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Ⅲ 子育て支援!誰もが暮らしやすい東京(生活・福祉)

 

1.ビジョン

 

 子どもを産み育てたいと思うすべての人が、安心して子どもを持てる環境を整備する。

 現役世代、高齢世代、若者、子どもまですべての世代の人にとって、暮らしやすいまちづくりをすすめるため、ハード・ソフト両面から施策効果を総点検して、本当に必要な施策を実施し、包容力のあるインクルーシブ社会を目指す。

 

 

2.考え方、現状認識

 

 生まれてから、学校に入り、大人になるまで、子どもを育てることは、社会を作ること。そして、すべての子どもは、家庭の状況や障害のあるなし、性別、国籍にかかわらず、安全な環境で、愛情に包まれ、健やかに育つ権利がある。

 また、現在20代後半から30代後半の世代は、バブル崩壊の後遺症で企業が新規採用を極端に絞り、雇用の非正規化が拡大した時期に社会人となった。このためニート・フリーターや、派遣・日雇い派遣等に従事せざるを得なかった人が少なくない。不安定雇用・低所得のためか、非婚、少子傾向が進んでおり、20年、30年後の東京を見通して、しっかりと支援を行うことが必要である。

 さらに、団塊の世代が高齢期を迎えるにあたり、介護サービスの提供体制を盤石に強化することが求められている。支え手が減る中でどのようにして困難な時期を乗り切るか、まったなしの状況となっている。

 しかし、国内外の社会経済状況の激変や、医療制度改革、介護保険法改正、障害者自立支援法など、医療や福祉の根幹をなす制度の改変時期にあって、医師・看護師・介護人材の不足が深刻となっている。

 また、福祉は、すべての人が暮らしやすい社会を下支えするものであっても、その実現はひとり福祉だけでは十分ではない。

 都民生活に何が必要か、その供給のためには何をすべきか、東京都が本気で考え、コーディネートしなければならない。きめこまかなニーズ把握を行った上で、政策を実行する必要がある。

 

 

3.施策

Ⅰ 子ども達、親達へ

○安心・安全に子どもが生まれる環境づくり

 ・飛び込み出産対策

  母子手帳をもらわない、妊婦健診を受けずに出産するといった飛び込み出産(未受診妊婦)の原因として、若年妊婦(未婚)、外国人、経済困窮家庭が挙げられている。健診無料化に加えて、必要な対策を実施するため、実際の事例を調査する。

 ・母子手帳からエンゼルノート(仮称:あかちゃんノート、ひよこ手帳でも可)へ

行政の情報に接する機会の少ない母親達にも、母子手帳を持ってもらえる、母子保健やかかりつけ医づくり、ホームヘルプの利用など、妊娠・出産・子育てに関係するさまざまな支援へのゲートウエイとしてトータルに活用できるものへとリニューアルするよう国に求める。

さらに、学校卒業まで継続して、予防接種やけが・病気の記録を残せて、利用できる行政サービスや支援、相談窓口がわかる子育て手帳を検討する。

 

○安心して出産できる産科医療の実現(医療再掲)

・出産一時金を大幅アップする。

実際にかかる出産費用に比べて安いと言われる出産一時金。妊娠・出産はリスクを伴うものだが、そのリスクを早期に減らし、新たな命の誕生につなげていくのが産科医療。12万円を都独自に上乗せして50万円にする。

・NICUを1.5倍に増やす。

国の基準が作られた平成2年当時の東京都内新生児数に対する2500グラム未満出生児率と、平成17年を比較して約1.5倍に増えている。NICUの満床による妊婦の搬送受入困難は日常化している。新生児の実態に合わせた整備目標を示し、医師・看護師の不足が続く状態から脱して、手厚い人員配置を必要とするNICUを十分に整備し、機能させていくためには、まず明確な目標設定が不可欠。

