平成19年9月26日
代 表 質 問
土屋たかゆき(板橋区)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。
私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
はじめに、新潟県中越沖地震について申し上げます。
3月の能登半島地震に続き、7月には同じ震度6強を記録する新潟県中越沖地震が発生しました。ここに被災された方々に心からお見舞いを申し上げると共に、一日も早い復興を祈念するものです。
まず、今後の都政運営について伺います。
国政の現状について伺います。
「代表質問に答えられない」、これは安倍前総理の辞意報道の際に報じられた発言です。この7月の参議院選挙で敗北を喫したにもかかわらず続投を宣言し、内閣改造を行い、ブッシュ米大統領に給油活動継続を約し、国会における所信表明を行ったその二日後に辞任表明を行うという前代未聞、異例の事態が生じました。
そして、昨日の両院協議会を経て、福田康夫元官房長官が新総理に選出されました。
現在の衆議院与党体制は、小泉元総理の下で行われた総選挙の結果生まれた体制であり、その後総理となった安倍晋三氏、そして福田新総理と、総選挙での信任を経ない二人目の総理が誕生することになりました。
如何に議院内閣制とはいえ、民意の信任を得ることなくして新総理の正統性は担保されません。早い段階で衆議院の解散・総選挙を行い、民意を問うべきと考えますが、知事の見解を伺います。●1(知事本局)
福田新総理も安倍前総理と同じ自民党の総裁とはいいながらも、内政、外交に臨む姿勢は安倍前総理とは明らかに違っていると言えるのではないでしょうか。一見「古き良き」自民党に戻ったとも見えますが、政権公約の基本理念には「自立と共生」を掲げ、我が党と基本理念を共有されてもいます。
福田新総理のこうしたスタンスについて、知事はどのように受け止めておられのか、また、今後の都政への影響についてどのようにお考えか、見解を伺います。●2(知事本局)
こうした国政の変化にもかかわらず、東京都には自治体としての主体的なあり方が常に問われています。
知事は、弁慶橋風致地区における参議院議員宿舎建設について、「時代の変化や国民意識の変化を踏まえ再度議論すべきことを指摘し、再考を求め」られました。先の所信表明においても、「国に唯々諾々と従うのではなく、主張すべきを主張し、分権の時代にふさわしい地方の姿を示し」たとされました。
平成12年の地方分権一括法によって機関委任事務が廃止され、国と自治体が対等平等な関係と位置づけられたにも関わらず、国の過剰な関与が続き、自治体の側にも対等平等を主張しきれない関係が続いています。
改めて、国と自治体との役割分担明確化の観点から国の過剰な関与を改めさせ、役割分担に基づいた地方税財政制度の再構築を働きかけていく必要があると考えますが、見解を伺います。●3(知事本局)
さて、さる7日、石原知事は、知事選直前に発表した都民税所得割の軽減措置を撤回しました。そもそもこの措置は、低所得者の自立支援や所得向上策と結びつく一貫した政策体系に基づくものではなく、単に税体系の一部に軽減措置を行うだけの理念なき公約であり、撤回は当然の判断と考えます。
石原知事は、今回の撤回を「公約の進化」だと述べておられますが、この政策を打ち出すに至った経過や今回の撤回に至るまでの過程について明らかにし、素直に公約の撤回を認めるべきであります。同時に、知事が時として批判を受けるトップダウンの弊害やそれに目を閉ざしてきた都庁の体制を検証し、正してこそ、真の意味での「進化」がはじまると考えます。知事の見解を伺います。●4(知事本局)
私たちは、これまでにも職業訓練等をはじめとした低所得者の所得向上策を求めるとともに、今年の予算議会では、若年者・年長フリーター対策として、奨学金制度や教育訓練給付金制度の創設、あるいは、非正規労働者の待遇改善に取り組む企業へのインセンティブの充実などを提案してきました。また、先の定例会においては、生活保護受給者に就労や保障・医療面での自立促進を行う自立支援プログラムを積極的に推進するよう求めてきました。
石原知事には、私たちのこれまでの提案を踏まえて、格差是正策を早急に具体化するよう求めるものですが、見解を伺います。●5(知事本局・産業労働局・福祉保健局)
次に、築地市場の移転問題について伺います。
