
代表質問 田中 良
平成21(2009)年6月2日
幹事長 田中 良(杉並区)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。
- 新銀行東京について
- 景気・雇用対策について
- 新型インフルエンザ対策について
- 医療と福祉について
- 教育について
- 交通政策について
- 防災対策について
私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
まずはじめに、新銀行東京について伺います。
五月二十九日に新銀行東京が、平成二十一年三月期決算を発表しました。
赤字額は百五億円です。再建計画での赤字額百二十六億円は下回りましたが、劣後債の前倒し償還など、辻褄合わせの印象が拭えません。
また、発表された決算からは、新銀行の本来の存在意義、すなわち中小企業支援がどの程度行われているのかさえ定かではなく、むしろ新銀行そのものを存続させることが自己目的化しているといっても過言ではありません。
そこでまず、決算を踏まえて、新銀行がどの程度中小企業の役に立っているのかについて確認したいと思います。
新銀行では、設立当初から、他行にはない目玉のメニューとして、無担保・無保証融資を掲げていましたが、その多くが大企業向けであると思われます。そこで、無担保・無保証融資のうち中小企業に対する融資はどの程度あるのか。●1
また、決算では、事業意欲が高い既存顧客などへの継続的な支援として、一般融資等で三百六十七億円を新規に融資したことになっています。しかし、私は、一般融資等のうち七割以上を大企業向けが占め、中小企業向けは三割以下に過ぎないと推察しています。事業意欲が高い既存顧客などへの継続的な支援のうち、中小企業向けは、どの程度なのか。併せて、事業意欲が高い既存顧客とは、どのような事業者のことをいっているのか。●2
さらに、決算では、貸出残高を千六百八十四億円としていますが、そのうち約四十六%の七百六十九億円の貸出先が「その他」とされています。この「その他」に対する貸し出しは国等への貸し出しであると推察されますが、新銀行の貸出金のうち、中小企業への貸し出しはどの程度で、国等へはどの程度貸し出しているのか。以上の三点について、まずは確認したいと思います。●3
私は、新銀行の失敗は、旧経営陣の失敗だけでなく、モデルカーをつくった石原知事の責任こそ、免れないと繰り返し述べてきました。
それは、新銀行の昨年末までの累積赤字一千十六億円に対して、外部調査報告書で指摘しているデフォルト金額が百十二億円でしかないことが端的に表しています。
ATMやシステムなどの物件費など、赤字の大きな原因となった過大な経費は、なにゆえ発生したのでしょうか。
私は、新銀行設立前の平成十五年七月一日の代表質問で「東京都が出資したノンバンクという形態でも、中小企業への資金供給が可能なのではないか」と質問しましたが、これに対して、石原知事は「預金業務と決済業務をあわせて行う銀行を創設することが必要」だと答弁していました。
しかしなぜ、預金業務と決済業務をあわせて行う銀行を創設する必要があったのか。そこには、銀行への外形標準課税で事実上敗北するなど、銀行業界に何とか一矢報いたいとする石原知事の執念・野望があったのではないでしょうか。
この石原知事の執念・野望が、新銀行マスタープランという過大な目標として、現場に押しつけられ、無理に無理を重ねた結果が、新銀行の失敗だったのではないでしょうか。
私は、石原知事の政治的・道義的責任は免れることのないものだと考えます。新銀行東京の失敗に対する石原知事ご自身の責任やその総括について、どのように考えているのか、見解を伺います。●4
外部調査報告書では、開業後一年の時点で、これ以上融資をやらない方が収益的には望ましいという役員の発言が記されています。
資産、すなわち融資が増えれば増えるだけ収益が上がるのが健全な銀行ですが、新銀行東京は、開業後一年ですでに末期的症状に陥っていっていたことが分かります。つまり開業二年目にこそ、抜本的な対策が必要だったのです。
ではなぜ、その後二年間放置されて、都民の血税一千億円が毀損されてしまったのか。そのことを解明することなしに、責任論は語れません。
