1.ビジョン
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崩壊寸前の東京の救急・産科・小児医療。民主党は最優先事項のひとつと位置づけ、予算を集中投下して、立て直す。そのために、都民・行政・医療関係者が一体となって、いざという時に頼れる高度医療・救急医療であるために、何ができるか、何をすべきか考え、実行する。また、身近な地域で不足する小児科や産科医療の充実への支援を強化する。
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2.考え方、現状認識
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奈良の事件以来、民主党は、東京でもいわゆる妊婦のたらい回しによる死亡は、いつ起きてもおかしくない状況であるとの医療関係者からの指摘を受けて取り組んできた。 しかし、ついに都内でも脳内出血を起こした妊娠中の女性が8つの病院から救急搬送を断られて死亡するケースが起き、大きく報道された。 また、全国的な勤務医師不足から、隣接県で救急受け入れ休止などが発生すれば、都内医療機関への搬送依頼が一層増加することも懸念され、事態はさらに深刻になると考えられる。 事態が切迫する中、民主党の求めてきた都内広域の搬送調整を行う機能の設置や、産科医師への報酬増、激務を緩和するための事務補助者(クラーク)の配置支援などを実現することができた。しかし、これだけ切迫している事態に対しては、まだまだ都の対策は不十分。医師・看護師不足だからできないという考え方ではなく、人が集まる医療現場にしていくために、予算を集中投下して、緊急事態に臨むべきだ。 これまで、医療関係者の努力によって築き上げられた、高度な医療、救命救急のシステムは、医療政策の無為無策によって、存亡の危機に瀕している。いまこそ、政治がその役割を果たすべき時であり、これができないのであれば、後世に申し開きができない事態となってしまう。
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3.施策
○安心して出産できる産科医療の実現
・出産一時金を大幅アップする。
安いと言われる出産一時金。妊娠・出産はリスクを伴うものだが、そのリスクを管理し、新たな命の誕生につなげていくのが産科医療。12万円を都独自に上乗せして50万円にする。
・NICUを1.5倍に増やす。
国の基準が作られた平成2年当時の東京都内新生児数に対する2500グラム未満出生児率と、平成17年を比較して約1.5倍に増えている。NICUの満床による妊婦の搬送受入困難は日常化している。新生児の実態に合わせた整備目標を示し、医師・看護師の不足が続く状態から脱して、手厚い人員配置を必要とするNICUを十分に整備し、機能させていくためには、まず明確な目標設定が不可欠。
・子ども基本計画を策定する。
妊娠・出産・子育てにかかわる医療・福祉・教育に必要な施策、地域資源の大枠を示し、中長期的な実現を図るため、都民や専門家とともに子ども基本計画を作り上げる。例えば、産科医不足への対応としては、NICUの増設や産科医への手当、救急搬送の司令塔機能の設置などの医療機関への対策とあわせて、母子手帳や妊婦教室での#8000などの情報提供、妊婦健診の無料化により妊娠のリスク管理を向上させ、お産の救急を極力減らす、救急医療を受けた場合でも、地域の診療所と救急病院との連携を強化して、急性期を過ぎたら診療所による治療や在宅診療・支援、子育てヘルパーなどの関係施策と連携して安全安心を確保する、障害のある子どもを支援する療育センターや障害児保育、就学前の専門的指導と学校との連携といった、細かな施策までをリンクさせ全ての施策をより一層機能させること、不足するサービスの必要量を明確にし、どこをどれだけ強化すべきか、しっかりとした検討を行うことが必要。
○地域の産科・小児科の充実
・厚労省の決めた「病床規制」を産科・小児科は緩和する。病床規制は産科小児科を例外とする通知が出されているが、活用実績は0。(平成21年3月現在)
・地域の新規の産科・小児科の開設の環境を作り、地域医療を整備しなければ、益々救急病院に患者が殺到し、病院や勤務医・看護師の疲弊が広がってしまう。産科・小児科など地域で不足する医療機能については、病床規制の例外を活用して積極的な整備を支援する。区市町村が行う地域医療対策への支援を一層充実させる。
○断らない救命救急センターの構築
