
平成21(2009)年2月25日
伊藤ゆう(目黒区)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。
「東京都が監理団体を活用する意義は、採算性・市場性を欠く分野、公共性の高い分野などにおいて、民間の資金・人材・ノウハウなどを活用し、弾力的な運営を行うことにより、都が直接実施するよりも質の高いサービスを効率的・効果的に提供することです。」
これは平成16年に東京都が監理団体改革を行うにあたって、発表した「監理団体改革」の第1章、第1項に記された「監理団体の意義」であります。つまり、都は採算がとれない、市場が成熟していない分野だけは監理団体は必要であると定義しています。以下、その旨を踏まえて、東京都の監理団体である財団法人東京都道路整備保全公社について伺います。
同公社の具体的業務は東京都に代わって都道用地を取得する道路整備事業と都有地を借り上げて行う駐車場経営の二本柱であります。前者の用地取得事業については、道路用地買収という公共性の観点から同公社が業務を担う意義を認めることが出来ます。しかし、都有地を活用した203箇所、約1万1千台の駐車場経営については、必然性と利益の使い道に疑問を呈せざるを得ません。
まず、はじめに公社が「都民還元事業」と称して支出している駐車場経営から得た利益約3億円の使い道について触れます。
ここに「駐車場における芝生舗装の実験調査委託」と題した調査報告書があります。これは平成19年度に公社が民間コンサルタント会社に随意契約で委託調査させた全46ページにわたる報告書です。中身はといえば、試験的に駐車場で芝生舗装を行い、育成観察から得られた基礎データを紹介した内容ですから、ヒートアイランド対策といえば聞こえはいいかもしれません。しかしながら、公社が管理する駐車場の多くは都有地であるために、例えば都道の高架下や日本橋、八重洲、都庁など地下駐車場が多く、日当たりに恵まれた駐車場は少ないのです。にもかかわらず、同様の調査が平成17年から19年まで3年連続して行われ、19年度だけでもこの調査委託に600万円も支払われています。ならば、公社では当然、いずれかの駐車場で芝生の舗装を行ったものと思い、問い合わせたところ、回答は「実験を行った駐車場以外ではどこも芝生舗装は行っていない」とのことでした。調査に3年の月日と予算をかけながら、実施をしないというならば、公社はどのような目的でこの調査委託を実施したのか、目的を伺います。●1
また、この調査報告書はその後どのような活用をされているのでしょうか?公社の説明によれば他の民間駐車場事業者にも得られた基礎データが資するように調査を行ったといいますが、この調査結果は民間事業者に配布されたわけでもなく、公社の閲覧可能な資料室に保管されているだけで、どれくらい閲覧されたのかわかりません。公社が芝生舗装したわけでもない、民間事業者の目に留まったかも疑わしいとすれば、この調査報告書によって都民が還元されたものは一体何だったのでしょうか、伺います。●2
さらに、首を傾げたくなるのは公社が平成15年から始めたP-PASS事業です。P-PASS事業とは、駐車場利用者にEDYカード機能を伴ったP-PASSカードを利用して駐車場料金をキャッシュレスで支払ってもらおうという取り組みでした。公社はこれまで設備投資などの経費に5470万円を投じ、15箇所での利用を可能にしましたが、その後の拡大が進んでいません。その理由はカード申込者が極端に少ないからです。年間利用台数が3百万台を超える公社の駐車場であるにもかかわらず、P-PASS会員数はわずかに2215人で、P-PASS使用可能な駐車場でもP-PASS利用率は0.3%でしかありません。不採算事業と呼ぶ以外ありませんが、公社は撤退どころか、毎年P-PASSキャンペーンと称して会員獲得キャンペーンを広告代理店にプロデュースさせています。平成19年には駅前でのチラシの配布などに186万円もの予算を投じ、2ヶ月間のキャンペーン期間中に得られた会員はたったの309名でした。割り返せば、1人の会員を獲得するのに6019円かかった計算になります。このコストパフォーマンスをどのように考えているのでしょうか、伺います。●3
また、今後も予算を伴う会員獲得キャンペーンを続けていくつもりなのか、伺います。●4
ここまで会員獲得に予算をかけているのですから当然、公社の職員はP-PASS会員になっているものと思い、公社職員に占める申し込み者数を調べてみました。その結果、公社の職員数439名に対し、登録料が無料にもかかわらず会員になっているのはたったの63名であることが判明し、唖然としました。予算をかけて広告代理店にキャンペーンをさせるのであれば、まずは身内の職員から会員を募るのが道理ではないでしょうか?それとも公社の職員さえも申し込まないカードのために会員獲得キャンペーンを続行してきたのでしょうか?所見を伺います。●5
そして何より、問題視したいのは、公社の経営体質です。実は、このP-PASS事業には計画開始から現在にいたるまで、事業の損益分岐点などを予測した「マスタープラン」が存在しません。唯一存在する「基本計画」は目標利用者数も導入コストも書かれていないA4一枚のペラで、まさに「どんぶり勘定」で見切りスタートしたとしか言いようのないものです。結果、損益分岐を判断できず、中途半端な事業継続を行っています。公社はなぜ損益分岐を想定した事業計画書を作らなかったのか、また、この事業を不採算事業と見なしているのか伺います。●6
また、建設局はP-PASS事業開始時にこの事業計画に目を通したのか伺います。●7
これまで申し上げてきた支出だけでも問題意識を持って頂いたことと思いますが、以上はほんの序の口であります。肝心の駐車場経営そのものに高コスト体質がありました。
まず、私は203の駐車場のうち、立地に恵まれた比較的規模の大きい八重洲、日本橋、宝町、新京橋、東銀座、六本木の6つの駐車場の事業所別損益計算書を公社に作成させ精査いたしました。その結果、6つの駐車場の損益は年間852万円の赤字であることが判明しました。日本で最も地価の高い、人の往来の激しい場所で、赤字経営であります。その一つ、年間344万円の赤字を出す東銀座駐車場に注目したいと思います。ここは銀座東武ホテルの正面、昭和通の地下に掘られた180車両を収容可能な駐車場です。日本一の立地である駐車場がなぜ赤字を出すのか、そのカラクリは駐車場管理人に年間4千万円以上かかる膨大な人件費にありました。
実際に東銀座駐車場に車を駐車してみましたが、駐車場は機械などを一切使わない平面駐車で料金の支払いは自動精算機ですから、通常、利用者が管理人を必要としない場所でした。ところが、この駐車場には日中3人、夜間1人の管理人が24時間体制で置かれています。しかも、管理人には公社の嘱託職員が含まれており、その年収は平均450万円だといいます。なぜ、年収450万円もかかる管理人が必要なのでしょうか?
