
平成19(2007)年6月20日
一般質問
大西さとる
(おおにし さとる 足立区選出)
行政改革、特に、選挙の開票事務改善を通して質問をさせていただきます。
今年は選挙の年、今年度の選挙管理委員会の予算は93億円。予算的にも大きなテーマですが、それだけではなく、自治体における迅速性、効率性の意識の重要性、職員の意識改革の必要性ということに踏み込んで伺います。
統一地方選挙では、各地で行政改革を訴える候補者が多くいたようです。行政改革とはいったい何でしょうか。公務員の数を減らすことが行政改革でしょうか。業務の民間委託を進めることでしょうか。
もちろん余剰人員をカットする必要はあります。しかし、既に適正な人数になっている部署においては、それ以上の削減は、残った人に業務がしわ寄せされ、サービスの低下を招きかねない結果となります。安易な業務委託は、質や安全性の低下を招く恐れがあります。
そうではなくて、今あるものを、今あるだけでもっと効果を出す。要するに、効率化というものを徹底的に追求すること、これが真の行政改革ではないでしょうか。
選挙の開票事務改善は効率化を追求する取り組みのひとつです。開票事務改善の動きは、昨年4月18日の産経新聞の朝刊に「コンマ1秒の節約実る 多摩市長選 46分で開票終了」という記事が載ったことがきっかけになり、現在、全国的に大きな運動になっています。5月23日の総務省選挙部の「選挙特報」でも、開票についての迅速化に取組むよう具体的な内容に踏み込んだ通知が行われています。
この写真をご覧下さい。Tシャツにジャージ姿の職員が、きびきび作業を行っています。都内でも先進的な自治体の開票風景です。
これは別の自治体の開票風景です。頬杖をついた女性もいますが、自分の担当の仕事が終了し、手持ち無沙汰にしている職員が写っています。後ろでは、まだ作業を行っています。効率的に取組んでいるようですが、こうした場面も見受けられました。
これが、今統一地方選挙における都内開票所の一場面です。
選挙の開票には時間がかかるという思い込みが有権者、候補者、職員にあるのではないでしょうか。しかし、公職選挙法には「選挙の結果を選挙人に対して速やかに知らせるように努めなければならない」という規定があります。地方自治法には、「地方公共団体は、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と規定されています。公選法からも自治法からも、選挙の開票事務は、迅速にそして効率的に行わなければならないことが分かります。
今回の統一地方選で、佐賀県では、県の選挙管理委員会が中心となり全県を挙げて開票事務の改善に取り組み、きめ細かに対応することにより、知事選、県議選で開票所要時間の平均が54分も短縮するといった大きな成果をあげています。
ところが、私が調べましたところ、今回の東京都知事選挙においては、逆に開票所要時間の平均が前回より15分も長くなっているようです。この現状をどう考えるのか、所見を伺います。●1
4月の都知事選挙で開票事務の費用として、2億8千万円が計上されています。そのうちの70%が開票従事者に係る費用、つまり2億円が人件費です。平均時間が短縮されることで、このうちのかなりの額が節減になるのではないかと思いますが、開票時間短縮の財政削減効果について所見をお伺いします。●2
また他県の取り組みの話になりますが、京都府では、今年度の総務部の運営目標の中に、市町村の選挙管理委員会と連携し、コンマ1秒運動を通した効率的な開票事務を推進、参議院選挙で府内全市において取り組むということをホームページ上に公開しています。
岩手県では、自治体の規模にかかわらず、効率性を比較するために、「事務従事者一人当たり1分間開票数」を指標に県内の自治体を評価しています。統一地方選で一番効率的であった紫波町では、一人一分間10.21票を処理しています。因みに東京では一番効率的な大田区の5.61票、から目黒区の1.56票まで幅があります。
今回の統一地方選では、福島県相馬市や広島県三次市、長野県小諸市で開票時間が30分を切り、マスコミからも大きく取り上げられました。これらの自治体では、明確な目標設定をし、職員が担当事務を超えて、研修、リハーサルを繰り返し、そこから生まれた創意工夫、アイディアが開票事務の短縮化に活かされていったとのことです。その結果として、市役所全体として、嫌々仕事をやっていた「やらされ感」から、自らの意思で積極的に仕事に取り組む「やりがい感」に職員の意識が大きく変化し、この運動をきっかけに、他の業務にまで良い影響を与えたとのことです。こうした意識改革こそが本当の行政改革だと考えるものであります。
しかしながら、こうした全国の自治体の改善運動をリードしたのが府中市や多摩市、足立区といった東京都内の自治体であることを忘れてはいけません。これらトップランナーともいえる東京の自治体に全国から多くの自治体が視察に訪れ、ベンチマークしていき、そこから学んだことを自分たちの創意工夫をプラスして成果を上げているのです。県議選の開票をたった29分で終了した小諸市も、実は、府中市の開票事務を視察しているとのことです。