 ・子ども基本計画を策定する。

妊娠・出産・子育てにかかわる医療・福祉・教育に必要な施策、地域資源の大枠を示し、中長期的な実現を図るため、都民や専門家とともに子ども基本計画を作り上げる。

例えば、産科医不足への対応としては、NICUの増設や産科医への手当、救急搬送の司令塔機能の設置などの医療機関への対策とあわせて、母子手帳や母親学級などでの#8000などの情報提供、妊婦健診の無料化により妊娠のリスク管理を向上させ、お産の救急を極力減らす、救急医療を受けた場合でも、地域の診療所と救急病院との連携を強化して、急性期を過ぎたら診療所による治療や在宅診療・支援、子育てヘルパーなどの関係施策と連携して安全安心を確保する、障害のある子どもを支援する療育センターや障害児保育、就学前の専門的指導と学校との連携といった、細かな施策までをリンクさせ、全ての施策をより一層機能させること、不足するサービスの必要量を明確にし、どこをどれだけ強化すべきか、しっかりとした検討を行うことが必要。

 

○地域の産科・小児科の充実

 ・厚労省の決めた「病床規制」を産科・小児科は緩和する。病床規制は産科小児科を例外とする通知が出されているが、活用実績は0。(平成21年3月現在)

  地域の新規の産科・小児科の開設の環境を作り、地域医療を整備しなければ、益々救急病院に患者が殺到し、病院や勤務医・看護師の疲弊が広がってしまう。産科・小児科など地域で不足する医療機能については、病床規制の例外を活用して積極的な整備を支援する。区市町村が行う地域医療対策への支援を一層充実させる。

 ・特定不妊治療への助成拡充 

  医療保険が適用とならない不妊治療に対する補助金を拡充する。

 

○子育て負担感の解消

 ・待機児童解消

  保育所整備を進めるとともに、必要とするすべての保護者が利用できる保育サービス提供体制を構築する。

  また、学童保育の年齢引き上げなど子育て支援を充実させる。

 ・認証保育所の保護者負担軽減策

  待機児童が多く保育所の供給が追いつかない現在、所得の少ない人が公費を多く投入し、保育料の安い認可保育所に入れるとは限らない。認可保育所との不公平をなくすため、認証保育所の保護者負担を軽減するなど、必要とする誰もが預けやすい環境整備を進める。

 ・子ども家庭支援サービスの充実

  出産育児期の家事支援など家庭支援サービスを充実させる。特に在宅子育て家庭への支援を強化し、一次保育の充実や親子で参加できる居場所づくり、ネットワークづくりを進める。

 ・子どもクーポン(保育バウチャー)

  将来的には子どもクーポン制度で、施設への補助から利用者への直接補助に切り替え、サービス提供実績に応じて行政の補助が充当される仕組みを目指す。これを通じて、すべての子ども・保護者が必要とするサービスを利用できる体制整備に取り組む。

 

○児童虐待の早期発見・救出対策の強化

 ・児童虐待の通報に迅速に対応する。

  児童相談所の児童福祉司は、多くの要保護児童、要注意家庭の案件を抱えている。児童相談所の人員、特に専門職を増員する。多くの子ども達にしっかりと目の届く体制を作る。

 ・虐待児童を迅速に救出する。

  虐待の通報があっても、保護者が事実を認めない、子どもの状況確認をさせないなどの事例があった場合、子どもの安全確保を最優先とし、警察と連携して速やかに親子分離できるよう、体制の強化を図る。

 ・児童養護施設整備し、里親委託を促進する。

  虐待や親の経済的事情などで、家庭で養育できない子ども達が増えており、児童養護施設は一杯で、虐待から保護した子ども達が長期間児童相談所に滞在している。養護施設の整備、里親委託を促進し、社会的養護体制を強化する。また職員の資質向上を図るとともに、現場職員の心のケアの仕組みを整える。

 ・虐待させない、繰り返させない

  うつ症状を訴えたり、うつ病にかかる人が増えており、子どもを育てられる状態にない親への対策強化が急務。子育てヘルパーや子ども家庭支援センターとの連携も強化し、サポート・支援を充実する。

 ・東京小児ER(医療再掲)

  高度医療(二次・三次救急医療機関)への初期救急機能併設や連携強化で、患者を断らない、重症者を迅速に診る、たらい回しにしない、小児救急医療制度を目指す。特に小さな子どもは容態が急変しやすいため、小児トリアージができる人材育成・配置補助など、小児救急トリアージの普及を支援する。

 ・小児救急相談電話#8000

現在は、平日の昼間のみ受付だが、他に頼るところがない夜や休日など、病院に行くべきか迷っても対処法がわからないなどのニーズが、より多く見込まれる時間帯にも拡大する。

 ・医師不足(=東京小児ER、①医療参照のこと)

 

