
東京都議会海外調査報告
(平成22年2月24日)
都議会民主党調査団 馬場 裕子
平成二十二年一月三十一日から二月九日まで、都議会民主党は、馬場裕子、大津浩子、大西さとる、岡田眞理子、興津秀憲の五名で海外調査を行いました。
訪問先はロンドン、ヘルシンキ、コペンハーゲン等で、教育を中心に、交通、消費者施策など、充実した調査、視察をしてまいりました。
団員五名が同じ研修や経験ができましたことは、五倍の知識と感性を養うことができたと深く感謝しております。詳細は、後日、報告書として提出をさせていただきます。
まず、フィンランドでは、教員養成大学として有名なユバスキュラ大学、附属小中高校、そして一般の総合学校、教育研究所などを訪問し、PISAにおけるすぐれた結果の理由を検証してまいりました。
その一つは、教員養成の充実です。教員は、大学修士課程修了が条件であり、中でも大学一年生から始める教育実習に多くの時間がかけられておりました。
二つ目は、子ども一人一人のニーズに対応した教育です。支援を必要とする子どもには、サポートする大人が必ずつくといった人的支援が確立されております。
三つ目は、子どもの学習のつまずきに即対応していることです。わからない、できない子どもには、学習が定着するまで教えることが当然として行われており、インクルーシブ教育が実践されていると確信させられました。どの学校も授業中の私語がなく、子どもたちが集中している様子から、この国の教育レベルの高さが認識できました。
デンマークの教育の特徴は、平等と公正の理念に基づいていることでした。
教会立の私立校や公立幼稚園・小学校と託児所、障害児施設を視察してまいりました。障害の有無にかかわらず、どの子も平等に学習する権利があることが根づいておりました。自分の進む道は自分で決めるという、自分の能力に合った教育や職業を選ぶ観点を持って成長し、進学率は、普通高校と職業学校の割合が五〇対五〇であるとのことでした。
職業教育の高さはフィンランドでもデンマークでも同様ですが、ほかにも両国に共通していることでは、九年間の一貫教育カリキュラムと六歳の子どもたちへの就学前教育、プリスクールの充実でした。我が国も、縦割りの教育行政から個の発達を連携して支える仕組みへの変革が急がれます。
イギリスでは、公立学校と、歴史と伝統を誇る私立全寮制男子校、ハロウ校を訪問いたしました。
両校に共通していた点は、世界に目を向けた積極的で特徴のある教育観でした。イギリスならではと感じました。今後、都立高校との留学生交換など学校間交流が進むよう、支援してまいります。
次に、ロンドン及びコペンハーゲンで交通政策調査をいたしました。
以前は、双方とも中世のまち並みのため、道路拡幅が望めない状況にあり、市内中心部の交通渋滞の解消が大きな課題でありました。そこで、ロンドンは渋滞課金制度を導入し、バス路線の充実などにより、市内中心部に自家用車の流入規制を実施しました。
一方、コペンハーゲンでは、自転車専用道路の整備など、自動車から自転車に乗りかえることを市民が選択するような施策を採用いたしました。
さらに、新しくメトロを建設するといった公共交通の充実政策を同時に実施したこと、粘り強く市民への協力を訴えたことなどが成功の秘訣であったと感じられました。
視察中は、三十年ぶりの積雪とのことでしたが、車道よりも自転車道を先に整備するという方針のおかげで、皆、何事もない様子で自転車をこいでおられました。大都会東京の交通政策、自動車利用からの脱却を進める、大胆できめ細かな施策が必要であると痛感いたしました。
最後に、消費者行政については、十三世紀から消費者行政の歴史を有する英国の技能省BIS、リッチモンド区等を訪問いたしました。
技能省は、不正取引からの消費者保護を基本原則として、年末から二年間、新パイロット事業を開始するとのことでした。これは消費者権利に基づき、行政機関が消費者と企業の間に入り自発的賠償金を促して、法廷を通さずに和解に導く実験事業です。ヨーロッパ思想には、消費生活ではすべてに公正、安全性が、教育では平等に同レベル教育を受けられる公平性が根底に流れていることが、よくわかりました。
朝九時になってもまだ薄暗い、そんな北欧の国々の中で、早朝六時十五分から始まる保育園や、夕食は必ずといってもいいほど家族で一緒にする、読み聞かせをする父親、社会全体で子育てをしている姿、生活スタイルそのものの選択に、国民相互の安全・安心への支え合いと信頼感を強く感じました。
訪問先すべての方々が、私たちの訪問を真摯に受けとめ、熱心に答えようとしてくださったことに深く感謝し、学ぶことが世界を広げる、そうした教育に参画していくことを心に誓いながら帰路につきました。
今回の視察を通しまして、さまざまな方々からご厚意を賜りました。この場をおかりして心より御礼を申し上げ、海外調査報告とさせていただきます。
ありがとうございました。