
平成21年第1回定例会
予算特別委員会
平成21(2009)年3月12日
山下太郎(清瀬市・東久留米市)
*質問は予定稿ですので、実際の質問とは表現が異なります。正確には議事録をご参照ください。
都立墨東病院の事案で命を落とされた方のご主人は、事案後、「私が願うのは、もう二度と同じようなことが原因で命を落とす人がでないこと。だから、私はだれも責めない。ただ、医療の質を上げてもらいたい。」という趣旨の発言をされています。
私も、2歳になる子供がいる1人の父親として、わが子を見ることなくこの世を去らなければならなかった、お母さんの気持ち、そして、その後1人残され、生まれたての赤ちゃんと一緒に必死に生きていこうとしている、父親の気持ちを想像し、自分に置き換えた時、果たして、本当に自分もそのご主人と同じように、誰の責任も問わず、ただもくもくと自分の人生を歩めるのか?と考えると、胸が張り裂けそうな気持ちになります。
そのご主人の気持ちに立って考えてみたとき、今、東京都が進めている、多摩の都立病院の統廃合計画が、果たして本当に多摩で医療の質を高めていくことになるのかどうか?改めて、質問していきたいと思います。
まず、はじめに多摩の小児医療の現状認識について伺っていきます。
Q1 小児医療単体での不採算性が高く、小児科の患者は容態急変のリスクも高いため、民間の病院が小児科から撤退しているといわれています。この多摩地域において医療施設が減少していることについてどのような現状認識をおもちになっていらっしゃるか?御所見を伺います。
Q2 この10年強の間に、多摩では、小児科を標榜する病院が23も減少し、診療所にいたっては、100施設も減っている。それだけ、小児医療がすごいスピードで減少しているということです。
この様に、多摩地域で民間医療機関が、小児医療から手を引いているとすれば、東京都の役割は、不足している小児医療を補っていくことだと考えますが、御所見を伺います。
Q3 都は、地域医療と連携するとしているが、受け皿となる、多摩の医療現場はどうなっているのでしょうか?
年少人口は多摩531,477人(平成20年データー)に対し、区部936,737人と約2倍であるのにも関わらず、病院数は区部149・多摩57と約3倍。1つの病院が見る年少人口も区部は6,287人ですむが、多摩では9,324人で3,000人以上も多く担当しなければならない。小児科医師1人あたりでみても、区部329人・多摩555人と1人の医師が区部に比べ、226人も多く見なければならない。また、かかりつけ医として期待される診療所においても、区部399人・多摩684人と285人も多く抱えている状態であります。
つまり、現状においても、区部に比べ圧倒的に不足し、疲弊している多摩の小児医療現場に、今回の計画は更なる負荷をかけることになると考えますが、御所見を伺います。
Q4 清瀬・八王子両小児病院が機能している現状においても、過酷な状態であるにも関わらず、更なる負担を強いるのは、非常に無理があると思います。
それでは、さらに格差が歴然としている、産科や周産期医療に目を向けてみたいと思います。このパネルをごらん頂きたいと思います。このパネルは、東京都の地域別産婦人科医師数を表したものであります。この図が一番多摩の医療資源の少なさをわかりやすく説明できるものなので、あえてこのように掲げさせていただきました。
ご覧頂くとおわかりの通り、6つの区で医師が50人以上おり、さらに4つの区で40人以上おり、かなり都心部に集中しています。一方多摩においては、国分寺をはじめ6市町村において、医師が全くいない状態です。さらに、多摩の産婦人科医師の高齢化が著しく、5-10年後の医師数は、さらに減少するとみられています。
また、都全体で総合周産期母子医療センターは9箇所。うち区部に8ヶ所あり、多摩は府中にたった1ヶ所しかなく、NICUは都内195床のうち、区部は159床で81.5%をしめ、多摩地域には36床18.5%しかありません。
多摩地域の出生数33,724人が、区部67,732人のほぼ50%であることを考えると、少なくとも多摩地域には80床のNICUが必要ということになります。
府中に新しい病院をつくっても、45床にしかなりません。ベット数の増床の必要性は、移転推進派医療関係者でも認めているし、我々民主党もNICUは重度の疾患をもつ子供が以前に比べ1.5倍になっていることから、少なくとも300床は必要としていると考えています。
都は、いったいどのようにしてこの格差を解消していくつもりですか?
