平成22(2010)年3月3日
大西 さとる(足立区)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。
文教委員会所属の民主党都議会議員を中心とした、教育関係が中心の海外調査を実施いたしました。調査先は、OECDによる世界各国を対象とした学習到達度調査において、連続世界1となったフィンランド、教育投資額世界トップ、GNPの8.2%のデンマーク、そしてロンドンです。3国を訪問して共通して感じたこと、それは、教育機会の平等・公平という理念をとても強く持っていたということです。また、教育は人づくり、国づくりであり、国づくりには、教育が一番大切であるとの強い理念を感じました。授業が解からない、出来ない子どもには、学習が定着するまで教えることが当然として行われていました。特にフィンランドでは、そのような子が前兆を見せると、個別指導室で、マンツーマンないし、数人といった特別クラスを編成し、元のクラスに戻れるように指導をしていました。また、1クラス15人から多くても25人程度であったこともありますが、解からない子どもをなくし、中位以上の子どもをつくるという姿勢がはっきりと現れていました。もう一点は、特に教員養成に熱心であると感じました。教員自体が、社会的にも人気職種であり、資格をとるために高倍率になっている、給料は低いものの、社会的地位も高いという状況もあり、大学入学時から教員を目指す学生がほとんどということですが、教員養成課程で1年時から度重なる実習を行うなど、教員を目指す学生をサポートする体制がとても充実していたことには驚かされました。
東京都では、一部ではありますが、やっと40人学級から、39人、38人と進んでいく方向が示されました。これ事態は、評価するものですが、まだまだ、不十分と言わざるを得ません。授業についていけなくなった子どもの特別指導に対しても、教員の数が足らないのが現状でしょう。実際、台東区のように大学生をアシスタントに起用している所もあり、成果が出ているとの話も聞きますが、教育庁として、今後、教員の数、質をどのような方向に導こうとしておられるのか所見を伺います。●1
フィンランドでは、ヘルシンキのような都市でも、ラップランドのような過疎地でも同様の教育が受けられると胸をはっておられました。これは、教育機会の平等・公平という理念が強いということの表れでもありますが、ここで、東京の都立高校における教育の不平等、不公平とも思われる一つの事例を提示させていただきます。
都立高校には、勉強を頑張ろうとする子どもたちを応援する「進学指導重点校」や「進学指導特別推進校」を指定しています。これらの高校は、勉学を頑張り、難関大学を目指す子どもたちを応援するため、特別に予算を組み、教師を重点配置し、補習などを充実し、難関大学と呼ばれる大学入試合格を目標に日々努力している学校です。その結果、日比谷高校では、昨年東大に16名、早稲田に126名、慶応に127名など大きな成果を出しています。有名大学に行くだけが全てじゃない。そんな意見もありますが、自ら希望している子どもたちが、このように大きな壁を越えて結果を出す。すばらしいことだと思います。
今、残念ながら、東京都において地域間の学力格差が表れています。
この地図を見てください。まず、小学校における学力調査、ピンク色の区が平均以上です。ここに中学の検査結果、平均以上を重ねます。すると、このようになります。
先ほどの、進学指定校は、どこに在るかと言いますと、このようになります。学力が平均以上の区にしか存在しない。また、隣接する区に進学指定校がない区は、全て、平均以下の結果となっています。23区内では、中西部に存在し、東側、北側には一つも存在しません。
昨年、私は、この問題を文教委員会で取り上げました。その時も同じように、どうして、東京東部地域に進学校が指定されていないのですか?との質問に、教育庁は、過去の進学実績により、指定校を選択している。足立区や葛飾区においても進学実績が増えてきたら指定する。と答弁しております。これっておかしくないですか。当然のことながら、足立区や葛飾区に住んでいる子どもの中にも、勉強を頑張りたい、学問を究めたい。難関大学に進学したい。そのように考える子どももたくさんいます。しかし、実際のところ、過去の経緯から、このような子どもたちは、満員電車で通学しながら、時間をかけて、日々谷高校や青山高校に通っているのです。そして、そこで、頑張って、難関大学に合格して、その高校の実績にカウントされているのです。
ある年の日比谷高校の在籍者の状況を調べてみました。なんと足立区の子は、16人もいるではありませんか。戸山高校は、15人、青山高校は23人。小山台、駒場、新宿高校にも多数通学しております。これらの子を集めるだけで、進学校が1つできるのではないですか。もし、足立区に進学校ができたら、足立区の子どものみならず、葛飾区や荒川区、墨田区から通学できます。都心とは反対側に位置するわけですから、電車通学も楽になるわけです。
一旦、ドロップアウトした子どもが、もう一度頑張ろうとする、そんな子どもたちを応援する施設は大切であります。一方で、勉学を頑張ろうとする子どもを応援する施設も同時に必要ではないでしょうか。進学指導重点校や進学指導特別推進校は、進学を希望する子どもにとっては、ありがたい存在です。進学に対するノウハウも蓄積され、進学が有利となる指導を受けることができます。また、同じ目標を持つ仲間が、切磋琢磨し、励ましあう環境もあります。今の進学校の地域バランスは、明らかに偏在しており、地域バランスを欠いているとしか言いようがありません。これこそ、教育機会の平等・公平という理念に反していると考えますが、見解を伺います。●2