東京都が設置した「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議」について、「まず移転ありきの議論だ」とか「調査内容が不十分だ」といった疑問や不満の声が少なくないことは、石原知事もご存じのことだと思います。
また、国においては、土壌汚染対策法の見直しに向けた取り組みがはじまっており、今後、汚染土壌に対する調査・対策については、より厳しい対応を求められることが予想されます。
さらに、昨今では中国の輸入食品問題など、食の安心・安全に対する都民・国民の関心は極めて高くなっており、世界の食糧事情を勘案すれば、この傾向は、今後ますます強くなるものと思われます。
首都圏の食を支える東京の中央卸売市場が、一度、豊洲に移ってしまえば、50年後、100年後、あるいはもっと先の時代まで、豊洲にあり続けることになるのです。
私は、最低限、今の法律レベルでの調査を実施した上で、汚染土壌の全面的な除去や地下水の管理徹底など、誰がみても納得のできる対策を講じていくことが必要であると考えます。また、このまま汚染土壌の残る土地へ市場を移転すれば、将来に著しい禍根を残すことになりなねないかと懸念するものですが、石原知事の見解を伺います。●1
私たちは、東京都が、全面的な汚染土壌の調査を実施しないのであれば、法的な対応を講じるべきだと考え、8月7日、民主党本部に対して、土壌汚染法の改正に関する申し入れを行いました。これは、法施行前の適用除外を規定している附則3条を見直し、現行法レベルの調査の実施を法的に担保しようというものです。
もちろん、このような法改正によらずとも、東京都が自らが率先して、土壌汚染対策法のレベルに基づく調査、すなわち、敷地全域にわたる10メートルメッシュの測定点を設けるとともに、液状化現象を考慮して深さ20メートル以上のボーリング調査を実施することが最も好ましいことは当然のことです。
8月27日には、東京都が実施しているボーリング調査や水質調査の現状を視察したことで、その思いをますます強くしてきました。
私は、あらためて、今の土壌汚染対策法のレベルに基づく、全面的な調査を求めるものですが、知事の見解を伺います。●2
専門家会議について、私たちは、そもそも専門委員の数が4人では少ないのではないかなどと指摘してきました。私たちの質問に、東京都は「密度の濃い実質的な議論が行われるよう、各分野から1名ずつの構成とした」と答弁していましたが、逆に、各分野の専門家が1人ずつしかいないため、その人の意見に、専門的な立場で異議を唱えたり、同調したりする人もいないというような結果となり、会議の議論は、極めて低調だと言われています。
また、専門家会議では、ようやく傍聴者からの質問を受け付けるようになりましたが、質問回数が一人1回に制限されていることなどから、不満の声も聞かれます。
このようなことからも、私は、少なくとも専門家会議において公聴会を開催するなど、東京都として責任をもって委員以外の専門家や都民の意見を聴き、これらの意見に懇切丁寧に答えていくべきと考えますが、見解を伺います。●3
次に、中小企業対策について伺います。
東京都は、今年3月に取りまとめた「産業振興基本戦略」を基に、今年度中にも、今後3年間で展開すべき施策を盛り込んだ「産業振興指針」を発表する予定です。
「基本戦略」の戦略の第一は、重点産業を育成し、東京の産業を牽引することとなっていますが、この9月に私たちが行った関係団体からのヒアリングでは、むしろ、商取引や人材確保の面などにおいて、大企業と公正な条件のもとで、競わせてほしいという要望が強く寄せられました。
例えば、この間の原材料価格の上昇分を販売価格に転嫁できなかった中小企業は約6割に達するという調査もあるなど、経済のグローバル化や原材料価格の高騰等を背景とした、取引上の優越的地位の乱用などが指摘されています。
また、人材確保の面では、学生の就職先として、中小企業より大企業を希望する風潮がある上、この間、大企業を中心とする若年層の採用が活発化するなかで、中小企業の人材確保がますます困難になっていると言われています。
私は、中小企業の振興を図っていくためには、東京の産業を牽引するような優れた中小企業に着目するだけでなく、多くの中小企業が、大企業と公正・公平な立場で、競争できる条件を整備することにも、力を注いでいくべきと考えますが、石原知事の基本姿勢について、伺います。●1
