
平成21(2009)年2月26日
大西さとる(足立区)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。
まず、交通政策についてお伺いいたします。
渋滞が頻発する首都高速。その原因の主な理由の一つが道路設計そのものにあるように思います。実際に首都高を走ってみますと、2車線の道路と2車線の道路の合流部分が2車線や、3車線になっている箇所がいたるところに存在いたします。
いまさらのことではありますが、首都高の合流部分をこのように設計した人の先見性のなさの罪をここで責めたい気持ちで一杯であります。
私の地元足立区では、常磐道から来る三郷線と東北道から来る川口線が、小菅で合流いたします。双方とも2車線であり、合流地点では4車線となっていますが、クロス状に合流するため、平日は大変な渋滞となり、小菅から三郷まで延々と渋滞が続いています。反対側の北行きは、2車線の6号線と2車線の中央環状線が合流する堀切は、3車線となっており、やはり渋滞の発生元となっています。ドライバーの苦痛もさることながら、一番たまらないのは排ガスの影響を受ける周辺住民であります。
今、小菅の例をあげさせて頂きましたが、一番大きな問題点は、同じ失敗が繰り返されていることであります。一昨年12月に開通いたしました中央環状新宿線が合流する板橋、熊野町ジャンクション付近です。ここも双方2車線にもかかわらず、合流地点は3車線となっており、新たな渋滞を作っています。
そこでまず、これら堀切・小菅ジャンクション付近、及び板橋・熊野町ジャンクション付近の渋滞対策について都の取り組みを伺います。●1
では、何故、このような同じ失敗が繰り返されるのか。その一つに交通政策を総合的に企画し、その結果を検証する責任部署が東京都に存在しないからです。現在、都では交通政策の大部分を都市整備局が所管していますが、事項によっては交通局や建設局、港湾局などに分かれております。東京の将来像を見据えた交通政策に責任を持って総合的・一元的に取り扱う部署の設置が必要と考えますが、所見を伺います。●2
交通インフラ整備は、ほとんどが国、具体例では空港、鉄道整備は旧運輸省が、高速道路を含む道路整備は旧建設省の主導で計画されてきました。
本来ならこうした交通施設の整備計画は、国はあくまで調整役に徹し、首都圏の自治体が連携し、主導権を持って行われるべきであるし、それにより初めて有機的でかつ地域の特性を生かした交通網の整備が可能となるのではないかと考えます。
現在の東京の交通網がタテ割り行政の弊害を受けているのは、都の内部組織の問題もさることながら、国と地方の役割分担という観点からみて、問題の多い決定方式が採られてきたのが一因であるように思われます。交通施設整備の計画に関する役割分担が今後どうあるべきか、都の見解を伺います。●3
これからの東京の交通政策を考えるため、海外の事例を検証してみます。モータリゼーションの進展による慢性的な交通渋滞、排気ガス、騒音、交通事故といった諸問題を、大胆な施策で解決した事例を数例紹介いたします。
まず、ブラジルのクリチバ市。地下鉄を整備するのが最善策と考えられていたようですが、建設にかかる費用、技術などの問題で諦めざるを得なかったとのこと。そこで考えたのがバス・システムの大整備。当時唯一の公共交通手段であったバスは、いつ来るかわからないために非常に評判が悪く敬遠されていたとのこと。そこで、定時性を守るために、徹底的にバス路線を造ることを考えました。
まず、6車線の大通りと4車線道路は、中央2車線を上下のバス専用道路とし、残り車線を上下の一般車用としました。さらに、2車線の道路においても、その1車線を一方通行のバス専用道路とし、残りの1車線をバスと同じ方向への一方通行の一般車用としております。要するに、バスが通る道路の半分をバス専用道路として整備し、ここまで徹底したバス専用道路の整備により、バスが渋滞に巻き込まれることはなくなったわけです。
しかし通常、バスの乗り降りには時間がかかります。これを解消するために、電車のようにとびらを3つつけたバスを開発、さらに輸送力を増やすために3両編成のバスもつくりました。(★写真)そして料金徴収のため、普通のバス停ではなくプラットホームを造り、自動改札機を設置しました。これにより、乗り降りは、今の日本の電車のようにスムーズになり、さらに、改札から出なければ、一枚のチケットで乗り継ぎが自由になり、利便性が格段に向上したとのことです。
改善直後は、大変な交通渋滞になった一般車道路も、バスを使う方がはるかに便利だとの認識が広がるにつれ、一般車の数はめっきり減ったとのことであります。
このバス・システムをさらに環境のことを考えて電化したのが、ヨーロッパを中心に整備が相次いでいるLRTであります。
フランスのストラスブールという都市では、LRTを整備するとともに、中心部での自動車の通行に制限を加え、公共交通に優先権を与える「交通ゾーンシステム」という、通行可能区分帯を設定しております。
この方式は中心部をいくつかのゾーンに分け、各ゾーンを結ぶ道路では自動車の通行を認めず、他のゾーンに行くにはいったん外周道路へ出て、そこから目的地のゾーンへアクセスさせる仕組みであります。A地区からB地区に行くには、LRTならすんなり行けるのですが、自家用車だと一旦A地区から外に出て外環を通ってB地区の外に行きそこから中に入るというもの。さらに、市内の一般車用の駐車場を殆ど無くしています。公共交通を整備する一方で、自家用車の利便性を無くす施策を同時に進めているのであります。