そこで振り返ってみなければならないのは、開業二年目、平成十八年が、都政にとってどういう年であったのかということです。それは翌年四月に都知事選を控え、石原知事にとっては特に政治的に重要な年であったということです。
そのような中で、もし仮に抜本的対策を講じようとしたならば、新銀行のデタラメな経営実態は公にならざるを得ず、無担保・無保証・スピード融資というビジネスモデルも、根本から変更せざるを得ず、「全く新しい銀行」という知事の二期目の選挙公約は失策であったという評価が下されることになります。そのことはすなわち、新銀行問題が、翌年の都知事選挙の最大の争点に浮上するおそれがあったということなのです。
つまり、新銀行問題を争点としたくないという都知事やその側近、ならびに与党の意向が有形無形に働いた結果、問題が先送りされ、都民の血税一千億円が消えていったのではないかということなのです。いうなれば、知事のメンツを守るために、都民の血税一千億円がみすみす失われていったと言えるのです。
そして、問題先送りの結果、ついに昨年三月に事実上破綻状態に陥り、四百億円もの血税を投入するに至ったのです。
この追加出資にしても、四百億円を投入するほどの存在意義が新銀行には見いだせず、今年七月の都議会議員選挙を控えて、新銀行を延命措置させるだけの場当たり的な措置であったと言わざるを得ません。まさに、存続こそが自己目的化した銀行としか言えません。
石原知事は「新銀行の再建を果たすことが、私の責任」と述べていますが、知事自身、再建計画に掲げる平成二十二年度の収支均衡、平成二十三年度の単年度黒字化を、任期中に見届けることはできないのです。
であるならば、知事は自らの選挙公約に掲げ、トップダウンで設立した、この「石原銀行」の存続について、石原知事自らの任期中に一定の結論を出すべきだと考えます。
私たち都議会民主党は、かねてより、新銀行東京から、早期に撤退すべきと訴えていますが、もしもそれを否定するのであれば、明確な将来ビジョンを語るべきであります。
今後の新銀行東京のあり方について、石原知事の見解を伺います。●5
次に、景気・雇用対策について伺います。
今年の一月から三月のGDPは、年率換算でマイナス一五・二%と戦後最大の減少率を記録しました。
一方、日銀は四月の「経済・物価情勢の展望」において、年度内に緩やかに持ち直していくとの見方を示すとともに、与謝野財務相も現状を「(景気は)少し上がってくる局面になったのでは」と述べています。
しかし、現状は景気が急降下する最悪期は脱したものの、国内の生産水準はいまだ低く、都内中小企業の景況も最悪の状態にあるなど、実体経済の回復にはまだ時間がかかると考えます。
今後の日本経済には、減収減益の三月期企業決算に続き、夏季のボーナス減少による消費への影響や更なる雇用悪化、秋以降の新型インフルエンザの動向など懸念材料が多く存在します。このような中で、都が示してきた緊急対策が、確実に実行されていくことが重要だと考えます。都議会民主党も求めてきた雇用やインフルエンザ対策、公共投資など、都の緊急・生活者対策の着実な執行による都民生活への効果の浸透に向けて、知事に見解を伺います。●1
五月二十九日、総務省が発表した四月の完全失業率は、五・〇%と前月を〇・二ポイント上昇し、五年五か月ぶりに五%台となりました。また、五月二十五日に東京都が発表した都内の一月~三月期の完全失業率も全国水準を下回るものの三・九%と、前年同期と比べ〇・三ポイント上昇し、完全失業者数も一万八千人増加し、二十七万六千人となっています。
東京都は、昨年十月、緊急対策Ⅱを発表し、公的雇用五十万人創出を打ち出しましたが、五十万人という数字は、一ヶ月に二十日働くとして、十二ヶ月で割り返せば、実質的には年間二千人強にしかなりません。
また、今年二月の国の二十年度最終補正を受け、東京都で基金を設けた緊急雇用創出事業やふるさと雇用再生特別事業も、それぞれ八千人、あるいは二千人という規模で、しかもそれは三年間での数字なのです。
昨年十月、五十万人の公的雇用を打ち出した時点での東京都の現状認識は、全国の失業率四・〇%、労務作業の有効求人倍率〇・七〇倍というものでしたが、それが現在では、失業率五・〇%、労務作業の有効求人倍率〇・二四倍とさらに悪化しています。