次に、ものづくり産業の中核をなす工場の集積・再生について伺います。
すでに大阪府などいくつかの府県では、工場の集積に向けて、不動産取得税の税率を軽減したり、設備整備に助成金を出したりするなど、税財政の面からの支援策を講じています。また一方で、都内自治体に目を転じてみれば、府中市や三鷹市のように、特別用途地区の指定など、都市計画的な手法を用いて工場の建設を緩和したり、住宅の建設を抑制するなどして産業集積を図ろうとしている自治体もあります。
東京都としても、工場の建て替えや拡張に向けて、区市町村への情報提供などを通じて特別用途地区の指定などを促していくとともに、広域的な視点から、空き工場の情報提供をはじめ、税財政的な支援策を講じて工場の集積・再生に積極的に取り組んでいくべきだと考えます。
東京都の工場の集積・再生に向けた取り組みについて、見解を伺います。●2
次に、中小企業における人材確保について伺います。
ニートやフリーターなど、若年者の就業対策が求められている一方で、中小企業では、人材確保に苦慮しています。
現在、東京都では、インターンシップや職場体験の受入れなどを実施する若者ジョブサポーター企業の組織化などに取り組んでいますが、現在までの登録数は303社にとどまっています。
また、若者ジョブサポーター企業に対しては、産業力強化融資などを通じて支援しているところですが、都内自治体には、インターンシップの受け入れそのものに補助金を出している自治体もあり、東京都としても助成制度の創設など、支援の充実を図っていくべきと考えます。
中小企業の人材確保に向けた若者ジョブサポーター企業への支援について、東京都の見解を伺います。●3
次に、新銀行東京について伺います。
新体制での運営がはじまった新銀行東京は、7月31日、店舗外に設置しているATM=全126台の稼働停止を発表しました。今では地下鉄各駅で、シャッターが降りたままのATMを多く見かけます。
また、8月10日には、店舗統合を発表し、既に八王子出張所を廃止した他、今定例会中には、蒲田出張所と錦糸町出張所も、それぞれ統合される予定です。
ATMの問題は、これまで都議会民主党が取り上げてきましたし、また、店舗については、一昨年の予算議会で、自民党議員が早期開設を求めていたものを統合するわけです。
石原知事は、これまでの新銀行東京に対しては、全くと言っていいほど情報が入ってこなかったと不満をぶつけていましたが、新体制になったことでコミュニケーションは取れるようになったのでしょうか、また、この間のATM撤去や店舗の統合などに知事の意向は反映されているのでしょうか、見解を伺います。●4
次に、新銀行東京の経営情報の公開についてですが、前回の私たちの代表質問に対して、東京都は「企業運営上秘密としているものを除いて、積極的かつわかりやすい情報開示を行っていくよう、働きかけていく」と答弁していました。
しかしながら、未だに4半期情報さえ公開されていません。
4半期情報は、各事業年度および中間期の決算発表とは別に公開されているもので、7月31日前後には、多くの銀行で公開されています。また、新銀行東京は、昨年8月4日に一度だけ、第一4半期の決算状況を公開したことがあり、これを拒む企業運営上の秘密はないはずです。
それ以降、4半期情報が公開されないことも不可解ですが、少なくとも、「進むも地獄、引くも地獄」と言われている新銀行東京の経営状況を適切に管理していくことは、株主としても当然の責務ではないでしょうか。
前回の答弁を踏まえるのであれば、最低限、4半期情報などは公開していくべきと考えますが、新銀行東京の情報公開について、改めて、見解を伺います。●5
次に、医療行政について伺います。
まず、リタリンなど薬物乱用の問題について伺います。
わが会派は昨年の第4回定例会で、リタリン乱用の実態や、十分な診察なしに安易に処方する「リタリン販売所」と呼ばれるクリニックについて問題を指摘し、早急な対応を求めていました。
今月18日に、都と新宿区が合同で、新宿区歌舞伎町の診療所、東京クリニックに対して、立ち入り調査を行い、多くのマスコミに報道されました。
これらの動きを受けて、製造元は、急遽リタリンの適応症からうつ病を外す方針を示しました。安易にうつ病と診断し、処方するケースが後を絶たなかった訳ですから、うつの適応症を外すのは画期的な前進と評価しております。