○子どもの重大事故ゼロ

 ・子どもの事故は、個々のアクシデントとして見過ごされがちだが、情報を集約して分析すると有効な対策ができる。子どもの事故調査委員会を設置して、定期的にモニタリングし、子どもの重大事故ゼロを目指す。

 ・子どもの交通事故防止対策を進める

交通事故多発路線である駅前、福祉施設、学校の周辺等において、歩行者通行の安全を確保するための歩車分離信号への改良を進める。また、コミュニティゾーン整備やあんしん歩行エリア整備など面的かつ総合的な交通事故防止対策を進める。

 

○東京独自の就学前教育(教育再掲)

 ・ほとんどの保育所や幼稚園では、幼児教育を実施しているが、保育に欠ける子どもの一部は、幼児教育を受けずに小学校入学を迎えることとなる。義務教育への準備段階として、すべての子どもが就学前教育を受けられる事業を実施する。

 

○学校教育

  ②教育参照のこと

 

○放課後安全対策

 ・区市町村において放課後子どもプランを策定し、小学校区にひとつ子どもの居場所を作り、遊びや勉強、地域の人との交流を通じ、安全で健やかな成長の機会を確保する。

 

○ひとり親支援

 ・ひとり親家庭への自立支援策推進

ひとり親家庭の悩みで最も多いのは家計や家事に関するもの。また、雇用や住宅、子育ての問題等で、安心して自立生活できる環境にはない。このため、より収入の高い就業を可能とするための就業支援やスキルアップ支援、ホームヘルプサービスなどを拡充させる。また、近年増加しているひとり親家庭の相談体制を整備する。母子家庭等就業・自立支援センターと東京仕事センターやマザーズ・ハローワークとの連携を強化する。

 

○安心して働くことができる環境整備(雇用再掲)

 ・新たなセイフティーネットの構築、製造業現場への派遣の見直し、安易な解雇の禁止などについて、党本部とも連携しながら、国に対して積極的に働きかけていくとともに、雇用維持や法令遵守などについて、企業に対して、積極的に働きかけていく。

 ・「雇用創出プラン」を策定し、就業支援をはじめ、不安定雇用から正規雇用への転換、離職者支援体制など、総合的な雇用対策に取り組む。

 ・今後の雇用情勢に的確かつ迅速に対応していくために、緊急雇用対策のさらなる積み増しに取り組むとともに、住む場所を失った人たちに対して居住の場を確保する。

 ・パート・アルバイト、派遣労働などのいわゆる非正規労働者の雇用環境を改善するために、処遇改善に取り組む企業の拡大に向けて、支援の充実を図る。加えて、同一価値労働・同一賃金に向けて取り組む企業への支援制度を創設するなど、取り組みを強化する。

 ・パートアドバイザー制度を充実するとともに、メンタルヘルス対策を充実する。

 ・次世代育成行動計画を策定し、それを実行する中小企業への支援を拡充する。

 ・ワークライフバランスの実現に向けて、「東京都ワークライフバランス推進宣言(仮称)」を策定し、運動を展開するとともに、効果的な周知啓発キャンペーンの実施や実務者に対するセミナーの実施などに取り組む。

 ・職業能力の開発向上に向けて、職業訓練の拡大・充実を図るとともに、ミスマッチ解消に向けた取り組みを強化する。

 ・職業能力開発の受講者への奨励金の支給や採用企業に対する助成金などを通じて、低所得者層に対する就業支援をさらに進める。

 

Ⅱ 全ての都民へ

○男女共同参画社会の実現

 ・女性も男性もすべての人が責任をもって、安心して働き続けられるよう、ワークライフバランスの推進、就業継続に必要なサポートの充実を進める。

 

○UD(ユニバーサルデザイン)のまちづくり

 ・交通網では、引き続きすべての駅での1ルート確保に取り組む。また、面のUD化としては、病院や福祉施設など公共性の高い建築物周辺や駅からのルート、空港や主要駅から宿泊施設へのルートのUD化を一層進める。

 

○悪質業者被害対策の強化

・増加する消費者被害、複雑化する契約社会への対応として、消費者相談を充実・強化し、平日の昼間に加え、夕方や土曜・日曜・休日にも実施する。

・警察と連携し、悪質業者には断固とした対応をとる。

・高齢者を狙った、リフォーム詐欺や高額商品の売りつけに対しては、地域の見守り、福祉事業者と連携した見守りなど、しっかり取り組む。

 