私は、東京都として、現在の厳しい雇用情勢に鑑み、緊急雇用対策のさらなる積み増しを実施していくべきと考えますが、見解を伺います。●2
この間私たちは、先の代表質問や予算特別委員会などにおいても、中小企業制度融資の充実などを求めてきましたが、厳しい経済状況がさらに厳しくなる中で、中小企業の負担軽減に向けて、より踏み込んだ対策を実施すべきではないでしょうか。
東京商工会議所も、五月十四日にとりまとめた「東京都の中小企業対策に関する要望」のなかで、制度融資において、融資利率の引き下げや元本の据え置き期間・融資期間の延長、信用保証料補助の拡充などを第一の項目として盛り込んでいます。
制度融資の充実は、例えば、緊急融資で一%の利子補給を実施しても、その額は、新銀行東京に追加出資した四百億円以下で済むものと試算されます。
私は、百年に一度といわれる厳しい経済状況のなかで、利子負担や保証料負担をさらに軽減するなど、緊急避難的に中小企業の負担を軽減していくべきと考えますが、見解を伺います。●3
都は、昨年の九月補正予算から今回の六月補正予算案へと、数度にわたる緊急対策を行い、都民生活や都内中小企業を支えてきました。
一方、我が国では人口減少社会がすでに到来し、都内は人口増加が続きますが、世帯構成は単身者や高齢者が今後ますます増え、国内消費市場も縮小していく傾向にあります。経済危機による景気後退も深刻、長期化するなか、都内経済や都民の所得、雇用の安定などが課題となっています。
都議会民主党は、安心・安全の東京に向けて、都民生活の安定を導く施策が一層、都政に求められると考えています。
そのため都は、都民生活や中小企業支援、今後成長が期待される技術・サービス分野への支援や人材育成、国際化など、財政環境の厳しさも視野に入れながら、持続可能な社会を見据えた施策を行っていかねばなりません。社会が大きく変化する中で、都は、東京の今後の社会状況の望ましい姿を新たに展望していく時に来ているのではないでしょうか。知事に見解を伺います。●4
次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
豚インフルエンザから変異した今回の新型インフルエンザは、感染防御に関する情報が錯綜し、市中ではマスクが売り切れるなどの事態も起きています。一旦終息の見込みかとも言われていますが、過去のスペイン風邪は三回にわたって流行を繰り返し、日本では夏にも流行したということから、今後の新型インフルエンザ対策も、終息するまで長期戦となりそうです。
成田や羽田空港、東京港に到着した帰国者・渡航者の多くが、都内を通過することや、住民の移動が広域にわたる東京では、大規模流行も視野に入れて、今後も新型インフルエンザ対策を進めていかなければなりません。
今のところは、早期に治療すれば命に別条はないようですが、感染が広がるにつれ、免疫力が低下している妊婦や呼吸器系の疾患、腎臓病などの持病がある人といった、新型インフルエンザに弱い人に対応していくことが必要です。また、高齢者の場合、合併症の細菌性の肺炎で重篤化(じゅうとくか)するおそれが高く、感染者が増えると医療機器が不足することも懸念されており、肺炎球菌(はいえんきゅうきん)ワクチンの接種を行うべきとの指摘もなされています。
患者数が増加する感染拡大期からまん延期には、一般医療機関においても新型インフルエンザの診療を行う必要があります。こうした医療機関では、診察室はもちろん、院内で新型インフルエンザの患者と一般患者との動線を分け感染拡大を防ぐための方策だけでなく、医師やスタッフが最低限とるべき防御措置や患者への説明方法を含めた診療マニュアルの整備、タミフルなどの医療資器材の不足、など不安材料はつきないようです。
こうした時期における新型インフルエンザの一般医療機関における医療体制整備について、都として、どのように取り組んでいくのか伺います。●1
多くの感染者が出た大阪府では、患者や濃厚接触者が活動した地域等として確認された地域に所在する短期入所サービス及び通所サービス事業所、地域密着型事業所などに対して、臨時休業要請が行われ、混乱が生じました。
