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海外調査報告

調査報告(議会)=平成19年12月4日

原田 大(北区)

 

 

 

東京都議会海外調査報告
(平成19年12月4日)

 

 

 都議会民主党調査団  原田 大

 

 

 

 

 

 

 平成十九年度都議会海外調査団の報告をいたします。
 都議会民主党の中村明彦議員を団長に、酒井大史議員、石毛しげる議員、そして私、原田大の四名は、去る十月七日から十月十六日までの十日間、北欧諸国を中心とするヨーロッパを訪問し、政策調査を行いました。
 今回の調査では、東京の持続可能な発展に欠かせない三つのテーマを選定いたしました。第一に、温暖化等の環境問題に配慮した新エネルギー政策、第二に、ITを活用した高付加価値産業育成、そして第三に、水辺空間の豊かさを生かした都市空間形成であります。
 この調査目的を達するため、デンマーク領グリーンランドのカンゲルルススアーク市、アイスランドのレイキャビク市、フィンランドのヴァンター市、スウェーデンのストックホルム市、ベルギーのブルージュ市を訪問いたしました。

 以下、各テーマに沿ってご報告いたします。
 まず、温暖化等の環境問題に配慮した新エネルギー政策の調査であります。
 今回は、グリーンランドで温暖化の影響等の調査を、レイキャビク市で水素・燃料電池を利用した新エネルギー政策等の調査を行いました。
 まず、グリーンランドでは、入り口となるカンゲルルススアーク市から車で二時間の内陸氷河まで行き、見渡す限りの壮大な氷の大地に圧倒されました。しかし、この永遠に見える白い大地でも、以前は雪しか降らなかったところで雨が降り、寒冷な気候に適応した生態系、そして生活体系が温暖化によって脅かされています。さらに、一度白い氷が解けて黒い岩肌が露出してしまうと、太陽熱を吸収しやすくなり、氷の融解が加速度的に起こってしまうとのことで、早期の取り組みの重要性が指摘をされました。

 次に、アイスランドのレイキャビク市に行き、当地のエネルギー政策を視察してまいりました。
 アイスランドでは、現在、地熱と水力でエネルギー需要の約七割を賄っています。残りの三割は石油の輸入に頼っていますが、この石油の大部分は、自動車及び漁船の燃料として使われております。したがって、これを燃料電池で代替できれば、地熱発電の安価な電力を利用して水素は安価に手に入るので、エネルギー自給率を一〇〇%近くにできるという野心的な取り組みをしております。
 我々は、新エネルギープロジェクトに取り組むINE社を訪問し、水素バスや水素自動車の導入プロジェクト等について視察を行うとともに、意見交換を行いました。また、建設中の地熱発電所を訪問し、地熱利用の実態調査を行いました。
 アイスランドと状況の異なる東京で、アイスランドのエネルギー政策をそのまま適用することはできませんが、東京でも、東京の事情に応じたエネルギーシステムの構築が必要だと実感をいたしました。

 次に、ITを活用した高付加価値産業育成政策を視察するため、フィンランドのヴァンター市及びスウェーデンのストックホルム市を訪問いたしました。
 ヴァンター市のIT戦略計画で注目すべきは、フィンランド政府や他市と連携した計画づくりを行う方向へと進んでいることです。例えば、さまざまな電子行政サービスのかぎとなるシティーカードの開発も、国内四市で連携して取り組んでおりました。また、セキュリティーと利用者の利便性確保などについて、東京都でも参考にすべき点がありました。
 スウェーデンのストックホルム市では、ストックホルム市の区の一つであるシスタが、周辺三市と連携して、シスタ・サイエンスシティーを開発、IT企業を中心としたまちづくりを進めています。各市が連携を始めて国と交渉し、インフラ整備等を進めた上、IT産業のクリーンであるという特徴を生かして、職・住・商業の近接したまちづくりがなされていました。
 この北欧のシリコンバレーともいわれるシスタ・サイエンスシティーが、世界のITを牽引しているのみならず、域内の雇用や住宅需要の喚起にも貢献していることは注目に値します。
 東京都においても、「十年後の東京」の中で多摩シリコンバレーをうたっていますが、ストックホルム市の例に倣い、具体的な計画性を持って都が主体的に取り組む必要性を強く感じたところであります。

 最後に、水辺空間の豊かさを生かした都市空間形成の調査のため、ベルギーのブルージュを訪問いたしました。
 世界遺産にも指定されているブルージュは、外壁の建てかえを厳しく制限して、中世の美しい街並みを残しています。視察では、こうした街並みの維持や修復などの問題点、旧市街への自動車の乗り入れを制限するパーク・アンド・ライド、駅からのシャトルバス運行、市中の通り抜けを不可能にするループ式一方通行、観光バスを含む大型バス乗り入れ規制の実施などについて見てまいりました。
 自動車の制限をする一方、水路が観光に活用されてもおりました。まちの美観では、ネオンや看板といった広告等の制限が挙げられます。また、夜間のライトアップといった、歴史や文化を生かす演出もありました。
 これからの東京の発展を考えた場合、経済的な繁栄を維持しつつも、自然環境に配慮し、また、都市を人間性あふれるものにすることが必要です。今回の視察結果を、東京の発展のための政策提言につなげていきたいと思います。
 なお、詳細につきましては、後日、報告書を取りまとめ、ご報告したいと思います。