ必要とされる施策であり、取り組むべき分野と考えます。 

 未利用エネルギーについては、代表質問で今後の取り組みを伺いました。

  ここでは、家庭部門における、さらなる取り組みを求め、質問いたします。

 2006年度における都内のCO2排出量は、家庭部門で90年度比10.8%増加しています。給湯や冷暖房におけるエネルギー使用量が中心ですが、太陽光などの再生可能エネルギーや省エネ家電製品に対する投資に比べて、蓄積したエネルギーを逃がさない、つまり「断熱」に対する認識が不充分ではないでしょうか。ヨーロッパでは、まず、エネルギーの必要量を減らす(断熱強化)、次に石油などの化石燃料の代わりに持続可能な再生可能エネルギーを使う(再生可能エネルギー)、そして最後に化石燃料を効率よく使用する(エネルギー効率の良い家電製品)、これによってCO2排出ゼロ住宅を実現する、のが最も効率のよいエネルギーサイクルという概念があるようです。国立環境研究所の試算では、1990年比CO2排出15%以上削減するためには、住宅分野では、新築の100%、既存住宅の改修年1%を「高断熱住宅」とする必要がある、とされています。再生可能エネルギーなど省エネの手段の効率をより高めるためにも、住宅の高断熱化が有効であると考えます。所見を伺います。●1

 

 都は、東京都住宅マスタープランにおいて、「次世代省エネ基準」に適合した新築住宅の比率を2015年までに65%とする目標を掲げていますが、2005年で14%にとどまっています。また、既存住宅については、次世代省エネ基準よりもハードルの低い、窓に二重サッシまたは複層ガラスを使用した住宅の比率が、目標40%に対して2008年で14%に過ぎず、目標とする水準には遠く及びません。年間10~15万戸の新築住宅もさることながら、680万戸ある既存住宅の改修・リフォームを促進することは、地域経済への波及効果も期待されます。国は、住宅版エコポイントを始めますが、省エネ住宅の適合率を上げるために、東京都独自の支援策を強化するべきと考えますが、所見を伺います。●2

 

 ドイツでは、2008年から全ての新築住宅に、年間のエネルギー消費量、CO2の排出量の表示を義務付ける「エネルギーパス制度」が始まり、EU各国でも採用が進められようとしています。対象の住宅がどの程度のエネルギーを消費するか、その性能を数値で表示することによって、住宅の賃貸、売却時における住宅のランク資料として活用されています。この制度のポイントは、エネルギーの「見える化」にあります。日本でも、商品・サービスのライフサイクルの過程で排出されたCO2量を表示するカーボンフットプリント制度、直訳すると「炭素の足跡」制度、導入に向けたモデル事業を開始しています。CO2という見えないものを数字で「見える」ようにすることは、目標や達成度をより分かりやすく、人々の行動を促します。「パス制度」は、都民の行動を促すと同時に、住宅の資産価値を高めることにもなり、中古住宅市場の活性化にも寄与するものと考えます。都では、条例」改正により、今年10月から延べ床面積5,000㎡を超えるマンションに対して、環境性能を星印で示すラベル表示を義務付けましたが、より広範囲な住宅に、住宅エネルギーパス制度導入の検討を進めるべきと考えますが、所見を伺います。●3

 

 

3.ものづくり企業の振興

 

 次にものづくり企業の振興について伺います。私の地元荒川区は、印刷、金属加工、皮革、衣服関連などを中心として様々な業種の事業所が立地していますが、とりわけ製造業が盛んな「ものづくりの町」として発展してきました。製造業が占める割合は全産業の約27%と、区部全域と比べ2倍以上です。

 

 また、4人以下の従業員規模の事業所数が6割以上を占め、中小零細企業が23区の中でも際立って高いのが特徴です。こうした中小零細企業は、2次、3次の下請け部品や半製品の製造が多いことから、不況や価格競争、発注側の経費削減等のあおりをまともに受け、利益を削らざるを得ないという、もともと非常に弱い立場にあります。

 

 このような下請けを中心とした荒川区の事業所は、今では最盛期の半分まで落ち込んでいます。長期的な傾向に加えて、昨今の我が国経済を取り巻く厳しい環境がさらなる追い討ちをかけ、今や荒川区の製造業は、極めて深刻な状況にあります。

 

 都は、下町4区、台東、荒川、墨田、葛飾と連携して、それぞれの頭文字をとったTASK(タスク)プロジェクトを推進していますが、今こそ、こうした企業を下支えする支援策を強力に行っていくことが求められています。今後、都はものづくり企業の振興をどのように図っていくつもりか、知事の所見を伺います。●1

 

  ものづくりの頂点は、熟練した技能を持つ職人です。荒川区には独自のマイスター制度があり、産業展や伝統工芸技術展などの場で、その技を披露していますが、技術をいかに継承していくのか、後継者の育成が大きな課題となっています。ものづくり人材を確保するには、ものづくりの魅力、トップランナーのステイタスを高めることが重要です。都は、都内の中小企業に勤務する優れた技能を持つ人を東京マイスターとして認定しており、これまで1,200人を超える方が東京マイスターの称号を得られていますが、どれだけの人がその存在を知っているでしょうか。東京マイスターの積極的なブランディングを図り、認知度を高め、表彰制度にとどまらず、活躍の場を提供していくことが必要だと思います。所見を伺い、私の質問を終わります。●2