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政策工房

Ⅳ 学ぶ心を育み、誰もが学べる東京(教育)

 

1.ビジョン

 

 めまぐるしく変化する社会を生きる子どもたちに、人と人とがともに生きるために必要なことは何か、学ぶ楽しさ、といったこと、いわば人間の背骨というべき基本的な力が身に付くよう、原点に返って教育を考える。

 

 

2.考え方・現状認識

 

 想定外の事態に直面したときでも、自ら考え、人と協力して問題を解決することができる大人になれる教育が必要。

 改めて、教育の原点とは何かを考え、大人になることが難しくなったと言われる現代だからこそ、健康を保つ力、人とつきあう力、考える力を付ける教育を目指す。

 新学習指導要領では、生きる力の育成をかかげており、東京都教育ビジョンもこれに沿って、生きる力をはぐくむとしている。

 しかし、義務教育に関する意識調査では、今の子どもにある能力として、コンピュータを活用する能力がトップで、体力や運動能力、受験に役立つ学力、教科の基礎的な学力が続く。

 一方、生き方や進路について考える力、人間関係を築く力、自分の健康を管理する力、社会生活に必要な常識、社会で役立とうとする心や公共心など、学力以外の生きる力については、半分以下の状況。

 将来、地域社会の経済、文化、環境のなかで生きていく子ども達をいかに育てるべきか、地域住民の参加による学校教育、学校・家庭・地域社会がともに学校教育とはなにかを、真剣に考え、取り組まなければならない。

 

 

3.施策

○家庭の教育力サポート

・子どもの生活習慣と学力には相関関係があると言われており、子どもが勉強に集中できる家庭環境、将来にむけてがんばる気力を持てる支援が必要。学校に子どもの生活支援を行える人材を配置・育成するとともに、福祉施策の活用も視野にいれた支援ができるよう取り組む。

 

○必ずわかる!授業改革

・授業指導強化

教師個々の力量だけに大きく左右されず授業を行うため、授業指導を積極的に行い、質の高い学習機会をすべての子どもたちに提供する。

・指導力不足教師対策強化

一定水準をクリアするまで授業させないなど、指導力不足教師には厳しく対応する。

・多様で柔軟な授業展開

習熟度別学習や少人数指導など、生徒にあわせた多様な授業展開を行う。国に対し、地域の実情に応じて少人数学級も可能となる教員配置を実施するよう求めていく。

 

○経済的格差による教育を受ける機会不均等化の是正

 ・奨学金制度の充実

高等学校の実質無料化が実現するまでの間、親の資力によって子どもの進路が制限されることのないよう、奨学金制度を拡充し、機会の平等を図る。

 ・都の塾代支援の対象を拡充する

都は低所得家庭(生活保護水準の1.1倍)に対し、塾代支援を行っているが、対象が極めて限られている。実際の生活状況を見ると、現行事業の対象外でも塾代までは負担することが困難な家庭も多くあることから、対象を拡大する。

 ・キャッチアップ支援(都の無料塾対応)

学習塾や家庭教師の利用を希望する、経済的に苦しい家庭の子どもでも、しっかりと基礎的学力をつけられるよう、授業の質向上とともに、地域人材や教育を志す学生とのコラボレーションで自主学習への支援を拡充する。

 

○信頼できる学校(含:いじめ対策)

・24時間365日の子どもの悩み110番

教師や学校、親には言えない悩みの受け皿として、通話料無料の電話相談、インターネット駆け込み寺を実施する。相談事例の解決に努力することに加え、内容を分析して子どもの実情を把握し施策に活かす。

・教員不足対策

教師志望者、校長など管理職志望者が減っており、団塊世代の大量退職とともに、教員不足、校長不足が顕著になりつつある。コミュニティとの連携、学校支援、生徒の生活支援人材など、変化する子どもや家庭環境への対応を迫られる学校を支援し、優秀な人材を確保できる環境作りを進める。また、民間人校長、社会人経験者採用や教職大学院と連携した人材育成・採用など、幅広く優秀な人材を確保する取り組みを進める。