・病院の協力を求めて、救命処置後の「病病連携」の転院システムを作る。周辺病院や地域病院と連携努力をする支援職員を置き、救命処置後に受け入れ協力をお願いする「病病連携」システムを構築することで、「断らない救急病院」を作る。
・そのために都民・患者にも軽微な傷病で救急病院や救急車を使わないルールをしっかり広報し、地域の救急医療機関に常に余裕を持たせるあらゆる努力をする。
○救急病院の医師の確保
・医師以外のコ・メディカルスタッフも充実して24時間救命救急現場の疲弊をなくす。
・午前は外来、午後は病棟、夜は救急当直、40時間不休の勤務といった環境による医師の過労は、医師の判断力と健康を損ね、診断される患者にとっても改善すべきものである。勤務医の報酬や労働環境向上のほか、救急病院での医業とそれ以外の分業を進め、医師や看護師が抱えていた仕事を、医療クラーク(医療現場での事務支援)、救急搬送コーディネーター(救急患者の受け入れ作業)のほか、医療ソーシャルワーカー(家族や経済面の相談)などを養成・身分保障・予算確保することで、医師の負担を極力減らす。
・1次救急準夜・夜間診療所の運営支援を行って軽症患者の受け皿を用意する。あわせて患者にも2次救急病院への安易な受診を避けるよう理解を求めていく。
・首都大学東京にER課程を設置して、医師を育成・確保すると同時に、しっかりとした救急医療体制の確立に取り組むことを検討する。
○地域人材の確保と在宅医療の充実
・福祉の人材基盤にしっかり投資する。
急性期を過ぎてから、安心して在宅や介護系施設に移行できる環境整備が進まなければ、長期入院や社会的入院は減らず、ベッド数に余裕がなくなる。一方、在宅での介護が難しい家庭では、福祉サービスが不可欠。安心して退院できるよう、地域の福祉を充実させる。
・しっかりした労務環境で、福祉職を目指す若者をはじめ、多くの雇用を促す。
・訪問介護や特別養護老人ホームの介護人材の確保のための介護報酬アップとともに福祉人材の知識・技術向上研修や、老人保健施設・療養病床等の整備を支援する。
・地域連携クリティカルパスの普及(転退院支援)と在宅医療のネットワーク化を進める。診療報酬の改定で3ヶ月過ぎると転院・退院を求められ、適切な受け皿がない、再度悪化した場合の入院先確保、在宅療養への不安などから、患者・家族、相談支援を行うメディカルソーシャルワーカーにとって、大きな悩みとなっている。転院先やリハビリ施設、介護保健施設、在宅支援事業所との連携、情報の共有化などを支援するとともに、幾つかの病院・診療所などが連携して、あらかじめ患者の状態に応じた計画を立て、協力して治療にあたるための地域連携クリティカルパスの普及や在宅医療のネットワーク化を支援する。
・患者・家族の療養生活を支えるため、訪問看護、訪問医療、緩和ケアなど在宅療養に必要な地域の基盤整備を支援する。
○医師の確保
・医師奨学金の拡充する。
都は現在小児科や産科、へき地医療などに3年以上従事した場合に返還免除とする奨学金を実施している。現在の医師不足に鑑み、この対象者を増やしていく。
高額な学費負担ができなくとも、医師の仕事に情熱を持つ多様な人材を確保するために、さらなる拡充を検討する。
・女性医師の就業継続を支援する。
医師不足が顕著と言われている小児科、産科、麻酔科の医師のうち39歳未満の女性医師は、全国で約4割~5割であり、専門医としての修行期間でもある20代から30代にかけて、結婚・出産・子育てにより退職してしまうと、医師不足がより深刻化してしまう。一度退職してしまうと復帰も困難となることから、子育て中の短時間勤務や研究職への配置換えなど、医師として働き続けられる両立支援策が必要。中でも保育所の不足は深刻であり、医師向けの保育所への支援や院内保育所の整備促進、保育手当補助など即効性のある支援策を実施する。
○看護師不足対策
・7:1看護の見直し、調査
国が7:1看護基準を導入したことにより、看護師がこの基準を採用した病院に集中し、多くの中小病院や公立病院で看護師不足が深刻となっている。国に対し、現在の医療水準に見合った看護師の適正な配置基準と診療報酬、そして看護人材育成のあり方の見直しを求めていく。
また、都としても都内医療機関の実態調査を行って東京都特有の実情も踏まえた適切な提案を行っていく。
・短時間勤務など働き方の見直し(眠っている資格者の復帰支援)
看護師は女性が中心の職場だが、夜勤があるなど勤務時間が不規則で、子育てや家庭との両立に困難をきたし続けられない、短時間なら復帰したいが正規職員としては働けないといった課題がある。短時間正職員制度導入など女性が働き続けられるよう取り組む病院への支援を拡充する。
