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「2003東京都知事選挙に向けて(素案)」
平成15(2003)年2月17日
*本素案は、民主党東京都連常任幹事会に提出した「2003東京都知事選挙に向けて(素案)」に「重点政策」を加筆したものです。
- 基本的な姿勢
- めざすべき東京像
- 実現に向けての方法論
- 重点政策
1.基本的な姿勢
石原知事は、その強力なリーダーシップを持って、東京再生やディーゼル車規制では国をも動かし、中小企業の債券市場を創造するなど数々の実績を上げ、東京都職員も福祉・医療・教育・住宅などの各分野でその優秀さを都民に示してきました。この4年間に植えられてきた所謂「政策の苗」は並の知事の8年分にも匹敵するものです。
しかし、それらの「苗」は今がんばれば将来が拓かれるという体系制、計画性に欠けたもので、その手法も密室・トップダウンという旧来の統治者型のものです。
私たちは、優秀な都職員を闘う集団に変え、都民との協働による総合力で東京を再生し、この国を変えていきたいと考えています。
これまで我が国は、数多くの難局にさいして中央政府が主導的な役割を果たしてきました。しかし現在、直面するデフレ経済に対して、政府の打ち出すマクロ政策はことごとく失敗し、未曾有の経済危機に瀕しています。また、教育問題や青少年育成問題などの深刻化する社会問題についても有効な対応策が打ちきれていない状況にあります。
本質的な理由の一つは、全国一律の政策の多くが効果を失ってしまったことです。成熟社会を迎え、たとえ同じ問題であっても、その質は地域ごとに大きく異なり、問題解決に活用できる地域資源が全く異なります。一方、地方自治体が中央政府の出先機関として従属することに甘んじて、主体的に地域問題を自覚し、積極的に問題解決しようとする意欲を地方自治体自身が失っていることも大きな理由です。
このように今後は、外交や防衛など一部を除いたあらゆる政策を、地域が主体的に展開することが不可欠です。そのため、私たちは都政の仕組みを根底から大胆に見直すことで、地域の主体的な取り組みを進めます。同時に、知事以下、各部署や職員が、自らリスクをとって問題解決にあたる意識改革を進め、闘う集団として都市経営を進めます。
*都政の仕組みを根底から大胆に見直す=分権・道州制・市町村合併・NPO/NGO
また、多くの国民や企業自身も、現在の経済的・社会的な危機を突破する力を失っています。戦後、瓦礫の下から奇跡の復活再生を遂げた国民や企業も、成熟社会の下で中央政府やお上(カリスマ的首長)など大きな船に乗ることで安心と安全を与えてもらうことに慣れてしまいました。自分自身がリスクを覚悟して問題解決にあたり、道を切り拓いていくという気概を失った結果、国全体としての危機突破力が大幅に低下しています。同時に多くの国民や企業は、政治への関心を全く失ってしまいました。政治とは本来、関係者が参加するなかで問題解決する枠組みであったにもかかわらず、政治が局所的な利益誘導を繰り返す中で、政治は真の問題解決力を失ってしまいました。
そこで、私たちは都民に改めて真の参政を促します。この難局を乗り切るのは、知事でも都議会議員でもなく都民一人一人である、という自発性や自己決定の重要さを都民と共有しながら、都民の自覚のもとに「公」のあり方、自治のあり方を抜本的に問い直し、これまで経験のない真の民主主義の確立を目指していきます。
さらに、「百年の計」で都市づくりを進めることです。都市(まち)づくりは、われわれ現世代だけで完成できるものではありません。今年は江戸開府400年の節目の年にあたることからも、江戸・東京の知恵と継承資産を大切にしながらも、後世代に至るまで持続的成長が可能な安心で安全な都市に造りあげていく必要があります。
まずは、これまで取り残されてきた緊急性の高い都市問題に着手します。また、都市の美しさや秩序は、そこに住む人々の「公意識」の現れであるという考え方があります。私たちは、こうした都市問題を都民参政によって一つひとつ解決するなかで、新しい「公意識」を醸成し、次世代に誇ることのできる、「百年の計」の都市づくりの第一歩を踏み出していきます。