高齢者や障害者の福祉サービスについても、業務継続がすなわち利用者の生活維持であり、途絶することが許されないケースも多くあります。患者発生の際に、都民生活に必要な福祉サービスの提供継続に万全を期すべきと考えますが、都の取り組みを伺います。●2
先進国でHIV(エイチアイブイ)感染者が増加を続けているのは日本だけです。また、結核に関しても我が国は依然として、中蔓延状態(ちゅうまんえんじょうたい)にあります。感染症の脅威は決して過去のものではなく、まだまだ強化が必要な分野です。とりわけ予防接種に関しては、麻(ま)しんワクチンの接種率が低く、日本人が持ち込むために我が国は、はしか輸出国といわれているほか、Hib(ヒブ)ワクチンや肺炎球菌ワクチン接種が定期化されていないなど、世界と比較して対策が大きく遅れています。感染症対策を強化するため国に対し予防接種の充実を働きかけるとともに、区市町村が行う予防接種を都としても推進すべきと考えますが、所見を伺います。●3
次に、医療と福祉について伺います。
まずは、安心して出産、子育てできる環境づくりそして救急医療の強化についてです。
民主党は、出産費用も賄えない現在の出産育児一時金を十七万円増やし、五十五万円にすることとしています。また、都独自のさらなる上乗せについても検討を進めています。
これまでにも私たちは医師への手当、医療クラークの配置、妊婦のいわゆるたらい回しをなくし搬送時間を短縮するための救急搬送先調整の司令塔機能設置などを求めてきており、多くは実現しております。
しかしこれらは、現有の医療資源を効率的に使い、少しでも現場の負担を軽減し、危機的状況を凌(しの)いでいくための対策であります。
今後は目標値を明確にしたNICU(えぬあいしーゆー)の整備計画、トリアージの実施などによる小児ERの展開、医師・看護師不足の原因といわれる過酷な勤務環境を改善し、都民に必要な医療を確保するための、診療報酬の適切な改定、高度化した現代医療の水準に合わせた医師・看護師配置基準の見直し、女性医師の継続支援など、常時受入可能な救急医療の構築と、ドクターカー配置や#(シヤープ)七一一九の活用による搬送時間の短縮など、大胆な取り組みを果敢に実行して、解決すべき課題が数多くあります。
これらを実現するには、国政において、医療・福祉・子育てを公共事業と考え、十分な予算を投下することが不可欠であり、社会保障費年間二二〇〇億円の削減は当然中止と考えております。加えて、東京都においても、医療分野、地域ごとの過不足をしっかりと検証して、どこにどのような医療機能が必要か、数値目標を示して、達成するための施策を構築しなければなりません。そのためにも、保健医療計画を抜本的に見直し、東京の医療体制を強化していく必要があると考えますが、見解を伺います。●1
続いて、必要とするすべての子どもが利用できる保育・子育て支援サービスの提供について伺います。核家族化が進み、地域社会の有り様も変化している現在、ほとんど全ての子育て家庭が何らかの保育ニーズを抱えています。
民主党は〇歳から十五歳までの間、月額二万六千円、年間三十一万二千円の子ども手当を支給することとしています。そして手当で利用できる諸サービスの提供体制構築が必要です。
東京都の待機児童は、平成二十年四月時点で約五千人、十月には九千人です。これは、保育所入所要件を満たし、申し込みしていながら入所できていない、公式な人数です。
しかし、利用をあきらめていて潜在化している待機児童は約七万人ともいわれています。
都は、平成二十二年度までに約一万五千人分の保育所整備、区市町村が行う一時預かりなどのサービス拡充を計画していますが、とても追いつく数ではありません。
しかも、認可保育所以外の保育サービスは、都と区市町村が補助する認証保育所制度ですら料金が高額です。そのため民主党は、サービス供給を促し、かつ価格格差を解消するため、認証保育所保護者負担軽減補助を提案してきました。
さらには、将来的に保育クーポンにより、必要とするすべての子どもが利用できるような制度とすることも含め、保育サービスを抜本的に拡充し、安心して子育てできる環境整備をしていくことが必要と考えますが、見解を伺います。●2