また、一度離職した看護師への復職支援研修については、延長も含めて必要な期間を検討するとともに、勤務先によっても異なる専門性に対応した研修についても支援する。
・看護師の専門性強化、定着支援
医療の高度専門化、医療安全対策の強化、患者の権利意識向上にともない、看護師に求められるスキルも複雑高度化している。新卒看護師の離職率の高さも指摘されており、看護教育の年限延長も含め、医療の進歩に見合った専門教育機会の確保や処遇改善を国に対して求める。
また、男性看護師の参入をより一層進めるよう取り組む。
○全国最悪のがん死亡率の改善
・全がんの死亡率を低下させるため、早期発見、早期治療体制を確立させる。特に低いがん健診の受診率については、目標値を定めて向上させる。
・都民が質の高いがん医療を受けられるよう、がん拠点病院の整備を促進する。
・精度の高い地域がん登録を実施して、がん対策を充実させる。
・女性特有のがん(乳がん・子宮がんなど)への取り組みとして、検診受診率向上に取り組む。術後ケアへの支援(形成)についても検討する。
○糖尿病対策の充実
・流行語となった「メタボ」は、早くも食傷気味の感があるが、栄養過多による内臓脂肪蓄積で発症する人の増加もあって、糖尿病患者は、4年間で250万人増加しており、事態は改善されていない。三大合併症といわれる、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症になると、生活への影響も大きく、人工透析が必要になる原因の一位は糖尿病で、糖尿病による失明者は年間3000人。治療の中断、症状の放置をなくすため、自覚症状の少ない糖尿病の早期治療・継続治療を支援するかかりつけ医制度を推進する。
・糖尿病予防には、肥満解消、食生活の改善、適度な運動、お酒の飲み過ぎ・たばこの吸いすぎに注意する、ストレスをためないなど、生活改善が重要。生活改革応援団を作り、都民の健康作りを支援する。
○新型インフルエンザ対策の推進
・新型インフルエンザを東京に入れないための海外渡航者の発熱モニタリング、帰国後発症者への迅速・的確な対応など、流行阻止対策を徹底する。
・野鳥などからの直接感染や国内他地域での発生などにより、都内で流行しはじめた場合には、迅速に治療薬が行き渡るよう、さらにタミフル・リレンザの備蓄を増強するとともに、病院が診療を続けられるよう、医療関係者や家族の予防服用も含めた薬の確保、防護服の十分な備蓄を進める。
・都民生活に不可欠な社会活動が維持されるよう、都庁と区役所のBCPや民間企業と公共交通機関のBPC策定を進める。さらに、実践的な訓練を実施して、混乱を来さないよう万全に備える。
○安心の小児医療の実現
・小児医療体制拡充(土曜・休日・夜間の小児科診療)
身近な地域に、休日や夜間に診療する医療機関がないため、二次救急に軽症患者が溢れ、医師が疲弊し、救急医療が空洞化している。また、本来の役割である重症患者への対応が遅れる事態も起きかねない。
子どもの発熱などは、元来夜間が多いことに加え、共働きや核家族が増えるなど、家庭の状況が変化していることに対応して、休日・夜間の小児診療を充実させることが必要。休日・夜間に土曜日も含めて都の支援対象とすることで、切れ目のない小児医療支援へと拡充する。
・地域の産科・小児科を増やす(再掲)
厚労省の決めた「病床規制」を産科・小児科は緩和する。病床規制は産科小児科を例外とする通知が出されているが、活用実績は0。(平成21年3月現在)
地域の新規の産科・小児科の開設の環境を作り、地域医療を整備しなければ、益々救急病院に患者が殺到し、病院や勤務医・看護師の疲弊が広がってしまう。産科・小児科など地域で不足する医療機能については、病床規制の例外を活用して積極的な整備を支援する。区市町村が行う地域医療対策への支援を一層充実させる。
・東京小児ER
高度医療(二次・三次救急医療機関)への初期救急機能併設や連携強化で、患者を断らない、重症者を迅速に診る、たらい回しにしない、小児救急医療制度を目指す。特に小さな子どもは容態が急変しやすいため、小児トリアージができる人材育成・配置補助など、小児救急トリアージの普及を支援する。
・小児救急相談電話#8000
現在は、平日の昼間のみ受付だが、他に頼るところがない夜や休日など、病院に行くべきか迷っても対処法がわからないなどのニーズが、より多く見込まれる時間帯にも拡大する。