平成21(2009)年2月25日
門脇ふみよし(杉並区)
*本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。 正確には議事録をご参照ください。
昨年の秋に発生した都立墨東病院での不幸な出来事については、第4回定例会や関係委員会で多くの質問がなされ、都としても緊急的、中長期的な対応を進めています。元来、医療は不確実なものであり、医師が最善を尽くしても、助けられない命もあります。しかし、「助けられる命をできる限り助ける」医療制度を作っていかなければなりません。そこで、私は、東京都における救急医療体制についていくつかの項目にわたりお伺いいたします。
まず、救命救急センターの整備についてです。
国民・都民の命を守る最後の砦である救命救急センターの設置数については、かつては厚労省の指針により、概ね人口100万人1ケ所という単位で整備を図るとされてきました。
現在、国においては、その考え方の見直しが進んできており、昨年夏に出された中間とりまとめでは、「実態として既存の救命救急センターと同等の役割を果たしている施設については、救命救急センターとして位置付けていくことが適当ではないか」としています。
新たに病院をつくるなどの、いわゆる「箱物」整備ではなく、既存の施設の有効利用を考えていくという現状を踏まえた適切な考え方でしょう。
さて、都内には現在23カ所の救命救急センターがあり、数の上からでは、十分な確保がなされているとは思いますし、またさらに、都として、一昨年は東京医科歯科大学医学部附属病院を、昨年は日赤医療センターを追加指定しています。東京都の積極的な姿勢を理解しています。
都民に安心できる医療を提供するため、質が高くやる気(ここが重要ですが)のある病院をきちんと評価し、救命救急センターとして整備していくという方針を今後も更に積極的に進めるべきであると考えます。
そこで知事に質問です。知事には、都の救命救急に関する、ご自身の基本的なお考えや姿勢といったものを、改めてここで教えていただきたいと思います。●1
しかし、安易に一定レベル・一定規模の病院を救命救急センターとするだけでは、地域性の問題は解決できません。冒頭お話ししたように、かつての国の指針では、概ね100万人に1ケ所の設置基準でしたから、この計算式では、1,300万人都民人口で13ケ所ということですが、現状は23ケ所です。他の道府県から見れば、ある意味羨ましい数字でしょう。
しかし、数的には十分な整備がなされているように見える救急救命センターですが、その現実の配置状況を見ると、地域的な偏りが見られることも事実です。作製したパネルを使って簡単に説明します。(パネル説明)
例えば、私の住んでいる杉並区や、隣接する練馬区・中野区・世田谷区には救命救急センターが設置されていません。
もちろん、杉並区・中野区・新宿区で構成されている23区西部医療圏としては、新宿区内の東京医科大学病院と東京女子医科大学病院が指定されています。このことが問題と言っているわけではありません。つまり、現状の医療圏や都の保健医療計画を否定するものでもありません。
しかし、杉並区の人口は54万人であり、練馬区は71万人、世田谷区は86万人で、合計すると211万人もの皆さんが住み、暮らしている、一般的に山の手地域と呼ばれている3区内に救命救急センターが一つもないのです。
平成20年度中の興味深い数字で説明しましょう。杉並区民とは限りませんが、昨年1年間の中で、杉並区から救急出動し、収容先医療機関が救命救急センターの搬送人員です。
先ほどお話しした通り、杉並区は区西部医療圏ですが、実際にこの医療圏の先に述べた二つの病院に搬送された患者の数は376名でした。一方、三鷹市、調布市などの北多摩南部医療圏の病院に搬送された数は468名でした。このように、医療圏の枠を超えて多くの患者が搬送されていることが分かります。
各医療圏でもこのような数値を調査すれば、これからの医療圏を見直す上での参考になる可能性は高いような気がします。いかがでしょうか。お答えください。●2
救命救急センターを持っている総合病院の中では、大学医学部付属病院が過半数以上あり、どうしても都心に集中している現状は理解しています。
しかし、最も緊急性の高い患者の診療にあたる救命救急センターが山の手地域のような人口の多い区内にないことについての所見をお答えください。●3
さて杉並区では、平成21年度予算計上において、200万円という異例の調査費を計上し、区内において必要な医療機関の規模や診療機能などについて検討を進める予定です。余談ですが、私も22年間、杉並区議会議員を務めさせていただきましたが、新規事業準備のための調査研究費は一般的に50万円から100万円です。