* これまで取り残されてきた緊急性の高い都市問題=木造住宅密集地域等
| @ 「地域主体」の仕組みづくりと闘う都庁 |
| A 「都民参政」による真の民主主義の確立 |
| B 「百年の計」で進める都市づくり |
【参考】@は「国と地方」、Aは「行政(政治)と住民」、Bは「現世代と後世代」を論点にした主張となっています。
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2.めざすべき東京像
めざすべき東京像は、極めてシンプルです。
一つは生活快適都市としての目標像です。都民一人ひとりにとって常に安心で安全、良好な環境に恵まれた生活舞台であり続けることです。これは生活者の視点にたって初めて像を結ぶ東京像です。
もう一つは産業経済都市としての目標像です。企業やこれから起業する人々にとって最も活動しやすく、チャンスや刺激の多い魅力ある場であり続けることです。これは、世界市場や国際的評価の視点が不可欠です。
最後は、世界でも有数の歴史文化都市として、また首都としての目標像です。様々な分野で国内的に、また対外的に我が国の「顔」となることです。これは、アイデンティティとは何かという視点が重要になります。
この三つの都市像は、東京にとってどれも欠くことのできない目標です。これら三つの都市像が相まって21世紀の東京を築いていきます。私たちは、この中でも生活快適都市の創造を中軸に据えて、産業経済都市、歴史文化都市とのバランスを図りながら、百年の計の東京づくりに着手します。
| @ 安心・安全、良好な環境の生活舞台(生活快適都市) |
| A アジアの産業中枢都市(産業経済都市) |
| B 我が国の「顔」 (歴史文化都市) |

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3.実現に向けての方法論
■最後の都知事として
都民生活や都内企業活動は、東京都内にとどまることなく広範囲にわたっており、また、東京の魅力は行政域とは関わりなく、都市の空間的なまとまりの中で生まれています。例えば、環境問題や交通・物流問題は都域を超えた広域的な取り組みが不可欠であり、一方で、福祉や医療、青少年育成問題、まちづくりなど身近な問題は都域で取り組むには大きすぎます。
こうしたことから、行政単位の抜本的な見直しを行います。まず、4年後を目途に千葉・埼玉・神奈川・東京の1都3県合体の合意を図り、首都圏を単位とした道州制へ移行するべく全力をあげます。道州制は、東京都だけで実現できるものではありませんが、国や周辺自治体を初めとした関係諸機関に積極的な働きかけを行います。また、私たちは道州制の導入と同時に、道と基礎的自治体(市町村)との関係を全面的に見直し、できる限り域内分権を進めるとともに、基礎的自治体の統合・合併を進めます。
■徴税権や通貨発行権による自立経済圏の確立
自立的な経済圏を確立することは、域内で生まれた利潤を他地域に逃がすことなく域内に帰着させ、また国内外の他経済圏の悪影響を受けにくく、さらに域内の潜在的な需要を掘り起こすなどの効果があります。
東京を含む首都圏が自立経済圏を形成するために、新しいものづくり産業など独自の産業振興を進めます。また、独自通貨が発行できるよう国が独占している通貨高権(通貨発行権)の分権化についても検討します。主体的な行政サービスを確保するため、これまで課税自主権の行使などによる自主財源の確立が検討されてきました。私たちは更に真の地方主権を目指し、徴税権や通貨高権の分権化についてもタブー視することなく検討を進めます。
*徴税権の分権化=税務署(国)・都税事務所・区市町村税務課の統合
■都民参政による真の民主主義
今後は、全国の統一性と公平性を過度に重視してきた旧来の中央政府主導の行政システムから、身の回りの課題を地域が自己解決・自己決定していく行政システムへと変えていく必要があります。この際、最も重要なことは、都民の都政・行政への参加と、都民の責任ある主体的な行動です。
