平成19年10月5日
原田 大(総務会副会長、北区)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。
私は、都議会民主党を代表して、議員提出議案第20号に反対し、第156号議案「平成19年度一般会計補正予算(第2号)」ほか、知事提出議案に賛成の立場から討論を行います。
まず、石原知事による都民税所得割の軽減措置の撤回について述べます。
そもそもこの措置は、低所得者の自立支援や所得向上策と結びつく一貫した政策体系に基づくものではなく、単に税の一部軽減措置を行うだけのものでした。
私たちはこの公約に関して、当初より「かえって税制をゆがめないか」と懸念を表明し、問題点を指摘してきました。また区市町村も「他の基準との整合性」や「公益性」などの疑問点を発していました。そのため、撤回は当然の判断と考えます。
知事は「決して取り消されたんじゃございません。あくまで進化した」と強弁していますが、この発言は多くの都民を失望させています。知事自身が「選挙の前に、新しい政策を打ち出して欲しい」と指示し、この軽減措置を発表しました。この公約を信じて、知事に投票した都民も少なからずいたであろうと考えれば、知事は、まず素直に公約の撤回を認めるべきです。本当の進化は、現実をありのままに認識するところから始まると考えます。改めて、この東京に暮らす人々の立場に立った格差是正策を早急に具体化するよう求めます。
次に、第156号議案についてです。
本案には、東京大気汚染訴訟和解拠出金収入として38億円が計上されるとともに、環境CBOの導入に要する経費50億円が計上されています。
東京大気汚染訴訟は、8月8日に和解が成立いたしました。これまで行政機関においては、その無謬性を追求するあまり、ともすると現実に生じた不都合な真実を真正面から受け止められないという傾向も見られましたが、今回、問題解決に向けてまた一歩前進となります。しかし、この和解成立で大気汚染の問題がすべて解決したわけではありません。自動車交通総量の削減対策や低公害車の導入促進、エコドライブの普及・推進策などの着実な実行はもちろん、特に、医療費助成制度については、早期創設を求めます。
環境CBOは、金融分野に環境の視点が取り入れられたという点、および中小企業においても排出枠を設定したCO2の削減の取り組みが始まるという点で画期的です。
中小企業からのCO2排出量が都内排出量の約2割を占めていることを考えると、この環境CBOにとどまらず、ほかの様々な中小企業支援策についても、積極的に展開していくべきと考えます。産業労働局のアンケート調査によれば、通常のCBOの使途として半数を超える企業が「手元余裕資金」とすると回答しています。そうした現状では、省エネに関するノウハウや設備投資の資金提供により、中小企業が積極的に環境投資に取り組めるよう、取り引き先の銀行などと連携した環境金融の仕組みなどをさらに進めることが効果的であります。また、社債発行をしない、つまりこの環境CBOの仕組みに乗れないより小規模の企業で、環境に積極的に取り組もうという企業を後押しする取り組みも重要です。これら施策を通じて、中小企業の温暖化対策に総合的に取り組まれるよう求めます。
次に、第168号議案「緑の東京募金基金条例」についてです。
海の森や街路樹の整備など、緑の保全や創出に向けた募金の役割は重要ですが、私たちは、植樹や緑の管理など、実際の活動を通じて都民からの協力を得ることも必要ではないかと述べてきました。緑のムーブメントというのであれば、お金の面だけでなく、都民などの環境活動にも大いに着目し、都民等との協働に積極的に取り組んでもらいたいと思います。
また、今回の募金には、スリーコイン・ワンツリー運動のような、目標額の設定がありませんが、参加者に募金の意義をわかりやすく訴えていくため、私は、カーボンオフセットの考え方を採り入れることを提案しています。
例えば、イギリスの航空会社であるブリティッシュ・エアウエーズでは、乗降客が、飛行機で移動したことよって排出されるCO2を相殺するため、植林の費用を運賃に上乗せして支払うという取り組みを行っています。日本でも、環境に関する会議・シンポジウムで、参加者の移動を含むイベント開催に伴うCO2排出を、植林プロジェクト等への寄附によって相殺する取り組みが各所で始まってきております。
緑の東京募金に寄附することによって、個人や企業が、植林活動等に貢献でき、その結果どれだけCO2削減に貢献できたかがわかるようにすれば、寄附する側の意欲を掻き立てることになります。また、運営上も、結果的にある程度目標額を設定することが可能となるものあり、是非とも検討されるよう求めます。
次に、第185号議案「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
本案は、立川警察署警察官による殺人及び自殺事件から、死亡職員に関して新たに退職手当を支給しない特例が設けられました。職員が生存している場合、裁判所など第三者機関の判決を待ち、不支給などの判断をすることが可能ですが、死亡の場合には不起訴処分になります。そのため、第三者機関の関与など適正な手続きが必要ではないかと考えます。減額支給や返納についても、今後の課題として検討されるよう求めます。
次に、議員提出議案第20号「公立の小学校及び中学校の耐震化促進のための助成に関する条例」についてです。
小中学校を含む公共建築物、民間建築物の耐震化について、都が掲げている「平成27年までに、防災上重要性の高い建物を100%耐震化する」目標では足りず、前倒しして達成することは、喫緊の課題です。耐震化の促進という目的自体は、都、都議会、区市町村も一体となって推進すべき重要課題であり、私たちも再三にわたって実効性のある耐震化促進制度の実現を求めています。
本案の求める公立学校の危険校舎の耐震化促進について、民主党は、原則として、設置者と所管行政庁との関係において、全国的に耐震診断を義務づけ、補強・改築費用のかさ上げを図るなど、法による一層の取組が必要と考え、国において、「学校施設耐震化促進法」を提案し、成立を目指してきました。私たちは、この法的枠組みの下で全国的に耐震化を促進すべきと考えます。
また、委員会での質疑を通じて、本案の枠組みにおいては、区市町村の自治・分権について考慮されておらず、区市町村長及び区市町村議会の自主的な政策判断により推進されるべき学校施設の管理について、学校教育法、地方自治法、ならびに耐震改修促進法などの関係法令との整合に欠く内容であることも明らかとなりました。よって、耐震化を促進するためには、本案は適当でなく、都が幅広い建築物を対象とした耐震化促進助成制度を実施すべきと考えます。
以上、都議会民主党を代表しての討論を終えます。