Q5 多摩に住み、子育てをしている一員としても、ぜひ格差解消にご努力頂きたいと思います。
ここまで、明らかになったことは、小児医療に関していえば、多摩地域の医療現場の皆さんは、区部に比べて2倍に近い子供たちを担当しなければならないこと。そして、総合周産期母子医療センター数では8倍の格差と、本来必要とされているNICUベット数の半分しか多摩地域は持ち合わせていない、危機的な状態であるということです。
そのうえで、北多摩北部医療圏について、伺っていきます。
都は、北多摩北部医療圏で小児医療機関は減少傾向にあり、年少人口1千人に対する小児科医師数は都内・区部平均を下回っているとしながらも、清瀬小児病院が、移転しても、現状の常勤医師2名と本年4月から採用予定の常勤医師3名、及び、チーム医師派遣などで医師体制を確保する多摩北部医療センターで地域の2次医療に対応可能としていますが、清瀬小児病院と多摩北部医療センターで、どれだけの患者を診てきたのか、確認の意味で伺います。
Q6 清瀬小児病院は内科系10科、外科系5科、その他、診療放射線科、検査科、看護・医療・心理相談等あり、常勤医師45名・その他数十の非常勤医師たちが、支えている病院であります。
平成18年の患者数実績を見ても、入院患者数68,509人・外来患者数84,157人・救急患者数15,530人と長年に渡り多摩地域の小児医療の中核として期待に答えてきました。
一方、都は、北部医療センターにおいて、常勤医師と派遣医師を、現時点で確保できる見込みになり、地域に対して移転しても、安心だと説明しています。
しかし、診療科目も15あり、検査体制もしっかり整い、スペシャリストの常勤医師が、45人もいる清瀬小児病院が与えていた安心に比べ、常勤医師5名しかおらず、専門外来も少なく、また、医師のうち、誰か一人でもかければ、先ほどお答え頂いた、都が、地域で担当するとしている患者さん達もみることが困難になり、ましてや、公社化された病院に対しどれ程、都として責任をもつのか?と、様々な不安な声も上がっている北部医療センターとでは、地域住民に、与えている安心感がまったく違って当然だと思います。
私は、今都が示している、北多摩北部医療圏に対するケアーは、都が主張している、地域で担当すべき患者さんすら、診れるかどうか、ギリギリの状態だと考えていますが、都は、今後、何かあったとき、本当にしっかりと、責任を持って地域医療の人的確保含めた医療資源を確保していけるのか?伺います。
Q7 北部医療センターが、昨年まで、常勤医師がたった一人だったことを考えると、しっかり監視していかなければなりません。
しかし、いくら、北部医療センターに責任をもつといっても、1次医療を担うとされている、地域の診療所医師の声を聞くと、「これまで、清瀬小児があるからやってこられた。最後のとりでとして、過去に受け入れを断られたことがない。自身の高齢化もあり、無くなれば、診療所はたたまざるを得ない」という声もあります。
これでは、ただでさえ、多摩の医療資源が減少し続けているにも関わらず、さらなる減少を都の計画によって招きかねません。御所見を伺います。
Q8 確かに、都がつくろうとしている病院が、すばらしく高度医療を提供しようとしているのはわかりました。しかし、その下支えとなる、地域医療資源がこの計画によって、これまで、減少し続けているのに、さらに減少したらどうするのか?と伺っているのです。
都は、高度医療を担当し、1次・2次は財政支援をしながら、地域でというが、多摩の医療資源の格差がある中で、その地域医療をどう守っていくかも、大変重要な東京都の役割だと考えます。
では、都しては、この計画によって地域医療資源は減少しないと考えているのですね?