これまでの中央集権型社会では、権限も財源も中央に集中していたため、政治・行政も個人も、中央から利益を誘導し、還元することに陥りがちでした。しかし今後は、政治・行政を都民全体の利益や次世代の利益を考えながら調整する手段と捉え、政治・行政の主役である都民自らがその一端を担っていくことが重要です。
このように、私たちは、政治・行政に参加する都民一人ひとりが常に「公」との関係を考えられるように、情報公開や対等・双方向の情報交流を進め、行政サービスの一部を積極的に開放するとともに、議会改革を進める都議会との連携を図りながら新しい政治参加ルートを創っていきます。
■小さな都庁
東京都の財政状況は、これまで財政改革を進めてきたにもかかわらず、経済情勢の悪化などが手伝い、依然として危機的な状況にあります。このままでは、財政再建団体へ転落し、必要最低限の行政サービスすら満足に提供できない事態にも陥りかねません。
今後は、民間企業が進めるリストラ以上の厳しさで財政改革を進めることは勿論ですが、それだけでなく行財政改革の大目標として「小さな都庁(政府)」を掲げます。これまでの小さな政府論は、行政(官)と企業(民)の役割分担を見直すことにより、多くの行政サービス等を民間(市場)に委ねるというものでした。しかし、ここでの小さな都庁(政府)とは、行政(官)と企業(民)だけでなく、NPOやNGOなどの市民及び市民団体(共)が行政サービスの担い手になることで、行政の役割を限定的にするというものです。
このため、私たちは、公共事業の官民リスク分担などの企業(民)への移譲だけでなく、多くの市民団体等がマネジメント能力も含めて行政サービスの担い手になりうるように、その成長を応援していきます。
*間接部門(都庁本体)を縮小し、現場の都民サービス部門を企業やNPO・NGOとの連携・競争によって充実する。

■次の百年のためにストック都市づくり
東京は、戦後、瓦礫の下から立ち上がり、半世紀の間に世界都市といわれるほどの巨大都市に成長しました。ところが、江戸・東京の原点であり歴史の象徴である「日本橋」は高速道路の下に封印されているなど、これまではフロー(使い捨て・消費)型都市として歴史や文化を破壊してきました。今後は、ストック(使い回し・蓄積)型で、風の道、緑の道、光の道、時の道などをよみがえらせ自然や堆積した歴史との対話を重視するとともに、持続的成長が可能な都市へと質的に大転換を図る必要があります。
私たちは、都市づくりは一朝一夕でできるものではなく、世代の間をリレーしながら創り上げる「百年の計」であると考えています。私たちは、次世代に誇ることのできる都市づくりに着手します。
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4.重点政策
【行政】
■ 行政改革:ABC制度の導入
東京都は現在、これまでの財政再建の取り組みにもかかわらず、今後5年間で総額1兆2,400億円の財源不足が見込まれ、再び財政再建団体への転落が危惧されています。財政状況は組織体の健全性を示すバロメーターであり、財政状況悪化の背景には、組織の機能不全があるといえます。東京都並びに各区市町村とともに引き続き徹底した内部努力や施策の見直し・再構築、組織改革などを進めていきます。
一方で、複雑化・多様化する都民のニーズに的確に応えるため、強くしなやかな行政体質を構築します。まず、業務プロセス等を見直すとともに、「機能するバランスシート」やABC(Activity Based Costing・活動基準原価計算)など新しい会計制度・行政評価制度を導入していきます。
注)ABC(Activity Based Costing・活動基準原価計算)
自治体会計に、行政の非効率な個所を都民に明らかにして業務の改善を図る新しい会計制度。ABCは単なるコスト分析ではなく、コストと効果で行政サービスを整理し、業務フローの中でコストを可視化するもので、政策の内容や方法、負担の是非を議論しやすい手法です。例えば、保育行政にABCを導入することで、0歳児保育における保育児一人あたりのコスト(1千万円の自治体もある!)が算出可能となり、都民とともに保育行政のあり方を考える材料となります。
