
平成19年9月27日
一般質問
岡﨑幸夫(大田区)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。
私は、都議会民主党即ち田中良幹事長、山下太郎政調会長、土屋たかゆき総務会長を先頭にして活動している会派の一員として質問させていただきます。知事をはじめ、理事者の皆さんの夢のあふれる答弁を期待しております。
我が国は古来、木と共に生きてまいりました。古くは「古事記」や「日本書紀」の中にも、五十三種類の樹木の記述があって、「日本書紀」の中には「日本は島国だから、船がなくては困るだろう。そこでスギとヒノキとマキとクスノキを生んで、ヒノキは宮殿に、スギとクスノキは舟に、マキは棺に使え」という説話が載っているそうであります。
また、古来より、植林をしていた記述もあるそうです。
さらには、こうした記述が考古学的な調査と一致しております。
例えば、ヒノキは、伊勢神宮に典型的ですが、建築用材に最も使われております。古墳時代の遺跡から発掘される舟の用材はほとんどクスノキで、登呂の遺跡から発掘された田舟、田下駄は、スギ材とのことであります。また、近畿地方の前方後円墳から出土する木棺は、ほとんど例外なく、日本にしか産していなかったコウヤマキという木で作られているとともに、韓国の百済王の古墳の棺の材料がコウヤマキで、当然日本から運ばれていたと考えなければならないというものであります。
日本には、築千三百年の法隆寺をはじめ、築千年以上も経過した多くの歴史的木造建築物が残っておりますし、知事の暮らす大田区の池上本門寺の五重塔は建築直後の地震で少し壊れた以外は、殆ど手を加えず、四世紀経って初めてこの度、大改修工事が行われました。
世界で最古の木材の取り引きの記録は、紀元前十一世紀、ソロモンとフェニキアとの間で、エルサレムに建立された寺院や宮殿の用材に関してなされたということです。しかしその後、ギリシアのパルテノン神殿をはじめ、世界の多くの歴史的建造物は石で造られており、木の文化は、我が国の最も本質的な文化の特長であります。
明治以来百五十年近く経つ今日、特に高度経済成長以降の数十年間で、東京をはじめ、我が国の街並みは乱雑なコンクリートの建物で埋め尽くされてしまいました。その結果、街の中に癒しの空間は少なくなり、各都市がヒートアイランド現象に見舞われ、局地的豪雨に苛まれるようになってしまいました。一方、我が国の古い街並みの面影を残す木曽の馬籠や妻籠のような街には、観光客も多く出かけているとのことです。
このように都内に木造建築を増やすことは、東京の都市環境と自然環境の両面からの効果が期待できます。特に東京には、多摩産材という地域材があり、それを活用すべきと考えます。そこで、多摩産材の利用の意義をどのように考えているのか、知事の所見をお伺いします。●1
私は、平成十七年の第三回定例会において、東京都が率先して多摩産材を利用することを求めました。その後の東京都における多摩産材の利用拡大の取り組みについてお伺いします。●2
次に、木造建築の積極的な採用は莫大な雇用を生み出します。
今から三百年前、我が国の最大の木造建築物といわれる東大寺が再々建された時の屋根に使われた一本の大木は、九州の霧島山のアカマツです。幹の直径一・五メートル、長さ約二十四メートル、これを六十キロメートル先の海岸まで運ぶのに要した人数は十万人、牛四千頭とされています。さらに専用の舟を造って大阪湾に運び、水路・陸路を使って奈良に着くまでには、伐採から実に一年もの月日ががかっております。これ程ではなくても、奥多摩の木々は、伐採まで数十年から数百年、運搬にも林道工事を行うなど、困難な事業を行わなければなりません。こうしたすべての過程において、多摩産材の利用拡大は多くの雇用を生み出し、莫大な失業者を吸収することができます。
格差社会といわれて数年経ちますけれども、私の暮らす大田区でも、平成七年度からの十年間で、生活保護を受ける世帯の数は一・九倍に増加しております。実に六十人に一人が生活保護を受けているということになります。
このような格差社会の深刻さに対して、主に現金給付という形で行われている社会保障のみではなく、何とかして雇用の拡大による社会保障の底上げこそ大切であると考えます。しかるに、都内で働く林業労働者はわずか二百人くらいであるし、年とともに高齢化しております。しかし、先ほど申し上げたように、森林資源の活用には労働力の確保が必要であります。
そこで、林業労働力の確保についてどのように考えているのかお伺いします。●3
我が国は、国土の約七割を森林が占めているにも拘わらず、国内の木材消費量の実に八割を外国からの輸入材に頼り、丸太の輸入量は世界第一位を誇っているというより、やりたい放題といいますか。さらに都内でも約三分の一が、森林に囲まれているにも拘わらず、殆ど多摩産材は利用されておりません。こんなことが許されるのでしょうか。
