
平成22(2010)年3月3日
鈴木 勝博(足立区)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。
私からは東京の最重要課題であります雇用政策そして産業政策について質問をいたします。
正社員47.5% パートタイマー48.2% 派遣社員60.9% この数字は雇用不安を持っている人の比率です。つまり現在日本では、正規社員であろうと非正規社員であろうと二人に一人が雇用不安を抱えているということです。私は、民間企業で20年間、雇用にかかわる仕事をしてきましたが、これほど雇用に不安を感じる人が多い時代を初めて経験しています。終身雇用体制の崩壊、リーマンショックによる不況、そして規制緩和による非正規社員の増大、企業の成果主義の導入など、さまざまな要因があると思います。
この雇用不安を取り除かない限り、個人消費も増えず景気回復は遅れ、また、子供を安心して生み育てることができず、少子化対策も有効に機能しないということになります。雇用保険や労働派遣法の改正など国の制度改革を待つ必要がありますが、東京で働くものの雇用は東京が守り、都民一人一人の雇用不安を取り除く、都独自の緊急雇用対策が強く求められています。
都は平成22年度の予算編成において、都民の雇用や生活への不安に対応する取り組みが、最重要であるといっておきながら、国の緊急雇用対策予算を新たに増額しただけで、東京都独自の緊急雇用対策のために予算を増額計上していません。職業能力の開発、向上に45億円の増額予算となっていますが、そのうちの25億円は、多摩の職業能力開発センターの改築費用として計上されているもので、緊急雇用対策ではありません。
都は若年者やミドルの就業支援や、生活安定に向けた貸付事業や相談窓口の設置など、様々な施策を実施してきましたが、今回の予算編成を見る限り、都独自の緊急雇用対策としては、あまりにも力不足と思うのですが、都の所見をお伺いします。●1
また、予算化した、ふるさと雇用再生特別基金事業と緊急雇用創出事業の173億円は、どのような雇用創出事業として利用され、どれぐらいの雇用創出効果を見込まれているのか、都の見解をお伺いします。●2
東京仕事センターは、都の雇用対策を担う大変重要な拠点となっています。特に再就職をしたい若者やミドルの相談窓口となっており、年間2万人を超える新規利用者が訪れ、再就職やキャリアアップなどの、さまざまな雇用相談に対応しています。国のハローワークではできない、キャリアカウンセリング中心の、きめ細かなサービスは、東京都独自の雇用対策として大変価値のある施策です。これらの業務は、すべて民間企業に委託されているため、効率よく運営されています。しかし37万人の失業者を抱える東京では、この程度の規模では、明らかに不十分です。緊急雇用対策として、都内主要ターミナル駅に仕事センターを配置し、年間10万人規模の雇用を確保する、キャリアカウンセリング体制を整える必要があると考えますが、東京仕事センターに対する所見をお伺いします。●3
職業訓練は失業対策の要となる政策です。有効求人倍率が0.51と大変厳しい雇用環境のなか、企業の求める人材は多様化、専門化し、即戦力となる人材の確保という企業側のニーズと、求職者の能力に大きなスキルギャップがあることが問題となっています。このギャップを埋めるには、教育訓練以外に方法はありません。職業能力開発センターの重要性は益々高くなっています。
現在の職業能力開発センターでは、1年制の普通科と6ヶ月の短期科が用意され、機械・電気・印刷・建築関係・介護・事務・被服など他分野にわたり学ぶことができるようになっています。しかし、卒業後の就職を考えたとき、果たしてこの訓練内容と定員数で東京の雇用を守ることができるでしょうか。
建築業界は公共事業も減り、当然採用を手控えている就職困難業界です。印刷業界もインターネット社会になり、大変厳しい環境におかれています。こういった社会の変化にあわせて訓練内容も毎年検討していく必要があります。訓練生を就職まで導くことが、真の職業訓練であるという意味で、職業能力開発センターの訓練内容の見直しは急務であると考えますが、都の見解を伺います。●4
また、中央職業能力開発センターの校舎は、9階建ての立派なビルですが、訓練生の受け入れ人数は、一年制、短期科あわせて年間約480名です。一般に私立の専門学校の場合、同じ条件の規模と立地であれば、1年制だけでも、800名から1000名の生徒を受け入れることが損益分岐点であると聞いています。私立の専門学校と比較すれば、これだけのスペースを、もっと有効活用することは十分可能です。事実受講したくてもできない生徒があふれているわけですから、都はできるだけ有効にこのセンターを活用する責任があります。活用できないのであれば、民間に委託することも視野に入れて検討すべきであると思いますが、都の職業能力開発センターの事業に対する見解をお伺いします。●5
東京には大学、専門学校をはじめ、さまざまな民間スクールがあります。その数は約20000を超えるとも言われています。これだけの教育機関が集積している大都市は、世界で東京だけではないでしょうか。東京はあらゆることを学べる大都市でもあるのです。
職業訓練に民間委託訓練という制度がありますが、さまざまなジャンルの教育機関と連携をして、多様化するあらゆる仕事に対応できる、都独自の職業訓練システムが求められていると思いますが、都の所見をうかがいます。●6