■ 議会改革:新しい議会の役割
議会は、議案提出権、議案を審議・可決する議決機能や、行政の監視機能、請願・陳情の審査機能などを持っています。今後はこれらの機能に加えて、議会からの情報公開を進めるとともに、インターネットなども活用した都民や市民団体との連携による政策形成など、都民の政治参加の選択肢を開拓していきます。
具体的には、都民の請願・陳情を単に審査するだけでなく、議会自らが政策形成シンクタンクとなり、都民やNPO等の意見を吸い上げ政策形成を行います。また、予算を伴う自治体議会の条例提案には首長との事前協議が必要ですが、理念条例で行政の方向づけを行うなど様々な工夫を講じます。
【生活】
■ 労働雇用:安定と生甲斐を創出する雇用環境
現在、在宅勤務やワークシェアリング、パートタイム、派遣など、多様な働き方が生まれています。個人が主体的に働き方を選択できる労働環境を整備するとともに、安心して働ける条件整備や職場づくり等の施策を推進します。また、若年者から中高年に至るまで、年齢や性別にかかわりなく能力を発揮しながら多様な働き方のできる社会を作り上げます。そのため、早期離転職を繰り返す若年者に対しては、再就職支援対策の実施や「トライアル就業制度」を創設すなど、きめ細かい施策を実施します。
また、デフレ経済下、雇用情勢が厳しさを増す中で、雇用の安定を図るため、雇用面のセーフティネットを整備したり、臨時応急の雇用・就業機会の創出、失業なき労働移動の支援、景気循環に対応した雇用の維持・安定対策を推進します。
■ 人権:個の尊重と男女共同参加社会の実現
自立した個人が、尊重しあい、支援しあう社会を実現するため、人権侵害に対する直接的な救済・保護、人権問題に対する支援・助成活動を推進します。
また、女性の社会進出が進展している東京都の特徴をふまえ、育児や介護との両立支援や女性の起業家支援など、主体的かつ多様な生き方を支援し、社会での活躍の場面を広げます。男女がともに能力を発揮する機会及び待遇が得られる社会の実現を推進します。
さらに、情報社会の進展に伴い、個人情報の保護やネットワーク上での人権侵害など、新たな問題が発生しています。こうした新たな問題に積極的に対処し、個人情報の保護など、都民の安心、安全の確保に配慮しながら、新たなネットワーク社会の形成を進めます
■ 消費:安全な食生活、快適な消費生活
安全な食生活を確保し、都民への的確な情報提供、消費者等との情報交換(リスクコミュニケーション)を活性化させるため、食品安全委員会等を設置し、食品の安全確保策を講じるとともに、調査・研究体制を充実し、消費者への情報発信を積極的に実施します。また、農場での飼・肥料・農薬から、輸送、そして加工過程での全添加物、食卓まで安全のチェーンが途切れることのないよう、全情報を公開していきます。
さらに、電子商取引等の新たな消費スタイルに対応した消費者被害の防止対策を講じるため、電子商取引の各段階に関する「消費者保護ガイドライン」を作成します。
加えて消費者オンブズマン制度を設け、消費者の権利擁護の体制を整備します。
【教育】
■ 生涯学習:多様な学習機会
現在、学校教育期間のみならず、一人ひとりの生涯を通じて、あらゆる機会において展開される多様な学習活動を展開していくことが求められています。
こうした要請に対応するため、大学をはじめとする各種施設における公開講座の拡充や、学校の空き教室等を活用し、地域社会における学びの場を創設するなど、生涯を通じた多様な学習活動を支援していきます。
■ 自立教育:自立・自律を支援する
18歳までに自立した個人となることを前提として「生きる力」を身につけるとともに、親をはじめ大人が責任をもって、家庭・学校・地域社会などの社会全体で、基本的な生活習慣と社会生活の最低限のルールをしっかり教え伝える社会を作ります。
これまでの暗記型の学習から、問題発見・問題解決型の学習へ転換していくため、総合的な学習の時間を活用するとともに、学校間・教員間の情報共有の推進、先進事例の紹介、具体的な実践方法の紹介などを行う「教育キャラバン」を展開します。