このように複合的な施策を実施し成功している例はたくさん存在しております。例えば、アムステルダムではLRTの整備と同時に、パークアンドライドに力を入れております。レースで有名なル・マン市でも同じような制度が見られました。
最後に誰もが知っているパリの交通政策。
市内の道路には自転車の専用車線が造られています。(★写真) そして、市内のいたるところに、誰でも使える公共の時間貸し自転車が置いてあります。最初の30分は無料で、それ以上は使った時間だけカード支払いとなります。30分で目的地まで行ってそこで乗り捨てれば料金はかかりません。
まだまだ問題も多くあるとのことですが、バスやLRT、電車にも自転車を乗せることができるようにもなっており、(★写真) 世界有数の大都市、パリにおいて、自転車が中心になりつつあるというのは大変興味深いことであります。
これらの事例を参考にして東京の交通を考えますと、都心に自家用車の乗り入れを少なくする施策が必要ではないかと考えます。ロードプライシングなどの課金による抑制よりは、車で行かないほうが却って便利だという考えを広めることが必要だと思います。
そこで例えば、自家用車については、都内をストラスブールのように区分化し、相互の行き来を制限する。都内をスムーズに走ることができる車両は、緑ナンバーのような営業車だけにする。さらには、白ナンバー用の駐車場を大胆に削減するなど、東京都においても、自家用車使用からの脱却を進め、公共交通利用へのダイナミックな転換を図るような、社会基盤の中心的な存在である交通インフラ整備のあり方を大きく変えていくことが必要だと考えますが、知事の見解を伺います。●4
私は、東京でもLRTの整備は有効だと考えます。
LRTの建設コストは、地下鉄建設の20分の1といわれております。地下鉄1本建設する費用で20本のLRTが造れるわけですから、都心をたくさんのLRTで結ぶことができます。
都電が縦横無尽に走っていたひと昔のように、例えば、銀座通りから日比谷、丸の内を一周するプランや外堀通りを一周するプランなどでLRTを通すことも利便性を高める案だと考えます。
池袋駅周辺などでLRTを導入する構想が検討されてもいるようですが、東京の公共交通におけるLRTの導入について所見をお伺いいたします。●5
また、個別事例になりますが、私の地元の足立区では、筑波エクスプレスや日暮里舎人ライナーの開通で南北交通はスムーズになったものの、東西交通は、未だに整備されておりません。足立区の東西交通として区部環状公共交通、いわゆるメトロセブンという構想があり、今のLRTの導入も含め、この整備が必要だと考えますが、見解を伺います。●6
次に、子育て支援関係についてお伺いいたします。
足立区におきましては、放課後子ども教室推進事業として、「あだちキッズぱれっと」を推進しております。これは、文部科学省と厚生労働省が共同して全国の小学校での実施を目指している放課後こどもプランを念頭に足立区独自で取り組んでいる事業であり、小学校の余裕教室を利用し、児童の放課後の安心安全な居場所づくりを推進するものであります。この制度は評判もよく、もっと広めるべきであると考えておりますが、都からの補助金は、足立区の支出に比べ極めて少ないものとなっております。
このような、全てのこどもたちに恩恵が与えられる施策にたいしては、もう少し補助金の上乗せを望むものですが、見解をお伺いいたします。●7
来年度は、平成22年度から26年度までを計画期間とする次世代育成都道府県行動計画、いわゆる後期計画の策定時期です。
前期計画は、平成17年に策定されましたが、なお多い待機児童の解消や子育ての負担軽減策、児童虐待対策、ワーク・ライフ・バランスなど、諸課題の解決には、まだまだ道のりは遠いというのが、子育て世代の正直な実感です。
不況の影響で、多くのお母さん方が、仕事をはじめるといった社会情勢の急激な変化で、都民のニーズも、大きく変わります。
前期計画の評価と課題、施策の進捗状況を踏まえ、都民ニーズを的確に捉え、実効性のある計画を策定することを求めるものですが、都の今後の取り組み方針について、見解を伺います。●8
現在、周産期医療改革について、産科医を増やす方向で対策がとられておりますが、そもそも、産科医自体が不足しており、その理由は、出産時の医療事故に対する訴訟、補償問題の多さゆえに医学生が産科医を敬遠するからです。
現在の日本では、医療事故が発生した場合、医師、病院に過失をみとめさせない限り、患者はまったく補償が受けられない仕組みとなっており、このため、医療訴訟が増加します。
過失がなくとも、患者や遺族に補償するのが「無過失補償制度」であります。医療事故の被害者を裁判なしに補償するこの制度は、ヨーロッパなどの社会制度の進んだ国では早くから導入されています。
国は、出産事故で重度の脳性まひを負った場合などの「産科医療補償制度」を発足させましたが、それよりも、一歩進んだ、かつ、全ての医療関係にも波及する「無過失補償制度」を東京都として国に先行して制度化することが望ましいと考えますが、見解を伺います。●9