今年の大学新卒者の就職率は、昨年12月時点で内定率73%と過去最悪の就職氷河期となっています。10万人以上の大卒者が、卒業しても就職できないという実態です。日本の大学のあり方そのものについて再検討をする必要がありますが、都内でも多くの大卒者が失業者となって社会にあふれ出すことになります。新卒無就業者をニートやフリーターにしないための対策は急務です。そのためには4月以降も新卒者を受け入れる企業とのマッチングの場の提供を継続する必要があります。大学の就職課と連携し、就職できなかった学生をしっかりと把握し、職業紹介企業と連動し、合同企業説明会を是非とも継続していただきたい。1990年代、バブル崩壊で就職できなかった大卒者が、大量に社会的経済的弱者に追い込まれた過去の過ちを繰り返さないためにも、都は独自の雇用対策を行うべきであると考えますが、見解をお伺いします。●7
広島県では、本年度から、就職の決まらなかった400名の未内定高卒者を対象に、受け入れ企業を探し、インターンシップを導入して、就職できるまで、粘り強くフォローすることにしています。都においても、大卒者同様、高卒の未内定者に対して独自の雇用対策を採るべきであると思いますが、所見をお伺いします。●8
次に産業政策についてお伺いします。
私は、2つの視点で産業政策を検討すべきであると考えます。1つは都内の雇用創出に大きく貢献する内需型の産業成長戦略です。
具体的な産業としては医療、介護、飲食関連などの産業です。医療分野では、医師、看護士、薬剤師、後発薬MR、一般大衆薬の販売登録者など、さまざまな職種の人材が不足しています。介護の分野でも介護福祉士、介護ヘルパーなどの人材不足が深刻です。
いまや日本の食文化は世界一です。東京の飲食産業は、東京の雇用を支える最大のサービス産業に成長しました。これらの成長産業をしっかりと支援しながら、人材を確保するための雇用環境、教育システムを整備し、内需を拡大する総合的な施策が都に強く求められています。
産業政策で欠かせないもうひとつの視点は、外需型の産業成長戦略です。鳩山首相が掲げた東アジア共同体構想は、まず経済の分野で実現される必要があります。世界経済は、中国を中心にアジアの新興国が牽引しています。日本が景気回復するキーワードは、「アジアへの経済外交」です。知事がオリンピック招致で実践した東京の外交戦略を、次は東京の景気回復のために、アジアに向けて展開されてはどうでしょうか。
知事が、10年後の東京への実行プログラム2010でおっしゃるように、東京は、都市として、機能性、清潔さ、衣食住どれをとっても世界を代表する大都市です。都市を支える公共インフラの整備事業においても、水道事業、下水道事業、交通事業、都市開発事業など、東京の公共事業の技術は世界一でもあります。8兆ドル、日本円で720兆円。今後10年間のアジアの公共事業費です。
このマーケットに知事みずから経済外交を展開することで、外需産業を成長させるエンジンとするのは、いかがでしょうか。本年度から都が予定している水道事業のアジアでのセールスなどはその足がかりとなるでしょう。
2010年はアジア大都市ネットワーク21の総会が東京で予定されています。アジアの都市が抱えるさまざまな課題に東京がどう支援できるか、インフラビジネスを含めたプロモーションの場として、「アジアへの経済外交」をされてはいかがでしょうか。知事の見解をお伺いします。●1
外需を稼ぐもうひとつの戦略は観光ビジネスです。平成21年度の日本への訪日外国人は679万人。日本の持つ魅力はまだまだ世界に認知されていません。今年早々の経済特需は中国からの旅行者でした。日本政府観光局の調べでは、中国人の物品購入費は平均7万8680円と、欧米人の約3倍といいます。観光庁の調べでは、中国では年間4500万人の海外旅行者がいますが、日本への旅行者は100万人と全体のわずか2パーセントにとどまっているということです。東京のシティセールスもアジア、特に中国を中心に展開されるべきであると思いますが、今後のアジアにおける観光戦略について、都の見解をお聞かせください。●2
次に中小零細企業への産業支援策についてお伺いします。
政府の月例経済報告によると「景気は持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」とされています。しかし、中小企業景況調査によれば、業況判断DIは、マイナス36.4ポイントと中小企業においては、とても景気の持ち直しを実感できる状況ではありません。
私の知り合いのほんとんどの中小零細企業の経営者は、資金繰りはもちろんだが、とにかく仕事がまったくないということです。
今こそ中小企業を守るため、仕事そのものを生み出すための産業施策が必要です。具体的には企業に対し、国内外の販路の拡大を図ることが有効です。東京の優れた製品やサービスなどを広く知らしめ、企業同士をマッチングさせる場の提供が必要です。都は、毎年産業交流展を開催し、多くの来場者を集め、効果を挙げていると伺っています。都内各地で展示、商談会を開催するなど、マッチングの場を提供し、ビジネスチャンスを広げることが重要な施策であると思いますが、所見をお伺いします。●3
また、外需をうまく取り込んで、この厳しい経済状況下でも順調に業績を伸ばしている中小企業があります。こうした企業にあっては、成長が著しいアジアの国々の需要を獲得しているケースが多く見られます。都はこうした発展著しいアジア地域などを中心に、中小零細企業が海外にも販路を開拓できるように、強力に支援していくべきであると考えますが、見解をお伺いします。●4
イタリアンレストランを経営する私の知人は、6年前に上海に渡り、今や、7店舗までレストランを増やし、5月開催予定の上海万博では、2000席のレストランを任されたそうです。ベンチャースピリッツで海外へも事業を広げ、成功している中小企業は数多くあると思います。都は、成功事例を紹介し、ノウハウを共有する場を提供し、日本の閉塞感を打ち破る企業が、東京から世界を目指して進出できるよう、総合的な海外施策を実施することを要望し、私の質問を終わります。