また、地域等が学校経営を支える新しい公立学校である、コミュニティ・スクールを全国に先駆けて展開していきます。
■ 学校教育:多様で質の高い教育環境の実現
現在の新学習指導要領は、ゆとり教育を重視する一方で、学習内容・時間が削減され、基礎的学力の低下を招くとの指摘もなされています。そこで、考える力の基礎となる基礎的・基本的学力を定着させるとともに、地域の人材や産業を活かしたカリキュラムの創設や、総合学科や単位制など新しいタイプの高校設置、新たな教育システムの導入、全員一斉授業の改善や、中高一貫校やトライアルスクール等特色あるタイプの学校の創設など、学力や個性を伸ばす、多様で質の高い教育環境の実現をめざします。
一方、いじめや不登校、家庭環境の問題などに対して、スクールカウンセラーの配置やアドバイザリースタッフの派遣など、専門家による相談体制を推進するとともに、ADHDなど集団教育になじまない子に対し、少人数指導などできめ細かい指導を尽くします。
■ 学校づくり:開かれた学校づくり
大都市の特徴である地域コミュニティの崩壊・弱体化を視野に入れつつ、学校・家庭・地域の連携を強化し、開かれた学校づくりを推進します。そのため、学校の空き教室等を活用し、子どもたちに地域の皆が教えあうことにより世代間の交流を図ったり、多世代がともに学ぶ生涯学習の拠点づくりを推進します。行政及び家庭、地域全体で、ソフト・ハードの様々な支援体制を構築していきます。
また、地域等が学校経営を支える新しい公立学校として、コミュニティ・スクールを全国に先駆けて展開していきます。
【福祉】
■ 福祉社会:ユニバーサルデザイン社会づくり
特定の対象者を想定し、その人にとって障壁となっているものを取り除くバリアフリーの考え方を一歩進めて、はじめからすべての人にとって使いやすく、すべての人が安心して暮らせるユニバーサルデザインの考え方に基づいた社会づくりを推進します。
まず、ユニバーサルデザインの考え方に基づいて公共施設をはじめとする各種施設の整備・運営のあり方を見直し、新たな施設の整備については、当初からユニバーサルデザインの考え方を反映させます。既存施設については、バリアとなっているものを取り除くバリアフリー化を推進します。また、家庭における住宅改造など、住環境のバリアフリー化も、生活環境の向上という点で重要であり、これらの促進・支援を進めます。
さらに、高度情報化の進展に伴い、デジタル・デバイドが生じないように、あらゆる人にとって使いやすいITのユニバーサルデザイン化を推進します。
■ 高齢者福祉:元気高齢者の生甲斐づくり
生涯にわたる健康づくりを総合的に推進することで、寝たきりなどの要介護状態などにならないように予防を重視する政策にシフトさせます。また、高齢期においても活動的で年齢にとらわれずに多様なライフスタイルを実践したいとする人に対して、積極的な社会参加を促進します。
ホームヘルプ・デイサービス・ショートステイなどの在宅介護支援サービス基盤の充実化を推進すると同時に、特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護関連施設の整備を進めます。また、施設介護については、家庭と入所施設の中間的性格をもつケアハウス、グループホームなどのケア・リビングを拡充します。このように、要介護高齢者の需要に応じ、良質な介護サービス基盤の整備を推進します。
■ 障害者福祉:障害者の自己実現
障害をもつ人も、もたない人も、ともに住み慣れた地域で生活していく「ノーマライゼーション」を基本理念とした施策を充実させます。特に、リハビリテーションの推進に力を入れ、一人ひとりの個性や能力を見極めて障害の種類や程度にあったきめ細かなサポートを行うとともに、脱施設・自立生活を促進するための環境を身近に整備することで、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を高めていきます。
■ 子育て:都市型ニーズに応じた子育てサービス
子どもを安心して生み育てられ、女性も男性も多様な働き方ができるよう、質の高い多様な子育てサービスを充実させます。
