10月28日、都議会民主党は、都立墨東病院で脳出血により妊婦が亡くなり、8つの病院から救急搬送を断られていた件について、石原知事に対し、要請を行いました。
要請は、大沢昇政策調査会長、増子博樹政策調査会長代行、西岡真一郎政策調査会副会長が行い、都側は、中井敬三東京都病院経営本部長、杉村栄一東京都福祉保健局次長他が対応しました。
要請に対して、中井本部長は、「産科医の確保に努めるとともに、都議会民主党の提案について、早急に検討したい」と述べました。
なお、同日、直嶋正行民主党政調会長にも、都の現状を伝え、国において実現に尽力するよう要請を行いました。
2008年10月28日
東京都知事
石原慎太郎様
都議会民主党
政策調査会長 大 沢 昇
東京都における医療提供体制(とりわけ周産期母子医療)強化について
先日、東京都内の妊婦が救急搬送先が決まるまでに、8つの病院から断られ、墨東病院に搬送、手術によりお子さんは無事生まれたものの、妊婦は数日後に亡くなりました。
都議会民主党は、昨年、奈良で起きた妊婦死亡以来、同じ事が東京でいつ起きてもおかしくないという医療関係者からの悲鳴にも似た指摘を受け、救急・高度医療の立て直しを最優先課題の一つとして議会活動を行い、多くの医療関係者からのヒアリング、視察などを行ってきました。
そして、昨年一年を通じ、崩壊寸前の東京の救急医療現場で、懸命に救命している医師の努力に応えるために、できることはすべてやるのが議会・行政の責務と考えて、東京都に対するさまざまな提案・予算要望取り組んできました。
さらに、本年2月6日には会派内に医療・介護PTを立ち上げ、都内医療機関の調査や検討を行ってきました。
昨日午前、東京都病院経営本部、福祉保健局よりヒアリングを行い、善後策について話し合いを行いました。
医師の産婦人科離れが進む中で、病院・医師には大きな負担がかかっており、与えられた状況の中で医師は最善を尽くしています。問題は、医師不足、産婦人科離れという深刻な事態です。報道が集中している都立墨東病院では、当直できる医師が4人で平日の受け入れ体制を保っており、大変な激務だったことがわかります。そうした中で一度は受け入れを断りながらも、他の病院が受け入れられないと知って、呼び出しまでせざる得ないというのは、かなり厳しい状況だったと受け止めています。
そもそも、こうした事態は、国の医療政策の失敗により生じており、問題の解決には、高度医療・救急医療に対する政策を転換することが必要ですが、百年河清を待つの例えもあるとおり、座して待つ間に、東京の医療は崩壊してしまいます。都議会民主党からの提案・要望事項をお伝えするとともに、全庁をあげての協力体制をとって、早急に実現するよう、改めて強く求めるものです。
都議会民主党として、喫緊に必要と考える事項は、別紙のとおりです。
〈別 紙〉
基本認識
東京都は、人口10万人あたりの一般病院数、一般病床ともに全国38位です。他県からの流入患者をも考慮に入れると、医療資源は人口規模に比べて脆弱な中で、医師の犠牲によりなんとかしのいできたのが実態です。
舛添大臣が先週墨東病院を視察し「こちら(国)の問題もある」等と述べたようですが、厚生労働省は、我々が訴えてきた東京の危機的状況を知らなかったのか、都内の国立災害医療センターでも地域産婦人科のバックアップをやめているといった国立病院の現状を把握していないのか、噴飯物のコメントをしています。
国施策の抜本的強化を求めるとともに、都において、緊急にできることは、どんな小さな事でも早急に実施する必要があります。
実現すべき事項
○中長期的課題
1.勤務医師確保
・まず何よりも国策により高度医療に携わる医師を養成・確保することが前提ですが、離職医師の復帰、研修医の産科転向など、既に養成済みの医師を産科の現場に戻す取り組みを行うこと。
・勤務医師の激務改善のため、労働基準法が遵守できる医師・看護師の配置ができるよう、都独自の支援を行うこと。
2.医療資源増強
・NICU並びに後方病床(GCU)を増やし、その医師・看護師等人員配置についても、都独自の支援を行うこと。
・特に都立病院については、医療環境の整備、休日、研究時間の確保など、スキルアップも仕事として捉え、高度医療に意欲ある医師が集められるような体制を整備すること。
○緊急に実施できる課題
3.周産期母子救急搬送コーディネーター設置
・国による制度化が前提ではありますが、現在、総合母子周産期医療センターを調整役としている搬送先調整は、人員に制約のある医療側に多くを求めることは危険です。救急司令室への周産期母子搬送コーディネーター設置など、転院搬送・救急搬送先の選定の司令塔機能設置を検討すること。
4.最新の情報機器を配備すること
・診療情報については、現場にリアルタイム入力を求めること自体が無理です。周産期を含め、救急診療情報が現場の手間を取らずに、随時更新できる、ICタグなど最新のシステムを導入すること。当面の措置として、更新事務を担う医療知識のある人員を配置できるような支援を早急に実施すること。
5.休日夜間の緊急受け入れ体制強化
・医師養成による人員確保には時間がかかるため、周産期母子医療センターから二次救急医療機関への逆搬送、相互の医師派遣など、連携を行う病院への支援を強化すること。
・こうした連携によっても事態が改善されない場合には、緊急措置として、周産期母子医療センター機能をある程度集約化し、十分な人員体制を徹底できるようにして、個々の医師の負担を軽減し、患者受け入れ態勢を立て直しながら、医師確保を進めることも検討しておく必要があります。
6.救急搬送体制の強化
・救急搬送についても、受け入れ先確定困難、利用増などにより、搬送にかかる時間が延びており、救急隊の増強、救急車の増配備とともに低体重児に対応できる設備を増やすことが必要です。
{人口10万人あたり2.47台(平成7年の1.27倍)、人口千人あたり出場件数56.3件(平成7年の1.46倍)}
7.救急搬送事案の事後検証
・人手不足-患者受け入れ困難-事態切迫-救急との意思疎通に課題-さらに受け入れをためらう-たらい回し、という悪循環に陥る危険もあります。
なぜ受け入れられなかったか、その時のやりとりや実際の状況を事後的に確認して、課題と対策を検討し、対策を実施すること。