杉並区長の記者会見資料では、次のようにアナウンスしています。「医療については国や都だけに任せるのではなく、『区民の命は基礎的な自治体である区の責任で守る必要がある』、との考え方に立ち、24時間365日、区民が安全・安心に暮らせるよう、高次機能を有する病院の誘致や整備などについて、その条件等を多角的に調査研究し、救急医療体制を含む地域医療体制の充実に努めます」
最近では、4月に開業する台東区の病院、5年間以内のオープンを目指している江東区、順天堂練馬病院のほかにもう一つの病院を整備すると伝えられている練馬区など、各区の動きが活発のようです。
杉並区でも調査研究費のほかに、新年度から、医療政策担当のスタッフ部長と医療基盤担当の課長を新設し、平成22年度までに一定のめどをつけたいと予定しています。
もちろん、高次救急を進めることは基礎的自治体である区だけではできません。東京都と区が連携して初めて実現可能になることです。
そこで、整備が順調に進み、救命救急センターとして遜色のない病院となった場合には、都としても救命救急センターとして認めていく考えがあるのかどうかお伺いいたします。●4
次に、二次救急医療機関の強化についてお尋ねします。
救命救急センターが本来の役割を十分に発揮できるようにするためには、救急医療機関の大半を占める二次救急医療機関の充実を図っていくことが大変重要であり、このことは異論の無いところでしょう。
東京都が指定した二次救急医療機関は、現在259ありますが、杉並区の状況を見ると、7つの指定二次救急医療機関があり、ベッド数や診療科目数もかなり異なっています。
このように診療機能に違いのある二次救急医療機関をさらに強化していくためには、個々の救急医療機関に対する一律な支援を行なうよりも、それぞれの機能や役割に基づいた救急医療機関同士の連携・協力体制の仕組みづくりが進むような対策をとることが重要であると思います。
昨年11月の救急医療対策協議会報告書では、「地域救急センター(仮称)」を整備して、救急医療機関の地域ネットワークを構築していくとされています。
このことについては、先日の石原知事の施政方針表明でも次のように言われています。
「昨年末には、現場に精通した医師等から成る「救急医療対策協議会」で「救急医療の東京ルール(いわゆる"東京ルール")」を策定いたしました。都内24箇所に地域の病院間の連携や患者搬送の調整を行なう「東京都地域救急センター(仮称)」を整備するほか、消防庁の指令室に地域間の病院搬送を集中的に調整するコーディネーターを配置いたします」。ご承知の通り、全国的にも注目されているネットワークシステム新設です。
私はこれから始まる、しかも、全国的にも大変注目されているこの新ネットワークシステムに大きな期待を持っています。全国のモデルとなるようなシステムを構築していただきたいと切に願っています。
そこで質問です。
救対協の報告書の中にあるネットワークのイメージは良く分かります。このネットワークを機能させていくために、今後どのような体制づくりを進めていくのでしょうか。
また、いつごろから、このネットワークシステムをスタートさせるのでしょうか。 明らかにできる範囲で結構ですので、お答えください。●1
また、地域救急センターと並んで重要な役割を果たすであろう"コーディネーター"のことですが、これについては一点だけ伺います。それは、東京消防庁との連携です。報告書にはある程度具体的に書かれていますが、都の施策となった今、東京消防庁との組織的、人的連携を含めての対応をお伺いいたします。●2
最後の質問です。来月スタートする脳卒中救急搬送体制について伺います。
今回の脳卒中救急搬送体制は、脳卒中急性期治療を行なえる水準の各医療機関が、脳卒中の疑いのある患者を受け入れられる時間帯や曜日を組み合わせ、参加する155カ所の医療機関全体(この数は指定二次救急医療機関の約6割になります)として受入体制を確保するものであり、限られた医療資源を最大限活用する上で、極めて有効なシステムです。
脳卒中は、都民の死因の3位を占め、また麻痺などが残りやすい疾患ですが、t-PA製剤による発症3時間以内の急性期治療により、後遺障害の軽減が期待できます。
そこで、実際にこの仕組みが有効に機能し続けるには、質の確保が不可欠ですが、どのように運用していくのか伺います。●1
私は、3次救急病院、2次救急病院、一般病院、そして個人それぞれが、「助けられる命は助ける」というコンセンサスのもと、互いを尊重した連携がとれることが大切だと考えています。それぞれが「何をしてもらえるのか」と考えるのではなく、「自分たちが、自分たちの立場でなにができるのか」という視点にたって、この問題に取り組みが大切と思っています。
一人でも多く「助けられる命」を助けたいと望むのは私だけではなく、ここにいらっしゃる皆さんの総意と思います。
「東京ルール」を成功させ、医療機関の偏在を解消し、救急医療体制を整えられることを強く要望して質問を終わります。