知事も、国土が水没の危機にある南太平洋のツバル等を視察してこられましたが、地球温暖化への対応は、多摩産材を活用することで貢献できます。多摩の森林が成長していく過程で吸収する二酸化炭素の減少や、伐採した後にその材を利用することで二酸化炭素を貯留することができるからであります。そして伐採した後には、花粉の少ない樹種を植えて、花粉症にも対応が促進されます。
フード・マイルという考え方も広がりつつあるようですが、木についてもウッドマイルという考え方が必要です。遠方から木材を移動するために、どれほどの二酸化炭素を排出しているかということも考慮しなくてはなりません。そのためにも、公共施設に利用するだけでなくて、多摩産材の民間への普及を促進することにも力を入れなければならないと考えますが、所見をお伺いします。●4
我が国にはもちろん、都内にも、数多くの河川が存在しています。ついほんの数十年前までは、例えば、日本最後の清流といわれる四万十川のような川が全国各地に存在していましたが、このような川でさえも圧倒的な漁獲量の減少と水質の悪化が進んでおります。この四万十川でも、三十年くらい前まではアユを手づかみする漁さえありましたが、今は幻。この激減の裏には、農薬の影響もありますが、人の手が入らないため、森林がどんどん荒廃し、豊富なプランクトンを含んだ水が山から浸み出すのではなく、大雨が降ると一挙に泥混じりの土砂が河川に流れ込むということも一因であります。宮城県の漁師さんたちが遠く離れた山に木を植えることによってカキの養殖を蘇らせたのは有名な話であります。今や世界の水産魚類もあと四十から五十年で絶滅するという説まであらわれてきております。
ですから、東京の山に手を加えて、先に申し上げたように都内産材を使いながら、河や海を豊かにする努力を続けていけば、東京発のブランド水産資源が多く生まれる可能性があります。隅田川のシジミ、荒川のウナギ、神田川のアユ、多摩川のエビ、新木場のハゼ、浜松町沖のイワシ、羽田のスズキ等々、荒唐無稽な話が夢ではなくなるかも知れないのです。是非とも、そういう観点からも、できる所から、木を使い、森を豊かにする事業に積極的に取り組んで頂きたいと思います。
石原知事、木を使った東京大改造に一緒に取り組みましょう。
次に、ものづくり人材の育成についてお伺いします。
私たち都議会民主党の代表質問でも触れさせて頂きましたが、我が国において、科学技術の発展と技術者の育成は喫緊の課題であります。
我が国は「科学技術創造立国」を模索し、科学技術のさらなる進展を図り、国民が豊かで安全な生活を送る社会を目指しております。そのための人材育成には、中央省庁はもとより、民間企業や各種団体も積極的に取り組んでおります。私の選挙区でもある大田区でも熟年技能者の高齢化と若年労働者の確保は死活問題になっております。そこで「ものづくりを担う人材」を育成している「工業高校」の今後のあり方について、どのように考えているのか、お伺いします。●1
この「工業教育」では、ものづくりを通じて工夫する力や考える力を養い、ものづくりには忍耐が必要であるため我慢する力、頑張る力などが培われます。また、複数の人員で作品を制作する段階で他者を思いやる力やともに頑張る力などが育成されると考えます。このような背景があるからこそ、油や土にまみれることも厭わない人材が輩出されてくるのであります。
また、工業高校を卒業して、就職する生徒たちの方が普通高校等を卒業する生徒に比して離職率が極端に少なく、ニートやフリーターになる割合も少ないといわれております。
また、卒業後の就職先は、大半がその自治体の周辺であり、地域の中小企業を支えてきたのは、工業高校の卒業生であり、そのことは、過去も、今も、将来も、そう変わることはないと思われます。
一方、国公立大学への入学者もある調査では、全国に約一、〇〇〇人の入学者があり、今や進学は普通校という考えは捨てなければなりません。
工業高校で、ものの基礎を学び、大学に進学して理論構成を行い、その後に社会に巣立つ技術者を育成する必要があります。また、技能の伴わない技術はあり得ないことから、その両者を満足できる工業高校から大学進学するルートを積極的に開発すべきであります。東京都も問題意識はあるようでありますが、どのように取り組むつもりか、お伺いします。●2
また、知事もご存じのように、私の暮らす大田区の北島絞製作所などは、スペースシャトルの部品や国産ロケットの先端部品を製作したり、有限会社でもF1レース用エンジンの部品を製造するなど、超高度な技術・技能を持った会社が多くあります。
このようなトップレベルの技術者を育成することも極めて重要であります。
また、毎年国内では技能五輪全国大会や全国障害者技能大会が開催されています。また、今年は、沼津市をメイン会場として技能五輪国際大会と障害者の技能競技大会国際アビリンピックが同時開催されますが、このような大会に参加できるような優れた技能を持ったものづくり人材の育成を図るべきだと考えますが、どのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いして質問を終わります。●3