 

○コミュニティとの連携(地域支援学校、地域運営学校など)推進

 ・学校支援地域本部事業の活用などによる、学校ボランティアによる教育、緑化や登下校支援、部活支援など、地域の多様なキャリア・能力をもった人材に協力を依頼し、学校を活性化するとともに、地域の教育力を強化する。

 ・すべての担い手からの創意工夫にあふれた提案を汲み上げ、多くの人々の貢献を引き出す、主体的・自律的運営が行われる学びのコミュニティがそれぞれの学校を創る。

 ・モンスターペアレンツ対策(家庭教育)

法的対応も含めた学校支援を拡充するとともに、必要に応じて福祉など他の行政分野との連携、保護者・地域とともに作り上げ、チームで取り組む学校教育を推進する。(○コミュニティとの連携参照)

 

○生きる力を育てる教育

 ・メディアリテラシー教育の実施

  PCやインターネット利用環境、携帯電話などの技術革新により、情報の即時性、普遍性が飛躍的に向上した。一方で、未成年者に有害な情報も増えており、自分自身が判断し、取り入れる情報を取捨選択する能力が必要。

 ・PCや携帯電話を使った、インターネット・メールによるいじめも起きており、自らが発信する情報への責任や、適正な使い方についてもしっかりと指導する。

 ・都立図書館は、予算が削減され、新刊書の6割程度しか収集できていない。資料、蔵書を充実の予算を確保する。

 ・学校図書館での調べ学習の支援機能など、図書館司書の資質向上、蔵書の充実など、子どものころから言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、人生を深く生きる力をつける環境を整備する。専任司書の配置についても検討を進める。

 ・教育の複複線化

  サポート校への支援など、再チャレンジ支援を行う。(憲法の公の支配との整合が必要)また、都立高校に、一度高校を離れた子どもも、勉強したいと思ったら、もう一度高校に戻れる中途入学制度を検討する。

また、特色ある教育が進む中、進路の変更や学力向上などによる都立高校間の転校希望について、柔軟な対応が可能となるよう取り組む。

 ・日本語サポートセンター創設

  東京都における外国人登録者数は、この10年で42%増加し、対前年度比では約5%増加、169カ国。また、公立学校における日本語習得支援が必要な子どもは63言語、対前年度比で8.6%増加。今後さらに外国人労働者の増加、定住化が進めば、その子どもも増えることが予想され、日本語指導の必要性が高まる。日常生活に必要な日本語能力修得・情報取得をサポートする。さらに、多言語通訳の派遣や資料翻訳など必要な人的措置についても一層充実するよう国に求めていく。

 ・私立学校に通う生徒・保護者への支援拡充(公私格差是正)

  私立学校と都立学校との生徒1人当たりの税金投入額を比較すると、都立が約3.6倍となっており、保護者負担は重くなっている。この格差を是正し、経済的負担を軽減するため支援を一層拡充する。なかでも、私立幼稚園への経常費補助は、小中高校への補助と比べ少ないため、充実が必要。

 

○東京独自の就学前教育支援の実施

ほとんどの保育所や幼稚園では、幼児教育を実施しているが、保育に欠ける子どもの一部は、幼児教育を受けずに小学校入学を迎えることとなる。義務教育への準備段階として、すべての子どもが就学前教育を受けられる事業を実施する。

 

○特別支援教育の充実

・教員の資質向上

障害特性に応じた指導能力など、教員の専門性欠如が課題となっている。そのため、専門性の高い教員養成、研修の実施により、質の高い教育を実施する。また、不足している看護師配置など人員確保対策を講じる。

・特別支援教育コーディネーター

学校外の関係機関と連携し、校内協力体制を構築できるコーディネーターを育成する。

 

○部活動の活性化

 ・小規模化が進む公立小中学校において沈滞している部活動を、幼い頃から集団や社会生活の規律を身につけられる場として活性化させる。そのために、指導員の確保や地位の明確化を一層進める。