
改正貸金業法の成立後、政府は多重債務者対策本部を設置し、多重債務相談窓口の拡充、セーフティネット貸付けの充実、ヤミ金融の撲滅、金融経済教育の強化などを柱とする「多重債務問題改善プログラム」を策定した。そして、官民が連携してこれらの対策に取り組んできた結果、多重債務者や自己破産者が大幅に減少するなど、着実に成果を上げつつある。
ところが、その一方、消費者金融の成約率の低下で借りたい人が借りられなくなっていることや、特に昨今の経済危機や一部商工ローン業者の倒産などによって、資金調達が制限された中小事業者の倒産が増加していることなどを殊更に強調して、改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制緩和を求める論調がある。
しかし、1990年代のいわゆるバブル崩壊後の経済危機の際には、貸金業者に対する不十分な規制の下に商工ローンや消費者金融が大幅に貸付けを増加した結果、平成10年には自殺者が3万人を超え、自己破産者も10万人を突破するなど多重債務問題が深刻化することとなった。
改正貸金業法の完全施行の先延ばしや、貸金業者に対する規制緩和は、自殺者や自己破産者、多重債務者の急増を再び招きかねず、許されるべきものではない。
よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、地方消費者行政の充実及び多重債務問題の解決が喫緊の課題であることを踏まえ、次の事項を実現するよう強く要請する。
1 改正貸金業法を早期に完全施行すること。
2 地方自治体における多重債務相談体制の整備のため、相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実に向けた支援を行うこと。
3 個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付けを更に充実させること。
4 ヤミ金融を徹底的に摘発すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年12月 日
東京都議会議長 田 中 良
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣、国家公安委員会委員長、
金融担当大臣、消費者及び食品安全担当大臣 あて