府中市など開票事務のトップランナー自治体を抱える東京都が、率先してこの開票事務の改善に取り組み、リーダーシップを発揮する意義は極めて大きいと言えます。これまで都選管として、区市町村の開票事務の短縮のためにどのような工夫や努力をしてきたのか、今後の取り組みとあわせ、所見を伺います。●3
また、区市町村の開票事務の改善を促すためには財政的なインセンティブも重要です。開票事務の効率化により人件費や会場費などの開票経費を削減することが可能になりますが、このことは、区市町村にとっては、国や都からの交付金が減額されることに他なりません。せっかく開票時間を短縮しても、交付金が削減されるだけの今の仕組みでは、区市町村が更に事務改善しようというモチベーションは働きにくくなってしまいます。そこで、努力して開票時間を短縮し経費を削減した自治体に対し、削減した額を別の名目で還元するなどの財政的な優遇措置を検討するべきと考えます。局長の所見を伺います。●4
7月には参議院選挙が予定されております。参議院選挙の比例代表は、かなり複雑な開票事務になります。私も比例代表の開票立会人をして、明け方4時くらいまで帰れなかったことを思い出します。こうなると、開票事務の改善に取り組んだか、そうでないかで、大きな差が出てきてしまいます。1時間、2時間の差は簡単に出ます。また、ここまでこのコンマ1秒運動が広がって来ると、改善に取り組まなかった自治体が、努力を怠った自治体として目立ってしまうことになりかねません。
参議院選挙は目前です。区市町村の開票事務の改善に向けた都選管の取り組み、そして局長の決意をお伺いします。●5
大きな改革の流れは、小さな改善の積み重ねから起こります。ぜひ、東京都がこの運動に積極的に取り組み、全国の自治体のトップランナーになり、都内の区市町村、そして都庁の職員の意識改革につなげていくことを要望するものです。
最近の選挙の開票事務における全国的なスピードアップの動きについて、知事の所見をお伺い致します。●6
次に、正規労働者と非正規労働者との格差是正について伺います。
パート労働者、派遣社員、契約社員といった形態の労働者が、正社員と全く同じ仕事をしているにもかかわらず待遇的に大きな差が生まれている現状があります。5月25日、国において、正社員との格差是正をめざす改正パート労働法が成立しました。しかし、その内容は、待遇改善が期待されるパート労働者の範囲が限定されるなど、極めて不十分なものとなっています。
「均等待遇、格差是正」に取り組む必要があると考えますが、パート労働者の処遇改善さえその実行が期待できない国の取り組みを待っていては、いつまでたっても、「均等待遇、格差是正」は実現しません。
昨年12月に東京都が策定した「10年後の東京」(P111)では、「同じ仕事の質であれば、同様の労働条件とする公平な人事管理を行う企業を支援し、モデル企業として広く普及させていく」ことが示されております。
私も、東京都として、正規・非正規を問わず公正な労働条件で、働くことが可能になる社会の構築に向けて、早急に処遇の格差是正など、具体的な取り組みを実施していくべきと考えますが、所見を伺います。●1
次に、エレベーターの安全確保対策について、伺います。
昨年6月に港区の区営賃貸住宅のシンドラー社製エレベーターで死亡事故が起き、一時期は各種報道などで騒がれました。
しかし、事故発生から約1年が経過したにも関わらず、事故の原因は未だ警察が捜査中であり、国でも昨年9月に社会資本整備審議会に設置された対策部会の中間報告が出されましたが、エレベーターの安全確保対策は、事件以後、まだ何も改善されていないのが実情です。
この間、シンドラー社が特別で、国内シェアの大半を占める大手5社のエレベーターは安全だという世論が形成されていましたが、実はそうではなかったということが判明し、国内大手5社のエレベーターでさえ、ワイヤロープのストランドの破断が発生しているという、人命を危険にさらしかねない不具合の発生が相次いで報じられています。
エレベーターは全国で約70万台、そのうち東京には2割強を占める15万台が設置されており、日本ではエレベーターが一番集積しています。シンドラーエレベーターでの死亡事故も、都内で起きたものです。
現在、都は、国の対策をただ待っているだけのようですが、国がもたついている間にも、また次の悲惨な事故が起きないとも限りません。
エレベーターの安全確保対策について、都として独自に情報収集や調査研究を行い、具体策を国に提案するようなアクションを率先して起こすべきと考えますが、所見を伺います。●
東京が他県の模範となり、さらに他県をリードして諸問題を解決していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。