次に公立中学校の課題について伺います。中学受験が年々熱を帯びてきていると言われていますが、6年生の3分の2以上が受験したという小学校まで多数あるとのことです。そこで、受験する理由を色々な地域の親御さんに聞いてみました。受験する学校の教育方針や理念、内容、施設などがすばらしいから、是非行かせてやりたい。こんな答えが返ってくると思っておりました。しかし、このような応えは少数で、ほとんどの答えが、「区立には行かせたくない。」というものでした。この背景には、公立中学校における不登校やいじめ、対人関係にかかわるトラブルなどの生活指導上の課題や、公立中学校では高校入試に必要な学力が身に付かないのではないかなどの学力の課題に対して保護者の不安があるものと考えています。東京都は、このような状況をどのように改善しようとしているのか、所見を伺います。●3
また、訪問した全ての国で、読書の大切さを挙げていました。先日の石原知事の所信表明におきましても、読解力の養成を挙げておりましたが、読解力を養うためには、本を読むことが必要であり、図書館の意義は大きいと思います。1971年、東京都は、他県に先駆けて都立高校全てにおいて図書館に司書を置きました。当時、この施策は、大きな反響を呼び、東京都はすごいと絶賛されたと伺っています。1971年から採用された司書は、3年後にはほとんど定年を迎えます。しかしながら、この10年間新たな司書の採用はありません。都立高校では、選択制授業や課題学習の進行により、午前中の授業時間中でも図書館利用が多いと聞きます。また、図書館は、司書の方の存在により大きく価値が変わります。司書がいない図書館は、たんなる書庫になってしまいます。また、図書館の多くが、図書が痛んだり、新たな書籍購入ができないといった状況に悩んでいます。最近では、財政難の鳥取県で全ての高校に司書を配置し、図書館を充実した例がありますが、東京都は今後どのように考えておられるのか所見を伺います。●4
私たち海外調査団の主要目的は、教育関係でありましたが、併せて交通政策調査も行ってきました。コペンハーゲンにて、主に自転車政策、ロンドンにて渋滞税課金制度について調査しました。
両都市とも、中世に建てられた古い家並みが続く美しい街であります。それは、道路の拡幅が非常に困難であることを意味し、コペンハーゲンは、まだしも、ロンドンに至っては、道路状況は、東京よりもひどいと感じました。双方、市内中心部の自動車による交通渋滞に問題を感じており、思い切った改善策に取り組んでいました。
コペンハーゲンにおいては、自動車交通からの脱却を図るべく、自転車に乗り換える政策を進めていいます。自転車専用道路、専用レーンや駐輪場の整備を進め、同時にメトロなどの公共交通機関を整備しております。一方で、自動車に対しては、規制地域を設けたり、中心部の駐車場代金を高額にするなど、抑制政策を推し進めています。ロンドンでは、市内中心部の特定地域に入るには、現在は、1日あたり1300円以上もの渋滞税が課金されます。カメラを設置し、コンピューターに送信するだけの比較的簡単な投資で運営されるエリア方式が採用され、成功していました。今年の年末までには、料金も更に上がるようではありますが、その一方で、バス路線の大幅な整備やタクシーの充実が行われております。ロンドン郊外にお住まいの方が、以前は、2~30分おきでしか来なかったバスが、今では5分おきに来ています。と言っていました。これは、渋滞税の収入の4分の3をバス整備にかけている成果でもあります。
コペンハーゲンでは、自転車へ、ロンドンでは渋滞課金制度といった、自動車抑制の政策を推し進めつつ、バスなどの公共交通の充実を進めていることが共通点でありました。これらの事例を参考に東京都の交通事情を考察してみますと、思い切った政策がとられているとは、言えず、東京都の交通政策、将来の理想像に疑問が残ります。10年後の東京では、高速道路を中心とする道路交通ネットワークや部分的な箇所の改善などに終始しており、将来のビジョンが描かれていません。世界有数の大都市東京の将来、今のうちに真剣に考えておかねば手遅れになってしまうでしょう。
我々は、今回の調査内容を、十分吟味し、今後、様々な提案を行いたいと考えております。今回視察した都市では、様々な施策を複合的に組み合わせることで大きな効果をあげています。東京においても、渋滞による都市の機能不全を解消するとともに、環境問題という観点からも、交通インフラを整備し、そのインフラを効果的に使用するという、ハード・ソフト両面からの大胆な施策展開が必要だと考えますが、知事の所見を伺います。●1
昨年10月、タクシーに関する特別措置法、通称、タクシー適正化・活性化法が施行されました。この法律は、小泉改革による行き過ぎた規制緩和によるタクシーの供給過剰状態、事故の増加、 サービス低下、労働条件の低下などを是正することが目的であり、東京都は、ほとんどが対象地域となっています。そこで、東京都として、現在の状況をどのように認識し、どのように対応していくのか、所見を伺います。
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また、昨年12月の第4回定例議会において、わが党の馬場ゆう子議員の駐車禁止に関する質問にて、米村警視総監は、「貨物自動車の荷捌きであるとか、あるいはタクシーの客待ちといった、いわゆる駐車の必然性、要望、それと現実問題として駐車スペースをどう確保していくのかという点等につきまして、現在、都内全域で実態調査を行っております。この結果を踏まえて駐車禁止規制の見直しを行って参りたい」と答弁されております。その後3ヶ月近く経ったわけですから、具体的な見直し策をお伺いいたします。●3
タクシーが、客待ちで、交差点付近に停めても違反になります。現金輸送車も昨年41件駐車違反とされています。宅配業者も苦しんでいます。駐車取締りも、現状に即した措置が必要だと思いますが、所見を伺います。●4
今回の海外視察についての詳細は、後日皆様に小冊子にてお配りさせていただきます。また、今回は、教育、交通について質問させていただきましたが、消費者行政についても調査してまいりました。今後、参加した他の議員からも様々な角度から、これらの内容について、引き続き、提案、質問させていただきますのでよろしくお願いいたします。
これをもちまして、質問を終了いたします。