今後私たちが迎える未曾有の高齢社会における生活の安心・安定、それを支える介護サービスの拡充は緊急の課題です。高い高齢化率で推移する東京都では、高齢者人口あたりの介護保険施設は、全国最下位です。これに千葉、埼玉など首都圏が続き、最下位グループをなしています。ホームヘルパーやケアマネージャーの継続年数も他産業より短く、介護施設も不足、そこで働く人手も不足という状況に陥っています。
今回の介護報酬改定では、東京の介護に必要な大都市加算が実現していないばかりか、地域福祉に重要なグループホームは減算となりました。
都の職業訓練では介護職のコースは人気で、人手が集まりつつあるようですが、つい先日まで、人材流出の原因とされていた低報酬が改善されたわけではなく、経済状況が好転すればまた流出に悩むのは目に見えています。人が集まってきた今こそ、経験を積んだプロフェッショナルとして続けていける仕事とすることに、都としても傾注すべき好機ではないでしょうか。見解を伺います。●3
都は、これまで、特養、グループホームなどの整備に対し特別助成を行っており、厳しい財政状況の時にも必要な分野に対し投資してきたことは、評価します。しかし、都が一昨年調べた特養の状況でも、赤字の都内施設が二百三十七中七十六施設と、建設後の運営が赤字で、今回の改定でも収支改善、供給促進に結びつくような効果はありませんでした。
私は、地価などの物件費とともに、人件費も高い東京都が、全国最下位を脱するためには、イニシアルコスト補助もさることながら、建てた後の経営が立ちゆかない現状を改善して、新規参入者を増やし、既存法人も都民ニーズに応えて新たな事業を展開できるようにしなければならないと考えます。
高齢化率の上昇、高齢者数の増加に対応して、必要な介護基盤の整備促進のため、高齢者施策の抜本強化が必要と考えますが見解を伺います。●4
次に、教育について伺います。
現在、義務教育段階にある子ども達は、有名私立学校や都立中高一貫校への受験対策を熱心に行う子どももいれば、義務教育内容が定着しないままに小学校を終え、中学卒業を迎えてしまう子もおり、その背景も多種多様です。都の低所得者への塾代支援も重要な対策ですが、対象がかなり限られており、拡大が必要です。
国の学力調査における東京都の児童・生徒の状況は、学校以外で学習をまったくしない子どもの正答率は中学校の数学(がく)では五〇%を切っています。つまづきを防止するきめ細かな指導、遅れてしまった子どもへのキャッチアップ指導など、基礎的学力をしっかりつけて義務教育を修了できる体制整備が必要です。
民主党は、少子化による児童生徒の減少を上回る教員定数の削減を中止し、教員ひとりあたり生徒数を、現在の十九人からOECD諸国並みの十六人とする教員配置を実現し、少人数学級や複数教員による指導、少人数指導、教科担任制などさまざまな方法できめ細かな教育を行えるような制度づくりに取り組んでいます。
学級編成基準は都道府県が決めることとなっていますが、そもそも上限を定める考え方自体におのずと限界があります。むしろ一クラスあたりの人数は、子どもの状況や教員の力量、学年の人数などに応じて、柔軟に学級を編成できるようにし、少人数学級や少人数指導、複数教員による指導などができるようにしていく必要があると考えますが、見解を伺います。●1
活気と活力ある学校に必要なのは、多様な取り組みによる学校づくりです。民主党は、民間人校長、社会人経験を持つ教員採用の拡大、コミュニティスクールや学校支援地域本部事業の推進など、さまざまな取り組みを求めてきました。
中でも、多様な人材活用のために行った民間人校長はまだ四人など、制度として導入はしましたが、都内の教育を活性化させるほどの実績、広がりには至っていません。今後も民間人校長や社会人経験者採用などの取り組みを一層強力に推進すべきと考えますが、見解を伺います。●2
民主党は、高校の実質無償化、すなわち国庫から公立高校十二万円、私立高校二十四万円の保護者負担軽減を行うことを目指しています。しかし、都内私立高校の平均授業料は約四十一万円となっていることから、さらに都独自の保護者負担軽減が必要と考えています。東京都においては、こうした私立高校の保護者負担軽減についてどのように考えるのか伺います。●3
次に、交通政策について伺います。
自動車交通は、東京の経済を支え、都民生活を豊かにしてきた一方で、その過度の集中により交通渋滞が慢性化し、経済効率は大きく損なわれ、環境や都民の健康にも影響を与えています。