しかしながら、覚醒剤と同じ効果を持つ薬剤は、リタリンに限りません。リタリンの安易な処方に歯止めがかかっても、類似薬剤が安易に処方され続ければ、薬物乱用の問題は根絶できません。
都として、薬剤の不適切な処方を行う医療機関に対しては、厳しく指導を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。●1
次に、産科医療確保について伺います。
先日、奈良県において、搬送先の病院がみつからず、死産する痛ましい事件が起きました。
産科医不足が叫ばれる中、千葉県でも、妊婦受け入れ拒否が104件あったという報道もなされています。たらい回しへの懸念が高まる一方で、現場の医師からは、手一杯で新たに診られる状態にない病院が、「他を探してください」というのがたらい回しかといえるのか、との指摘もあります。
確かに、産科医が不足しており、断らざるを得ない状況になっているというのが現実ではないでしょうか。一般的に医師は、外来診療・入院病棟・救急への対応を行っていますが、一人しかいない産科医が、病棟の急変者や、他の救急患者の処置中であれば、救急搬送の打診をされても無責任に受け入れることはできません。
産科医療の現状について、どのように認識しているのか、見解を伺います。●2(福祉保健局)
また、平成19年4月1日から8月31日までに限った数字ですが、東京消防庁によれば、周産期救急搬送事案における、現場到着から病院への出発までは平均約16.3分、病院到着までは平均約40.6分であり、搬送先が決まるまで6カ所以上の病院に連絡した事案は約3%とのことです。
医師が一人前になるには10年15年かかると言われ、医師不足の根本解決には長い時間がかかります。都においては、2次救急における病床の確保、多くを占める正常分娩を担う診療所・病院、さらに高度な医療を担う各医療機関の役割分担医にもとづくネットワーク化など、今ある資源をどのように有効活用するのかという視点が重要であると考えますが、都はお産の安全・安心を確保するためにどのように取り組むのか、見解を伺います。●3(福祉保健局)
都立病院でも、医師の確保困難から、豊島は産科が新規取り扱い休止中、墨東は外来診療を縮小しています。多摩地域でも医師不足は深刻で、産科医は、人口10万人当たりの病院数が4.0と、23区より2以上も少ないのが現状です。私たちが把握している範囲でも、産科の取り扱いを止めた病院、高齢の医師ひとりががんばっている病院があります。5年後10年後を考えると、東京でお産できなくなってしまうのではないかという危機感を持たざるを得ません。
その一方で、東京では新たに産科医院・病院を開業することが非常に難しい環境となっています。その大きな原因は、国の病床規制です。東京には全国から患者の集まる高度医療施設が集積していること、実体的には稼働していない病床までカウントされていることなどから、地域によりますが、ほぼ限度に近い病床を持っています。国は総病床数で人口あたりの基準病床数を定めており、現に足りない産科や小児科を開設しようとしても、それを超えては開設できないという理不尽な状態なのです。
これに追い打ちをかけたのが、新たに20床以下の診療所も、この基準病床にカウントするという基準変更です。医師不足の最中、多くを占める正常分娩を担うべき地域の診療所の役割が高まる中での、この変更は、不足する診療科への新規参入が必要な状況に対し、逆効果をもたらすものです。
しかし、医療法には特例規定があり、医療計画に明記すれば、産科・小児科など不足している科目については、診療所を開設させることができます。この規定を活用し、必要な地域医療確保の一助とすべきです。
また、病院の開設にかかる都の手続きも問題があります。病院開設の手続きには、短くても6ヶ月以上かかりますが、この間予定地を押さえておく必要があり、相当な資金がなければ開設が不可能な仕組みであることがまずひとつの問題です。
そして、肝心の許可は、国の規制の範囲内で、空きが出た分だけですが、いつ、どこで出たのかは、オープンにされていません。これがふたつめの問題です。
こうした事務手続きの面でも、住民ニーズに応える医療を提供しようという意欲のある医師を歓迎する環境整備をすべきです。
こうしたことを含め、都は産科医療の確保のため、細かな点も全て総点検し、できることは何でもやるべきだと考えますが、所見を伺います。●4