まず、ファミリー・サポート・センターを拡充するとともに、良質なベビーシッターの紹介や保育ママの支援など、地域における家族支援サービスを充実します。また、民間資源の活用や公的施設の弾力的な運営によって、急な保育ニーズ等に対応できる子育てサービスを確保します。さらに、サービスや施設の評価などを提供する子育て支援ネットワークを構築します。加えて、都会で孤立しがちな子育て家庭を支援するため、特に子育てサークルや子育て相談などの施策を充実させます。
■ 医療:患者中心の開かれた医療
すべての人が24時間安心できる医療の実現のため、どの病院のどの医師からでも安心して医療を受けられ、スタッフ間の情報の共有化と患者参加を可能とする「クリティカル・パス(医療の標準化)」の導入を進めます。また、診療情報の開示やインフォームド・コンセントの推進、根拠に基づく医療(EBM:Evidence-based
Medicine)、患者が他の医師に意見(セカンドオピニオン)を求めることができるシステムの整備、医療ケースワーカーの設置を推進します。さらに、「医療事故防止指針」の作成や医療事故等のデータベース化などリスクマネジメントを推進します。加えて、身近な医師(ゲートキーパー医)としての「家庭医」制度を創設します。
【環境】
■ 2つの温暖化対策(地球温暖化、ヒートアイランド)
我々は、地球温暖化とヒートアイランドという2つの温暖化の危機に直面しています。
地球温暖化対策としては、6%以上の温室効果ガス排出削減目標を具体的に掲げ、国に先駆けた温室効果ガスの排出削減に貢献していきます。
一方、ヒートアイランド現象を解決するために、アスファルトやコンクリートで覆われた地面や建築物を見直し、緑地や水面の蒸散効果を回復する被覆対策、増え続けるオフィスや、工場、自動車等からの人口排熱の抑制を目指す省エネルギー対策を推進します。さらに、都市レベルの視点から建築物の配置や高さ、形状を工夫して、風の道に配慮した都市づくりを目指していきます。
■ 廃棄物:ゴミを資源とした循環型社会
生産から流通、消費、廃棄に至る社会経済システムを見直し、廃棄物を資源として再利用する新たな循環型社会を創出していきます。
生産から廃棄に至るトータルプロセスを鑑みて、環境への影響を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)を積極的に推進し、客観的な評価に基づいた適切な対策を選択していきます。また、環境にやさしいだけでなく経済性も考慮し、コスト競争力を持った商品やサービスの開発を積極的に進めていきます。さらに、国と連携をとりながら、環境技術が集積している東京で、独自の全国に先駆けた高度な機能を要する循環型システムを構築し、社会を牽引する役割を担っていきます。
■ 自然環境:水・緑・風をよみがえらせる
東京都では1973〜98年の約25年間に、山手線の内側に匹敵する緑が失われています。自分たちだけではなく将来世代の健康や安全を確保するためにも、改めて自然林や里山などの東京に残されている身近な自然を見直し、残された貴重な自然を保全、再生し、自然との適切な関係を構築していきます。
この際、緑や水などのあらゆる要素を一体的に捉えて自然を保全し、再生させます。そのため、これまで都市、上・下水道、治水、環境など様々な分野ごとに進められてきた環境施策を総合化、一元化して、従来から残された自然や、現在はバランスを崩しながらも維持されている河川などを軸としながら、水と緑のネットワークの形成を進めていきます。
■ 環境行動:都民の自発的な環境への取り組み
環境負荷を削減し、持続的な社会システムを実現するためには、行政だけではなく、むしろ事業者や都民、NPOなどが主体的に行動することが重要です。そのため、東京都や区市町村が、インターネット等を活用した環境情報の提供を推進し、環境会計の導入やグリーン購入の拡大などについて率先して取り組むことで、多様な人々が参加できるしくみを構築するとともに、NPO等の横のつながりをサポートします。