このような状況を改善するためには、車の利用者が利用頻度を減らし、公共交通や自転車を利用することに尽きると言えます。このことにより、道路混雑や環境問題などが緩和されるだけでなく、公共交通事業の運営状況も改善し、そのサービス水準が向上するなど、社会的利益が大幅に増加することが期待されます。
しかしそのためには、個々人が利己的な利得を追求するときに協力的行動が得られないという社会的ジレンマを払拭する必要があります。社会的ジレンマとは、例えば、本当は都心部においては車の利用を避けた方が良いにもかかわらず、自分はそうしたくないと誰もが考えるために、結果として誰もが車を利用し続け、混雑は解消せず、そして誰もが低い効用に甘んじることとなるといったような、社会心理学的問題です。
この社会的ジレンマは、交通需要マネジメント、いわゆるTDM(ティーディーエム)の手法によるロードプライシングなどの経済的な価格政策や、規制の導入によって解消することが、理論的には可能であり、都も平成十二年二月に策定した「TDM東京行動プラン」で総合的施策を示しています。しかし、これら施策の導入にあたっては、二次的な社会的ジレンマが形成されることなどから、いまだに個別施策の社会実験レベルにとどまっており、結果として総合的な施策として十分な効果を上げられていないのが現状ではないでしょうか。
都心部における公共交通利用、自転車利用への転換を図り、車への依存を最小化するためには、そのための都市・東京の将来像を改めて示し、都民の合意形成を図っていくことも重要と考えます。
脱・自動車依存社会の構築に向けた都の基本認識について、所見を伺います。●1(環境局)
次に、防災対策について伺います。
都内における木造住宅密集地域は、二十三区と多摩地域の七市にかけての約二万三千ヘクタールですが、都の「防災都市づくり推進計画」では、この三割弱にあたる6千5百ヘクタールを震災時の甚大な被害が想定される「整備地域」として指定しています。
この選定基準は、地域危険度のうち、建物倒壊危険度が五、及び、火災危険度が五に相当し、老朽木造建(たて)物(もの)棟(とう)数(すう)が一ヘクタールあたり三〇棟以上の町(ちよう)丁(ちよう)目(もく)を含み、平均不燃領域率が六〇%未満である区域とその連担する区域となっています。
地域危険度は、平成十四年に公表された第五回の「地震に関する地域危険度測定調査報告書」のデータが採用されています。
このデータを見ますと、建物倒壊危険度五に該当する地域は、八十三地域ありますが、このうち整備地域に含まれているのは五十一地域と六割にとどまっています。
さらに、建物倒壊度が五で、火災危険度も五となっている地域は二十四地域で、この四分の一にあたる六地域が整備地域に含まれていません。
都は、整備地域内における木造住宅の耐震化に対して助成を行っていますが、私たちは、これまで都内全域で制度を適用するよう、範囲の拡大を求めてきました。例えば、木造住宅密集地域はあるものの、整備地域の指定のない三鷹市や狛江市などからは、耐震化促進制度創設の要望があります。
現段階で耐震化促進制度の都内全域での適用が困難であるならば、まずは第一歩として、建物倒壊危険度五の地域はすべて、あるいは建物倒壊危険度と火災危険度がともに五であるような地域も制度の適用対象地域として取り扱うよう、対象地域を拡大すべきではないかと考えます。
このような木造住宅の耐震診断・耐震改修助成制度の対象地域の拡大について、所見を伺います。●1(都市整備局)
今年四月、国は室戸台風級の超大型台風が東京湾を直撃した場合の浸水被害想定を公表しました。それによれば、地球温暖化で海面上昇が進んだ最悪のケースでは、都内で海抜ゼロメートル地帯が広がる江東区から大田区にかけて約五千五百ヘクタールが浸水し、深さも最大五メートルに達すると予想されています。
また、東京湾沿岸には、堤防の高さが不十分である地域のあることや、堤防の耐震性の向上が必要な地域のあることが指摘されています。
都として東京港の高潮対策を改めて見直すべきと考えますが、所見を伺います。●2(港湾局)
以上で、都議会民主党を代表しての質問を終えますが、答弁によっては再質問を留保させていただきます。ご静聴ありがとうございました。