さらに、八重洲、日本橋、宝町、新京橋も管理人が3人体制であることがわかりました。八重洲を除く4つの駐車場は昭和通りの地下でつながっており、その距離は最長で1kmの距離ですから緊急の時には誰か一人がすぐに駆けつけられる位置関係です。にもかかわらず全長たった1kmの地下トンネルに管理人が12人もいることになります。これではいくら車が入っても黒字になるわけがありません。日中3人も管理人が必要な理由を伺います。●8
一体どのような方々が公社の嘱託職員になっているのでしょうか?伺います。●9
さらに驚くのはこれら直接経費と本社でかかる経費の他に存在する営業所経費と呼ばれるものです。営業所経費とは何かと尋ねたところ、「駐車場が都内広範囲にあるため三つの営業所があり、日常のメンテナンスや料金回収を行っている経費だ」といいます。そこで、3つの営業所の所在地と経費を調べてみました。東部営業所は墨田区にあり、25名の人員で1億5千万円の経費がかかり、西部営業所は新宿区歌舞伎町にあり、26名の人員で、1億9千万円の経費を要しています。ここで不思議なのは新宿の西部営業所です。駐車場の所在地が広範囲だから営業所が必要といいながら、道路保全公社の本社は新宿区西新宿にあり、営業所から徒歩15分圏内です。駐車場経営を全国展開している三井リパークでさえ、事業本部以外、都内に営業所を持っていません。なぜ、本社から徒歩15分圏内に家賃のかかる営業所が必要なのでしょうか?伺います。●10
こうした営業所経費や人件費が経営を圧迫し、東銀座でさえ赤字経営になっていることは明らかです。営業所の見直しをする必要があると思いますが、所見を伺います。●11
果たして民間事業者が公社に代って、同じ駐車場を経営するとどうなるのか?私はある民間駐車場事業者に先の6つの駐車場の実地検証を依頼し、駐車場スペースと車の出入りなどから、本来どれほどの利益を上げられるか調べてもらいました。その結果、驚くべき数字を目の当たりにいたしました。アークヒルズに程近い六本木駐車場の場合、現在、年間で46万円しかない生まない利益が、民間経営なら少なくても2千万円の利益を生み、先の6つの駐車場で852万円の赤字が3億円以上の黒字に変わるというのです。民間事業者からは「営業所経費なんて考えられない。どうすると、こんな高コストな駐車場経営になるのかわからない」とあきれ声でした。これまで公社は、民間事業者による経営助言など、外の意見を入れた経営見直しを行ったことがあるのか伺います。●12
この他にも、1千400万円をかけて作った500ページのカラー地図一万部を無料で配布したり、時間貸し駐車場利用者に蛍光ペンセットを無料配布するなど、大盤振る舞いの支出が数多く並んでいます。
なぜ、このような放漫な経営がなされているのでしょうか?それは、都有地の活用により安定的な利益が生まれ、その利益を消化する目的で、支出先が決められているからに他なりません。
この際、公社の支出については、民間市場に照らして、第三者による総点検を行う必要があると思いますが、所見を伺います。●13
冒頭に紹介した通り、監理団体とは採算性、市場性を欠く分野での活動が求められています。そのため、公社は財団法人として、法人税の減免措置を受けてきました。本来、駐車場事業者が払う法人税は収益の30%ですが、公社は22%の法人税で許され、付帯して固定資産税等も減免されてきたのです。
果たして、銀座の一等地で行う駐車場経営が公益事業でしょうか?税制優遇を受けた上に高コスト体質で利益を圧迫し、3億円の利益は無駄遣いに費やしている。私にはこれが都庁OBのOBによるOBのための駐車場経営に映ってなりません。
知事、公社の行う駐車場事業は採算の面でも、市場の面でも民間事業が十分に成熟している分野です。なぜ、法人税などの税制優遇を受ける監理団体が担わなければならないのでしょうか?仮に、1万1千台分の駐車場スペースが民間事業者に委ねられれば、都は大きな法人税収入を得られるばかりか、今よりも高額で都有地の貸付を行えば、得られた収入は一般財源となり、それこそ都民に還元できます。私からはこの際、道路保全公社の駐車場部門は徹底的に見直し、民営化することを提案したいと思います。知事は就任以来、平成16年の監理団体改革を始め、外郭団体の改革には常に積極姿勢を示してきましたが、こうした状況を踏まえ、今後、どのように公社の改革を行うのか知事の所見を伺います。●14