また、将来を担う子供たちに、環境に対する興味をもち理解を深めてもらうため、環境教育を積極的に進め、潜在的なプレイヤーを育成していきます。また、子供だけでなく、大人も環境に触れ親しみ、徐々に関わりを強めていけるような環境学習の機会を提供し、環境に対する理解を深め、目的意識を持って行動するプレイヤーを増やしていきます。
【産業】
■ 人財育成:産業を活かす「人財」づくり
我が国がこれまで産業経済において高い競争力を有してきたのは、高度な知識や技術・技能を有し、有能で勤勉な人材を多く抱え、活かしてきたことが最大の要因と言えます。地域にとって、人材はまさに「人財」という名の財産です。今後、東京の産業を活性化させるためには、こうした「人財」が育ち、活かす環境が何より必要です。一方で、雇用の流動性が高まり、失業率が高まる中で、中高年層の転職・再就職を促進するためにもこうした環境作りは必要となっています。
このため、民間企業のニーズに対応できる教育カリキュラムの拡充や、高度熟練技能者の技能を若年技能者に継承するための取り組み、社会人が自らの専門性や技能を高めるための生涯学習活動支援などを進めることで、あらゆる側面から東京の産業を担う「人財」づくりを積極的に推進します。
■ 中小企業:中小企業の自立促進
中小企業自らの競争力を高め、自立した経営を可能とするための取り組みを支援する観点から、業種ごとの産業政策の中で中小企業を支援するとともに、資金調達の円滑化や起業・創業支援、人材育成などの中小企業対策を推進します。また、資本・債券市場を整備するとともに、物的担保によらない技術力や将来性などを評価する制度融資の拡大、無担保・無保証の融資制度の拡充など、中小企業にとって利用しやすく、真の自立支援につながる資金調達支援策を推進します。さらに、起業・創業の意欲を持つ誰もが起業家としてチャレンジできるよう、企業の立ち上げ段階の環境を整備するとともに、ベンチャー企業の成長段階に応じて、技術・人材・ソフト面などの総合的な支援を行います。
■ ものづくり:ソフトを含むものづくり産業
これからの東京のものづくり産業は、労働集約型や資本集約型ではなく、知識集約型産業として競争力を維持していく必要があります。ハードのものづくり産業である製造業においては、技術開発の促進、知的財産権の強化、マーケティング力の強化、資金調達の円滑化などを通じ、総合的に「町工場」の競争力強化を支援していきます。
一方、東京においては、渋谷のビットバレーや杉並のアニメタウンをはじめ、IT関連やアニメ・ゲームソフトの制作など「ソフトなものづくり」が急成長を遂げています。こうしたソフトのものづくり産業も重要な産業の1つとして、都市基盤の整備や、知的財産権の適正化などを通じた支援を行います。
■ 商店街:商店街を地域の核に
商店街を地域コミュニティの中心地区として位置づけ、地域のまちづくりの視点から、地域住民、NPO等と連携した商店街振興策を推進するとともに、商店街の中心となるリーダーの育成にも取り組みます。また、商店街が取り組むべき方向について適切な情報提供を行い、商店街の悩みに答えていきます。さらに、商店街の空き店舗のサービス窓口化、SOHO創設、IT化対応などを積極的に支援し、地域住民が主役となる元気な商店街を再生します。
■ 地域通貨の発行
地域通貨には沢山の種類がありますが、ここでは円と同等の機能を持つ通貨を地域独自に発行するというものです。この地域通貨を導入することで、地域経済がナショナル通貨やグローバル通貨の変動の影響を受けにくくなることや、地域内の資金循環を活発化させること、新しい社会資本を整備する際の資金調達手段となること、地域内での財・サービスの交換・互酬・再配分の強力な媒介手段となり、地域内活動が活発化することなどがあげられ、地域経済を抜本的に回復させる可能性があります。
しかし、現在では、地域独自に通貨を発行することはできないことから、法改正も視野に入れながら、導入に向けて積極的な検討を進めます。
【都市】
■ 生活機能:地域コミュニティの再生
生活快適都市として生活サービス機能をより一層充実させるために、これまでのように、行政あるいは市場が、個人や家庭に対して一方的にサービスを提供するだけでなく、地域のコミュニティ自身がこれらのサービスを自立的にまかなっていくことも重要です。そこに暮らす地域住民自らの手で自らの生活機能を充実させるため、地域における様々なコミュニティの形成や活動を支援していきます。