Q9 私は、そういった医療資源の減少する可能性についてもっと真剣にとらえていくべきだと思います。
さて、最後にもう一度、このパネルを見て頂きながら、伺って生きたいと思います。もしこのまま移転統合された場合、多摩地域の二次保健医療圏では5区分のうち4区分、面積でいうと93.8%の地域、人口換算にすると76.2%の人々が、NICUがまったくない状況にさらされることになります。また、重篤な小児患者さんをみれる施設が、府中と三鷹にしかなくなってしまいます。
例えば青梅から府中までの移動距離と現場到着から病院到着までにかかる時間を見てみると、距離にして27.7km、時間にするとなんと、1時間16分強もかかることになります。多摩地区平均が19.2分ですから、平均の4倍も時間がかかるということです。産婦人科医師が一人もいない奥多摩・桧原からだと、1時間20分以上かかることになります。また、これまで都立病院があった清瀬・八王子からでも搬送に50分以上かかることになります。
つまり、都が計画している小児病院統廃合がもたらす現実は、この広い多摩地域において府中から離れた場所に住めば住むほど、本来救えるかも知れない命を危うくする可能性があると考えます。
それでも本当に現計画が多摩の医療の質をあげることにつながるのか、御所見を伺います。
ドクターカーでカバーするといっても今あるのは、八王子にあるたったの1台じゃないですか。さらにいえば、救急車に医師が乗っていれば、命を救えるのですか?結局は設備が整っている病院に早く搬送しなければならないのです。つまり、ドクターカーは、搬送までにまでに時間がかかるという問題を根本的に解決するものではないのです。
清瀬・八王子小児病院の多摩地域で担ってきた役割を考えれば、このまま安易に府中にだけ都立でNICUを含めた高度医療を集約するという現行計画には、墨東病院での出来事を思い返してみたとき、大いに危惧を感じます。
都は、都立病院をどうするかという極めて内向きな議論だけでなく、今日のご答弁でも、何回も地域医療と連携するとしていますが、もっと多摩地域の医療不足をどうするか?という面で見た発想に思いをはせてほしいと思います。私は、少なくとも、命に関わる大切な行政サービスにおいて、同じ東京都の中で、格差があってはならないと、考えます。多摩の医療資源の充実をまず図るべきと申し上げて、次の質問に入ります。
東京都と監理団体における個人情報に関する事故の件数は、平成17年度8件・18年度10件・19年度33件・20年度19件でトータル69件にもおよび、事の重大性すら感じず、個人情報の流出・紛失を繰り返す、その緊張感・危機意識の重大な欠如に、私は、疑問を通り越し、怒りすら覚えています。
そんな中、平成19年第4回定例会において、私は、その年度が始まってから、たった半年間で、都と監理団体において、医師が、約170人分の氏名・生年月日・診察日時・病名・病状など含む、個人情報を紛失した事故をはじめ、計14件もの個人情報を紛失する事故がおきていたことについて触れ、病院経営本部に対して、組織としての責任のとり方と再発防止策について見解を伺いました。
Q1 そこで、伺います。私が、以前、質問した時の病院経営本部の答弁は、いくつかの方法論をあげ、職員一人ひとりの意識改革を行い、再発防止に努めるといったものでした。今日まで、少なくとも病院経営本部と監理団体は、再発防止・意識改革に成功していますか?
私の指摘後に都立病院・公社病院において、3件も個人情報事故が発生しています。さらに、前回指摘した多摩北部医療センターでのケースでは紛失事故だったものが、今回は都立病院において、患者氏名・職員氏名・年齢・病名などの個人情報がインターネット上で流出してしまったという、最悪の事態を招いてしまったことになります。
今回は、どのように問題を認識し、再発防止に取り組まれるおつもりですか?
Q2 大変残念なことに、私が、前回この質問をしたわずか2日後には、もう同様の紛失事故がおき、そこから今日まで、計29件の個人情報の流出・紛失事故が発生しています。
以前も、申し上げましたが、民間企業では、ジャパネットたかたで同様の事件が発覚した際には、約二カ月間の広告活動や商品の販売を自粛し、およそ百五十億円の減収に耐えながら、発覚当日から事業再開まで毎週謝罪と報告を繰り返しました。このとき社長は会社を清算することも考えていたといいます。
また、ソフトバンクでの情報漏えい時にも、全会員に五百円相当の金券を送るほか、通常有料のサービスを三カ月間無料にし、経営陣も、孫正義氏を減給五〇%六カ月、副社長、取締役を減俸三〇%三カ月という社内処分を下しました。
このように、民間企業では大変厳しいペナルティーを払って再発防止と信頼回復に努めているにもかかわらず、それを監督指導する立場の行政が、組織として何の責任もとらず、事故が起きるたびに、ただ、今後このようなことがないようにいたしますと繰り返すだけでは、到底都民の理解が得られるはずがありません。
最近の例でいえば、愛知県の市民病院において、ある女性の個人情報が漏洩し、その情報を元に、実際にその女性がストーカー被害にあってしまったという事例もあります。個人情報の漏洩は、ただでさえ、許されることではありませんが、間違っても行政が扱う個人情報が漏洩していいはずありません。
最後に、情報化社会がますます進む中、こういうときにこそ知事の強いリーダーシップで、情報管理について職員の意識レベルの向上を徹底していただきたいと考えますが御所見を伺います。