○東京版セーフティネットの実現

・自殺予防対策

・借金を苦にした自殺をなくす

債務整理・自己破産等法的手段の活用支援、生活再建への支援を充実・強化する。

・メンタルヘルス対策を強化する。

自殺者のうち、職場の人間関係や、労働環境などをきっかけとして、うつに陥って亡くなる方の割合が多く、職場でのメンタルヘルス対策、労働環境の改善が必要。

・地域特性に応じた自殺対策支援

民間団体が自殺の統計原票を分析した結果、自殺者の年齢・性別・職業の有無などの属性が、区市町村別で明らかとなった。地域特性に応じた対策が進むよう、支援を充実する。

・多重債務対策

債務整理・自己破産等法的手段の活用支援、再び借金をしないための金銭管理サポートや生活再建支援を充実・強化する。

また、子どものころからのマネーリテラシー教育を強化する。

 

○医療・医師不足対策

  ①医療を参照のこと

 

○生活保護の自立支援の強化

 ・やむを得ない事情で働けない時、最後のセーフティネットとなる生活保護だが、自立を支援する機能が弱く、長期受給に陥りがちである。助けを必要とするときには迅速に支給し、自立に向けた力をつけられるよう自立支援を強化する。

 

○犯罪被害者等支援条例の制定

 ・犯罪被害者の権利と支援に対する都の姿勢を明確にするため、犯罪被害者等支援条例を制定する。

 

Ⅲ 高齢者へ

○介護人材確保対策

・介護報酬を十分に改善し、介護事業者が安定した運営ができるよう、国に働きかけ、実現するまでの間、東京都独自の大都市加算を実施し、介護従事者の報酬改善を行う。

・介護保険施設職員宿舎建設補助事業など、安定して働き続けられるような環境整備を検討する。

 

○要介護・認知症高齢者の安心地域居住

・ケアリビングを推進する。

必要なケアを受けながら住み慣れた町でくらし続けられるようにするため、賃貸のケア付き住宅や、グループホームの整備を促進する。

・老老介護認認介護を支援する。

東京都の高齢者人口は、この1年だけでも7万9千人、3.3%増えており、109万人になっている。総人口に占める割合は8.7%で、いずれも過去最高。高齢者だけの世帯も増えており、高齢者が高齢者を介護する老老介護、認認介護が今後も増えることが予想される。家族がいるといっても、高齢者である場合には、若年者家族がいる場合とは異なる支援が必要。

 

○ひとり暮らし高齢者の安心支援作戦

・ひきこもりゼロ作戦

高齢者の半数を占める単身高齢者世帯や高齢者のみ世帯のひきこもりをなくす。公的機関やNPO、かかりつけ医など、さまざまなルートから、コネクションを持つ。

・孤独死防止

ひとり暮らし高齢者には、異変を速やかに察知するため、ゴミの戸別回収、水道などの使用状況モニタリングシステムなど孤独死を防ぐ対策を行う。

 

○元気高齢者の社会参加支援

・生きがい創出支援

元気で人生謳歌、遊びごころをもった幸福な老いを目指す、元気高齢者人口を増加させるため、生きがい活動支援室を地域に設置、ネットワークづくりや社会活動参加のコーディネートを行うことで、高齢者の自主的な活動を支援する。

・健康づくり支援

都の調査によれば主観的健康感が低い人ほどひきこもりがち。主観的健康観アップにより、活動性を高め、介護予防にもつなげる、健康づくり応援総合計画をつくる。

 

Ⅳ 障害者へ

○障害者への差別をなくす条例の制定

・障害者差別禁止を定める条例を制定する。

地域生活を進展させるなかで、地域で生じる軋轢に対処し、人間関係づくりを仲介する仕組みを作る(調整機関の設置等)。

 

○障害者施策の充実

・自立支援法

自立支援法施行以来、障害当事者、自立支援事業者ともに疲弊している。自立支援法の欠点を補う、東京都独自の自己負担軽減や事業者支援を拡充する。

・障害者雇用

障害者の受け入れに関するノウハウや支援・指導のノウハウを持たない企業が多いため、職場環境の整備と定着を支援する障害者就業支援コーディネーターを設置する。

・グループホーム

地域居住を推進するため、グループホームの設置や運営費補助を充実させる。