具体的には、地域に密着した多様な生活機能を、駅や商店街などに集めたコミュニティインフラといわれる集積地を整備します。また、通過交通の進入を防ぐコミュニティゾーンの設定などにより、歩行者が安全に通行できる空間を拡大します。さらに、市民やNPOの積極的にまちづくり活動への参加を促進します。
■防災・防犯:安全・安心な街
地震や火災などに対する最大の防災対策は、東京を燃えにくく、壊れにくい街に改造していくことであり、建物の不燃化や延焼遮断帯などを、一つ一つ着実に進めていきます。
また、いったん災害が発生した場合に、いかなる災害にも対応できるよう広域防災拠点の整備を充実させるとともに、首都圏全体の自治体で相互補完的に初動・応急・復旧活動が行えるよう平常時から協力・協調体制を築いていきます。さらに、地域における防災ネットワークづくりを進め、防災行動力の向上を進めていきます。
一方、危機管理の対象を、災害だけでなくテロや戦争などにもひろげ、総合的な危機管理体制をつくるとともに、地域コミュニティを最大限活用しながら、地域住民と警察等との連携により治安の良い都市づくりを進めていきます。
■ 交通物流:円滑な物流ネットワーク(外環道、空港)
東京の道路は、放射道路網が発達しているのに対して、環状道路網が遅れています。首都圏3環状道路の完成をめざし、広域幹線道路ネットワークを形成します。また、主要な幹線道路の整備や、ボトルネック箇所の解消も採算性に配慮しながら進めていきます。
また、東京の鉄道は、世界に類をみないほど発達しているものの、慢性的な混雑が続き劣悪な通勤・通学状況を強いる状況にあります。そこで、つくばエクスプレスを初め、神奈川東部方面線や総武線・京葉線接続新線などの新設によって混雑を解消するとともに、混雑率が200%を超えるJR上野駅〜東京駅間等について、既存路線の延伸等を進めます。
一方、羽田空港の再拡張など空港機能の整備・充実を進めます。さらに、地下鉄や路線バスについて、保守点検や防犯対策等の安全面に十分配慮しながら24時間化を進めます。
■ 情報通信:ブロードバンド先進都市
全国に先駆けて超高速インターネット網が選択的に利用できる環境を整備します。
光収容問題を抱える既存マンションや山間地域など高速インターネットに接続しにくい地域において、民間企業と協力しながらミドルバンド化を進めていきます。また、地域単位のネットワーク(CAN:Community
Area Network)を地域自身が整備できるよう先進的な地域を支援していきます。さらに、ITを生かしたテレワークやSOHOなど新たな就業形態を整備することで、女性や高齢者、障害者などの社会参加を促進します。加えて、秋葉原や渋谷をはじめ、今後開発される新しい街において、ITを活用した知的集積、企業集積を作っていきます。最先端を支える人々が出会う機会を創出するとともに、ベンチャービジネスを支えるあらゆる機能を備えたまちづくりを進めていきます。
■都市文化:歴史・文化・緑と対話する風格ある街
東京を、大量生産・消費・廃棄の「フロー(使い捨て・消費)」型都市から、「ストック(使い回し・蓄積)」型都市へと転換していきます。これは、環境にやさしいばかりか、これまで見捨てられてきた歴史や文化を再発見することにもつながります。
東京が持つ歴史的遺産を維持・保全するとともに、新しい街並みづくりに活かすことで、教科書では感じ取ることのできない生きた歴史・文化と直接対話できるまちづくりを進めます。さらに、そのような歴史的遺産や、臨海部や川の手の水辺環境、山の手住宅地などの景観資源を活用し、それぞれの地域の特徴を活かした街並みを地区計画等の手法を用いて創出していきます。こうして、たくさんの個性ある街並みを創出することで、我が国の「顔」として、風格あるまちづくりを進めていきます。
(注意)詳細は「爆ぜよ東京」を参照のこと。
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